■『グリーン・カード』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]
1990年/アメリカ=フランス=オーストラリア映画/107分
監督:ピーター・ウィアー
出演:ジェラール・ドパルデュー/アンディ・マクダウェル/ビービー・ニューワース/グレッグ・エデルマン/ロバート・プロスキー/ジェシー・ケオジャン
1991年 第7回 やりすぎ限界映画祭
■1991年 ベスト10 第13位:『グリーン・カード』
■やりすぎ限界女優賞/やりすぎ限界男優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『グリーン・カード』
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界女優賞:アンディ・マクダウェル
■やりすぎ限界男優賞:ジェラール・ドパルデュー
■やりすぎ限界女優賞:ビービー・ニューワース
[「瓢箪から駒」「嘘から出た実」]
「瓢箪から駒」「嘘から出た実」とはまさに『グリーン・カード』。こんなこと「絶対ありえない」とは思えない極限のくそリアリズムに震撼。「男」「女」が「一緒にいられること」とは何かの、究極の「恋愛映画」に見えた。「かなり涙が出た」。
[「完全一致」は「絶対ありえない」]
僕は「占い」を信じない。もし「星座占い」が「この世の絶対真実」だとしたら、「この世の絶対真実」であるには「この世の全ての星座占い」が「完全一致」してなければならないはず。本やサイト、占い師によって、「違う結果」が果てしない数で毎日発表されるなど「絶対ありえない」。「この世の絶対真実」である説得力は皆無のように思える。「星座」だけではなく「血液型」なども同様に思える。僕は人間の「相性」を「占い」ではなく、その人間の持つ「信念」「価値観」「倫理観」に求める。
人間が1億人いれば1億通りの「信念」「価値観」「倫理観」がある。「公約数」が多いことのように、「信念」「価値観」「倫理観」が多く一致する人間が相性のいい人間だと思うが、そこまで相性のいい人間でさえ「完全一致」は「絶対ありえない」。「この人のここが嫌い」な部分は、どんな相性のいい人にも絶対ある。ない方が「絶対ありえない」。
[「合わせるしかない」]
「破局」しないためには「合わせるしかない」。殆ど同じな「信念」「価値観」「倫理観」を持ち、「絶対許せない」ことがない人だったら、ある程度は「がまん」しなければならない。
「男」も「女」も人間。「痛み」「苦しみ」はどちらにもある。「辛いこと」は誰だって辛い。男女の「がまん」も、どちらか一方だけががまんしてたら絶対苦しくなる。「がまん」は「公平」でなければならない。「自分だけ得する」ことばかりしてたら「男」「女」は絶対「破局」すると思う。
ジョージ・フォレー(ジェラール・ドパルデュー)とブロンティー(アンディ・マクダウェル)は、「好きな食べ物」や趣味に全く共通点がないほどの「他人」。「信念」「価値観」「倫理観」が一致するかも解らない他人同士が、「居住資格」=「グリーン・カード」を取るためと、「温室」のために「偽装結婚」する。だが移民局の調査員がやってくる。正直に話せばジョージは「強制送還」、ブロンティーは「有罪」「温室とは おさらば」。「2日」の時間に「一夜漬けの試験勉強」のごとく、「相性」どころではない二人が「本当の夫婦の芝居」で、「合わせるしかない」移民局の面接に挑む。
[「自分を知ってほしい」]
■「無駄な活動だね
何も変わらないよ
そういうものだよ
放っておけ」
「何ですって?」
「緑は結構だが
食えるわけじゃない」
「問題は希望よ」
この世の全ての人間が「自分を知ってほしい」。自分がどんな「信念」「価値観」「倫理観」を持つ人間か? 全ての人間が自分の「信念」「価値観」「倫理観」を理解してくれる人と結婚したいだろう。さらに自分の「信念」「価値観」「倫理観」に、「自分も同じ」と言って「共感」してくれる相手ならもっとうれしい。この世にこれ以上の幸せはない。
ピアノのシーンで「かなり涙が出た」。「無駄な活動だね 何も変わらないよ」と、ブロンティーの活動に全く興味がなかったジョージが、ブロンティーの「信念」「価値観」「倫理観」を「理解」し受け入れたから。ジョージに自分を知ってもらったブロンティーの喜び。誰もが「自分を知ってほしい」と思うように、知ってあげたら人間は誰だってうれしい。「俺は俺は……」と自分のことばかり話してたら相手に嫌われることを思い知る。
[「お互いを知る」]
「好きな食べ物」や趣味に全く共通点がないほどの「他人」。「偽装結婚」。「自分を知ってほしい」と思ってもなかった二人が、意図しない事故によって「お互いを知る」こととなった結果、ジョージとブロンティーはどうなってしまうか?
「完全一致」は「絶対ありえない」。「合わせるしかない」。「自分を知ってほしい」から「お互いを知る」努力へ。「菜食主義者」のフィルと「合うと思った」。「下品」なジョージとは「合わないと思った」。「瓢箪から駒」「嘘から出た実」。「グリーン・カード」と「温室」の「緑」の色彩美、そして「エンヤ」の音が、恐るべき “極限ダイナマイト・ボンバー・ギャル” 「アンディ・マクダウェル」の「極限の美」を際立てた。「最後どうなるか解かるぐらいやりすぎ限界」な「恋愛映画」に、「かなり涙が出た」。
画像 2019年 1月