名曲百選第二章(68)涙や笑顔を 忘れた時だけ 思い出してください~バンプ・オブ・チキン | 日々の生活(くらし)に音楽を♪

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俺の初恋はRock'n' Roll 俺の傍らには何時も音楽があった。


4月から、新入学や新入社で新しい世界に飛び込まれた方もたくさんおられると思います。
私は、人見知りする方で、新しい学校や新しい会社に行くのは、億劫でしたし苦手でした。
人によっては、何処にいってもすぐに慣れて打解けてしまう外交的な方もおられますね。
中には私のように人付き合いが苦手だったり、慣れない仕事で戸惑ったり、苦労されてる方も多いと思います。

昔 読んだ宮部みゆきさんの本に 『幻色江戸ごよみ』 という短編集があります。
江戸時代が舞台になっている短編集で、その中に 『首吊り御本尊』 という一編があって何度か読んだ好きな作品です。
『首吊り御本尊』 というタイトルだけ見ると怖いような感じもしますが、心温まる素敵な作品です。

丁稚奉公が辛くて、夜中、土間で首を吊って死のうとしている少年を、同じように奉公が辛くて首を吊って死んだ男の幽霊が励まして、死ぬのを思いとどまらせます。

簡単に言ってしまえば そんな話ですが、本来怖いはずの幽霊が、少年を励まし助けるという発想も凄いと思いますし、 優しく心温まる話で、宮部さんのこういう人情を感じさせてくれるような作品が、私は何より好きです。


今回の曲は、何を載せようか迷ったのですが、春と言えば花の季節でもありますし、前文の宮部さんの小説とは、まったく関係ないですが、久しぶりに聴きたくなったので、この曲をお届けいたします。

花の名/バンプ・オブ・チキン


大ヒットした映画の主題歌で、皆さんも御存知だと思います。      
私はこの曲大好きで、カラオケでもよく歌いますが、歌詞もメロディも絶品の名曲ですね。


簡単な事なのに どうして言えないんだろう
言えない事なのに どうして伝わるんだろう


簡単な事なんだけど、相手を意識した瞬間、言えなくなってしまうんですよね。
その意識が、表情や仕草に表れ、伝わるんですよね。
この感覚、わかります。

あなたが花なら 沢山のそれらと
変わりないのかも知れない
そこからひとつを 選んだ
僕だけに 歌える唄がある
あなただけに 聴こえる唄がある


今、桜の季節で 桜の花に喩えますが、多くの桜の花が各地で咲いていますね。        
その桜の花 ひとつひとつは、皆同じように見えて それほど変わりません。
同じように人間もたくさんいて、それほど変わらないのかもしれません。
しかし、そのたくさんの中から たった一つの花を、たった一人のあなたを 選んだ僕には、あなただけに向けて歌える歌があるし、あなたには僕の歌声が聴こえるはずです。
何と素敵な歌詞なのでしょう。
ミスチルの桜井さんが、藤原基央さんの歌を太宰レベルの芸術と言ったのも頷けます。

いつか 涙や笑顔を 忘れた時だけ
思い出して下さい
迷わずひとつを 選んだ
あなただけに 歌える唄がある
僕だけに 聴こえる唄がある
僕だけを 待っている人がいる
あなただけに 会いたい人がいる


この歌を聴いてると泣けてきますね。
人間は、決して一人ではなくて、必ず何処かに あなたを待っている人がいるという思いが込められた美しく感動的なバンプの名曲です。

花の名

作詞 藤原基央
作曲 藤原基央

簡単な事なのに どうして言えないんだろう
言えない事なのに どうして伝わるんだろう

一緒に見た空を忘れても 一緒にいた事は忘れない

あなたが花なら 沢山のそれらと
変わりないのかも知れない
そこからひとつを 選んだ
僕だけに 歌える唄がある
あなただけに 聴こえる唄がある

僕がここに在る事は あなたの在った証拠で
僕がここに置く唄は あなたと置いた証拠で

生きる力を借りたから 生きている内に返さなきゃ


涙や笑顔を 忘れた時だけ
思い出して下さい
同じ苦しみに 迷った
あなただけに 歌える唄がある
僕だけに 聴こえる唄がある

皆 会いたい人がいる 皆 待っている人がいる
会いたい人がいるのなら それを待っている人がいる
いつでも

あなたが花なら 沢山のそれらと
変わりないのかも知れない
そこからひとつを 選んだ
僕だけに あなただけに

いつか 涙や笑顔を 忘れた時だけ
思い出して下さい
迷わずひとつを 選んだ
あなただけに 歌える唄がある
僕だけに 聴こえる唄がある
僕だけを 待っている人がいる
あなただけに 会いたい人がいる


今回は、宮部みゆきさんの短編 『首吊り御本尊』 の話と、
バンプ・オブ・チキンの名曲 『花の名』 をお届けいたしました。

小説と音楽、ジャンルは違いますが、どちらも人の心の温かさや優しさを感じる素晴らしい作品だと思います。