神村学園と京都橘の初ジョイント・コンサート | "楽音楽"の日々

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7月30日、九州の吹奏楽の強豪校・神村学園と京都橘のジョイント・コンサートが開催されました。

このイヴェントは、京都橘が鹿児島で開催される高校総合文化祭に参加することをキッカケに、顧問の発案でブッキングされたものでした。

ただ、撮影禁止のイヴェントだったので、動画を見ることは諦めていました。そこへ、神村学園のインスタに貴重な動画がアップされているのを見つけました。インスタのストーリーズは24時間しか見れないらしい(私は詳しくありません)ので、もう既に見れなくなっているんでしょうね。

私は、2回通して見てみました。短い動画を繋いだ形なので全貌を把握するのは難しいのですが、どんなものだったのかを推測するには十分すぎるヴォリュームでした。何より、リハーサルや両校の交流の様子もしっかり捉えているのが、嬉しい驚きでした。

 

ということで、京都橘のパフォーマンスを中心に簡単なレヴューをしてみたいと思います。

 

コンサートの流れとしては、第一部が「吹奏楽ステージ」。いわゆる「座奏」ですね。神村から京都橘という順番です。第二部の「マーチングステージ」も同様の順番です。京都橘がゲストという扱いなので、主催者としては当然の流れなのでしょう。そして、第三部が「合同演奏ステージ」です。

 

 

まずは、京都橘の「座奏」です。

いつもの白いジャケットのユニフォームでのステージです。

 

まずは、ヴェルディの歌劇「アイーダ」より「凱旋行進曲」です。この曲は、時々演奏してますね。格調高くスケールの大きな曲なので、フルメンバーで京都橘の実力を表現するには最適だと考えているのかもしれません。

 

次の曲は、今年の吹奏楽コンテストの課題曲のひとつ、「レトロ」です。8月8日に迫った京都大会には、この曲で勝負をかけるんだと思います。最近、ジャズ・ドラマーの阿野次男さんが指導している動画がありました。

 

 

近年のコンテストでは珍しいポップな曲で、「橘ポップス」の現在地を上手く表現できるのか楽しみです。私の勝手な希望ですが、この曲で振り付けを付けてマーチングをやって欲しいなぁ、と思っているのです。きっと我々の予想を軽〜く裏切る、楽しいものになりそうな気がするんですが。

 

その後は、最近の座奏での定番、「ジャパニーズ・グラフィティ」から「銀河鉄道999」から「宇宙戦艦ヤマト」のメドレーです。そして、これも馴染みのある「リトル・マーメイド」メドレーでした。

 

 

 

さて、第二部の「マーチングステージ」ですが、インスタには神村学園のパフォーマンスは2曲だけアップされていました。その後の京都橘が7曲だったことから、不自然に感じます。もし、そうだとしたら、神村学園の現在のレパートリーが少ないのか、単にゲストの京都橘に花を持たせたのか?

いずれにしろ、神村学園の演奏は、「アフリカン・シンフォニー」と「エル・クンバンチェロ」の2曲。昨年の「笑ってコラえて!」の「吹奏楽の旅」で話題になったドラムメジャーのバトン捌きが目玉になっていました。彼は、まだ中学2年か3年生のはず。バトンで世界を目指すと宣言していた彼がこのまま吹奏楽部に帯同していくならば、後3年くらいは彼が神村学園の「花」として活躍していくのでしょう。

このイヴェントの前日、高校総合文化祭のオープニング・パレードでのパフォーマンスをご覧ください。尚、京都橘は吹奏楽部門への出演だけで、パレードには参加していません。では、Tsubame Planningさんの動画でどうぞ。

 

 

 

 

京都橘のマーチングは、おなじみの4曲が前半に演奏されます。「Winter Games」、「君の瞳に恋してる」、「Sing」、「September」は、いつもの演奏・振り付けながら、おそらく京都橘の生パフォーマンスを見るのは初めてという観客がほとんどだと思われるので、相当のインパクトがあったに違いありません。

そして、嬉しい驚きはMark Ronsonの「Uptown Funk」でした。大好きな曲ですが、3年ぶりの復活です。新しい振り付け満載で、とても楽しいです。ただ、テンポが速すぎるのが気になります。もっとテンポを落として、ファンクの雰囲気を出せたらとんでもなくカッコ良くなるんですけどねー。これからブラッシュアップしていって、来たるローズ・パレードの主要レパートリーとして考えているのかもしれませんね。

3年前、コロナ禍で唯一のパレードをした時の「Uptown Funk」をご覧ください。TOMOYA KARAMATSUさん撮影の動画です。

 

 

パレードでも良いですが、今回のステージ・マーチングを見たら、どちらも見てみたいと思ってしまうのです。

無粋ではありますが、オリジナルのミュージック・ヴィデオもご覧ください。

 

 

このグルーヴが出せたら、京都橘にとっては「鬼に金棒」なんですけどね。ん?「悪魔に魔法の杖」か?

ちなみに、京都橘のOGが中心になって結成されたO-vils.もこの曲を演奏していますが、そのヴァージョンはカッコ良いです。

 

さらに驚きだったのが、映画「80日間世界一周」のテーマでした。ワルツのスタンダード・ナンバーですが、おそらく京都橘のステージ・マーチングでは初めて、ハープが舞台右手に登場します。ハープが曲の優雅さを引き立てていて音楽的にも見事ですが、見た目のインパクトが強烈です。オレンジのユニフォームでハープを演奏するなんて、史上初でしょう。

 

そして、ラストは定番の「Sing, Sing, Sing」で、拍手喝采でした。

 

なんだか、ステージ・マーチングでの演奏は、全部テンポが速かった気がします。もっと、自信を持って落ち着いて行きましょう!!

 

 

意外にも楽しかったのが、最後の「合同演奏」でした。

まず、両校の顧問の話がとても面白く、興味深い内容でした。

京都橘の顧問・兼城先生の話では、鹿児島遠征が決定した時点で神村学園と交流したいと考えたらしいのですが、全く繋がりがなかったようです。ただ、京都橘と神村学園は、サッカー部の強豪としても知られていて、交流があったということでした。そこで、サッカー部の監督に繋いでもらって、即日連絡が取れたということでした。いろんな縁が引き合わせてくれたジョイントだったのですね。

 

で、共演の最初の曲は、おそらく日本全国で今年最も演奏されている人気曲「ジャンボリミッキー」です。覚えやすいしダンスの振り付けも楽しいし、観客と一緒に盛り上がれるので人気なのは当然でしょうね。ここでは、客席通路に両校の部員が散らばって、観客と一緒に全力ダンスです。そりゃあ、盛り上がるでしょ。

 

そして、両校それぞれがレパートリーにしていると思われる「翼をください」です。両校のカラーの違いがよくわかる演出で、とても面白いです。神村学園は、手話を使って歌っています。宮川彬良氏のドラマチックな編曲のおかげで、感動的なクライマックスを迎えます。

 

多分、アンコールとして演奏されたのは、予想通りの「宝島」でした。ここでは、神村学園独特のコールが入ったり、ドラムメジャーの派手なバトンがあったりと、神村のパターンに京都橘が乗った形です。けれども、やはりここでも京都橘は全力です。心から楽しんでいることが伝わってきます。

 

 

ということで、この一回で終わらせるにはもったいない、充実のジョイント・コンサートでした。主催者の方か神村学園のご好意で、ちゃんとした動画がアップされたら狂喜乱舞するんですけど・・・。

僅かな期待を持って、朗報を待ちましょう。