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これを聴いて死ねっ

ヘヴィメタルやハードロックを中心に作品紹介を行うサイトです。


「Silence of a World Beyond」 1996

スウェーデンのメロディックデスメタルバンドA Canorous Quintetの1stアルバム。
現在はThis Endingと名前を変えて活動していますが、多少モダンな味になりつつも一貫して硬派なメロデスを作り続けています。
ツインギターが紡ぎ出す叙情性と言う基本中の基本を忠実に実践している。派手ではありませんが、じわじわと、そして確実に聴き手を引き込むこの泣き具合はまさに職人技。どんなに激キャッチーでクサメロでアグレッシブなサウンドを提示したとしても、結局最後にリングの上で静かに佇んでいるのはこう言う音なのではないでしょうか。聴けば聴く程に味が出る。聴き込む価値がある。メロデスが好きなら聴いておかなければならない作品でしょう。



「The Only Pure Hate」 1998

2ndアルバム。前作と比較して評価があまり高くない様ですが、私はどちらも甲乙付け難いと思っています。ブラックメタル的アプローチが多かった前作から、スウェディッシュデスやデスラッシュの手法を用いる方向に変化しており、動きとキレのある展開を聴かせてくれます。引き換えとしてメロディの扇情度は少し減退していますが、前作にはやや淡々とした部分もあったため、攻撃性とのバランスとしてはこれ位が良いのではないか。レベルとして依然高い位置にいるし、7曲目辺りは控え目に言ってもキラーチューンだと思う。



「The Quintessence」 2013

こちらはコンピレーションアルバム。二作のフルアルバムに加え、95年のEPや97年の未発表デモ、94年~95年の未発表曲を2011年と2012年に新録したもの、そしてライブ音源と充実した内容となっており、彼らの仕事がほぼ網羅されています。全曲リマスターが施されており、フルアルバムに関してはオリジナルより音圧が強調されています。これにより少し音質的なショボさを感じていた1stの迫力が増している。元の雰囲気まで壊すものではなく、良リマスターです。
未発表曲の出来が、なぜ未発表だったのかと言うくらい素晴らしい。現在の彼らの演奏でかつての時代の曲が聴けると言うのもポイント。
単純に今このバンドの音を聴きたいならこのアルバムを買うと手っ取り早い。


「Random Chaos」 1998

フィンランドのブラックメタルバンドCrimson Midwinterの唯一のアルバム。
荒涼とした雪原の情景を想起させる叙情メロディとプロダクションが印象的。吹雪の様な激しいブラストビートはブラックメタルの華ですが、楽曲のミソとなっているデスメタル的アプローチや正統派メタルの質感にも注目されたし。
やり過ぎと言う所までは至らないメロディを中途半端と取るか絶妙なさじ加減と取るかは人次第。私は好きだな。オーロラの如き神秘性を演出するキーボードもまた良い仕事をしています。キャッチーさと翳りが同居した4曲目は名曲と言っていいですし、全てを薙ぎ倒すかの様な主題が圧倒的な6曲目や、どこまで行くんだってくらいに畳み掛けるラストの曲も捨て置けない。
今でも入手は容易ですし、なかなかおすすめです。

「Pandemonic Requiem」 1997

スウェーデンのブラックメタルバンドNoctesの1stアルバム。
90年代にメロブラの佳作を二作残していながら、メンバーのその後は知れない。元はConcealedと言う名前で活動していた。
矢継ぎ早の展開を見せるスウェディッシュブラックの常套手段ではなく、疾走に頼らないミドルテンポを中心としたスタイルで、楽曲を牽引するのはツインギターのリフの絡み。これが魅力的でなかったら大失敗ですが、なかなかグッと来る叙情メロディを数多く聴かせてくれるので退屈しません。キーボードが幻想的かつシアトリカルな雰囲気を演出しています。とにかくメロディを聴かせる事に主眼を置いているので、邪悪さとか怖さと言ったものはほとんど感じられず、ロウな音質を除けば非常に聴き易いです。




「Vexilla Regis Prodeunt Inferni」 1999

2ndアルバム。基本の路線は変わっていないものの、キーボードは幻想的な雰囲気を減退させ、荘厳さと演劇風味を増進、楽曲的には疾走パートやブラストビートが頻出しアグレッションが向上、また控え目だったサタニックなアプローチも用いるようになりました。とは言っても相変わらずツインギターのメロディアスな絡みが主体なので依然普通のブラックメタルよりは聴き易い。疾走に頼らない持ち味を手離したのはちょっと残念な気もしますが、雰囲気よりもメロブラとしての高揚感を求めるならこちらです。


「Perceptions」 2000

メキシコのメロディックデスメタルバンドBuried Dreamsの2ndアルバム。
バンド名はCarcassの曲ですが、作風はThe Gallery辺りのDark Tranquillityを思わせる緩急のハッキリした劇的なメロデス。聴き手を追い込むようにツインギターが繰り出すメロディックなリフの絡みが堪らない。ただ買った当時から今も思う感想として、1曲の中で慌ただしく展開が変わり過ぎなために曲の輪郭がややぼやけているように思う。瞬間瞬間は良いが曲全体の印象が残らないと言うか…
とは言えこの情熱的な曲調は北欧のバンドのコールドな質感とはまた異なる魅力であり、有無を言わさぬ押しの強さには圧倒されてしまいます。久し振りに聴いて結構テンションが上がってしまいました。外へと発散するエネルギーがものすごい。もう何も言われなくてもメキシコのバンドだって直感として分かってしまう音です。
ちなみにギャグか敬意かCarcassの”Buried Dreams”のカバーが収録されています。

「The Dawn of Flames」 1997

The Duskfallの母体となったスウェーデンのメロディックデスメタルバンドGates of Ishtarの2ndアルバム。
ジャケットのひどさをよく言われる作品ですが、ホントにひどいんだコレが…しかし内容はさにあらず。このバンドでは一番好きなアルバムです。
ドラマーとベーシストが交代した影響か、前作の躍動感や勇壮さが消え、代わりに悲壮、憂いを湛えた楽曲はさながら葬送行進曲です。霧が立ち込めているかの様な薄暗いプロダクションは当時のメンバー間にあったと言う険悪なムードを投影しているのか。ちなみに時折見せる80年代終盤から90年代初頭を思わせるセンスはゲストキーボーディストとして参加したDan Swanöの仕業です(1曲目のオープニングとかモロでしょう)。
陰鬱な雰囲気の一方でメロディの扇情度は高く、幻想的な4曲目や胸を締め付ける主題を持つ6曲目、8曲目辺りが特に気に入っています。
名手Oskar Karlssonの代わりに叩いたドラマーの覇気の無いプレイにげんなりしてしまうかもしれませんが、見かたを変えればこの淡々とした演奏が今作の叙情的作風を印象付けているとも捉える事が出来ましょう。尤もこれはどちらがありきだったのか分かりませんが。
アグレッションでは前後作に劣るものの、叙情性を押し出したメロデスとしては王道かつ捨て曲無しの高品質盤としておすすめの一作。