例えば、『ヒト』という概念には、地球上にいる73億人のすべてが含まれます。でも、個人は一人ひとり違うのに、なぜ全員を『ヒト』という言葉でくくることができるのか。それは人間が『ヒト』という同一性を捏造したからです」
だが、この言葉とは厄介なもので、動物が本来持っていた感覚を鈍らせるのだ。
3月2日、学校休校の要請が出された。そして、先日、東京には緊急事態宣言が出された。 そんなわけで、唯一活動していた大学の部活動も停止になり、ほぼほぼ完全休業状態になってしまった。18年間、個人事業主として活動してきたのだが、ここまで危機的状況になったのは初めてだ。
とは言え、時間だけはたくさんある。と言うか、こんなに時間があるのは大学4年の時以来、実に30年ぶりくらいのような気がする。
さて、何ができるだろうか? すでに、トレーナー業界では導入していた人もいるのだが、オンラインでの指導ができるではないか。
オンライン指導は遠隔地の方ともつながれる、時間を有効に使える、より多くの人に伝えられる、などのメリットがある。
しかし、ITにはめっきり弱く、現場一筋でやってっきた私、まさか自分がやってみることになるとは想像すらしなかった。
でも、何もしないでいても仕方ないので、チャレンジすることにした。なにせ、時間だけはたっぷりとあるのだから。
1週間ほどかけて、やっとオンラインで指導することができるようになった。相手は4人、普段指導させてもらっている大学生だった。いやー、実に面白かった! 彼らも、オンラインで指導を受けるのは初めて、つまり、お互い初心者同士なわけで、開始前はうまくいくかどうか、どちらかと言うと不安の方が大きかったのだが。
何が良かったって、やはりお互い久しぶりに顔を見て、声を聞けたことだ。自宅で過ごすことが多くなり、家族以外の人と会う機会が減り、知らず知らずのうちにストレスがたまっていたのかもしれない。オンラインのやり取りとは言え、私の方がパワーをもらえた。顔を見て話ができるというのは、コミュニケーションの中でも大きなものだと、改めて感じた。
オンライン指導の可能性は他にもあった。主催者側はパソコンで選手の動きを見れるので、下手をすると、普段よりも個別での対応ができるのだ。これは、使用してみて気づいた。選手は自分自身をスマホで撮っているのだが、アップにすると、思った以上にこちらから選手の動きは見えるのだ。
もちろん、ライブでないとやれないこともある。しかし、オンラインでしかやれないこともたくさんあることに気づけた。それは、まさにほとんど唯一と言っても良い、クソコロナ野郎のおかげである。あ、もう一つあった。家族と過ごす時間が、圧倒的に増えたことだ。
たかだか、一介のトレーニングコーチの51年間の人生で、いまが一番のピンチなのかもしれない。しかし、思い出して欲しい、日頃偉そうに選手たちに、「今、目の前のことにベストを尽くせ!」
と話していたことを。まさに、そのことを自分自身が実践すべき時なのだ。私の尊敬するトレーナーの方が話してくれた。
「コントロールできるのは自分だけです」と。
ならば、自分ではどうすることもできないことでストレスを感じるのではなく、自分にできることだけにフォーカスしていこうと。
明石家さんまさんが、言っていたではないか。
「人生、生きているだけで丸儲け」 そう思えば、ストレスなどたまらない。
とは言え、1日でも早くコロナが収束することを願うずにはいられない。未来のある子どもたちのためにも。