自分の指導力を向上させるのに、留学生の存在は大きい。
なぜなら、言葉で指導することが難しいからだ。特に微妙な表現を伝えるのが難しい。
もちろん、英語を覚えれば解決するかもしれないが、残念ながら、私には、その頭も時間もない。
というわけで、<言葉で理解してもらう>ことをあきらめて、他の指導力を向上させるしかない。
高校生以上に指導することが、ほとんどの私だが、かつて一度だけ、小学校低学年のサッカーチームに指導する機会があった。
「じゃ、次は、うつぶせになって」
そう私が言っても、子どもたちは動かない。あっ、そうか、<うつぶせ>がわからないのだ。すかさず、自分が<うつぶせ>になることで、ようやく子どもたちも、<うつぶせ>になってくれた。
子どもたちへの指導で、有効な一つが、視覚による情報だ。ようは指導者のモノマネをさせればいいのだ。
「おーい、みて、みて」 「やってごらん」 それだけでいいのだ。
比喩を用いるのも使える。
「じゃ、次は、ぞうさん、ぞうさんの、鼻のように、足を、ブラブラさせてみて」
一昨年、高校生に指導しているときに、「小島やすおの、『そんなの関係ねー』みたいな感じ」と伝えても、選手たちは「?」。そう、私の中では、当たり前のように知っていることが、世代間ギャップや、文化の違いで、相手には伝わらないこともあるのだ。対象者が理解できる比喩、それを、どれだけ持っているかが重要になる。
対象を外に向けるのも、伝わりやすい。
「よーし、コーチの手に、さわってごらん」と言って、子どもの頭上に手を差し出し、そこまでジャンプさせる。
対象物を決めて、そこをターゲットにジャンプしたり、ボールを投げさせたりする。
これだと、どう跳ぶとか、どう投げるとかは、教えなくていいのだ。実は、運動を指導する場合には、身体の内側に意識を向けるより、このように外側に意識を向けさせた方が、上手くいくことが多いと言われているのだ。
「音を、させないように」
ジャンプの着地や、サッカーのトラップなど、音を意識させるのもいい。
音と言えば、擬音語による表現は、運動指導の肝と言えるかもしれない。
「ドス、ドス、っていう音でなくて、タン、タンって音をさせて」
「タン・タ・タタ! タン・タ・タタ!」
擬音語は、運動において大切となる、リズムや力加減も伝えることができるので、極めて有効なやり方だ。
留学生や子どもたちのように、言語による指導が難しい場合、
<視覚><比喩><対象物を決める><聴覚><擬音語>を駆使するしかない。
他にも、まだいろんなアプローチがあると思うが、もう一つ、大事なことを書きたいと思う。
セッションの中に、「物語」があるかどうかだ。
「あー、なるほど」
「そうか、そういうことか」
言い方を変えれば、繋がりを持てるかどうか。
それが持てなければ、おそらく、そのセッションはコーチの言うことを、言われたらから、ただやるだけで終わることになる。
もちろん、言葉による指導力も磨く必要がある。
しかし、留学生を指導することで、〈言葉に頼らない指導力〉それを磨くチャンスを貰っている。
サンクス・マイト!