59)東野圭吾『卒業』講談社、1989年。

東野圭吾の受賞第一作であり、氏のなぞ解きの本格派としての実力を見事に発揮した青春ミステリーである。登場人物の設定が大学生であり、そこで繰り広げられる殺人がとても生々しい。茶道の「雪月花之式」という茶会になぞられたトリックは難解であり、最後まで犯人が特定できない。「まさか」が次々に展開される東野の作風が詰まっっている作品である。(しゅん)

58)子どもの貧困白書編集委員会『子どもの貧困白書』明石書店、2009年。

子どもの貧困について、様々な立場や現場から総勢105人の著者により書かれている。そのため、貧困をあらゆる角度から分析することが可能だ。また乳幼児、小学生、中学生といった年齢によって、一方、学費関係、児童養護施設、医療、不登校、非行、性、虐待というテーマによって、貧困をとらえており、非常に包括的な書となっている。(しゅん)

57)浅見帆帆子『あなたは絶対!運がいい』グラフ社,2001年

人生を楽しく充実させるための方法が書かれている。
自分の日頃の行いや気持ち次第で良いことも悪いことも起こる。日々、自分にとっても誰かにとっても良いことをしてプラスのパワーを蓄えることが大切である。
理想や夢を叶えたいならば、絶対うまくいくと信じ、現実になると思い込め。
迷っていることや心に浮かんだことは直感を信じて行動するとよい方向へいく。
良いことがあったら感謝することを忘れてはならない。
プラスのパワーが増えて、自分のレベルを上げることで、良い情報、タイミング、人、考えに出会うことができる。
なつき

56)池上彰「わかりやすく〈伝える〉技術」2009年,講談社現代新書

池上彰がテレビの現場で培ったわかりやすく伝える技術のノウハウを書いてある。
わかりやすさのルールは3つある。①リード(見出しをつけること。)②対象化(自分の考えを書いたり話したりして外部に出すこと。)③階層化(内容を分類して項目の中身を書き出すこと。)である。
キーワードを自分で見つけて結論やリードで使うこともわかりやすく伝えるこつとなる。
なつき

54)相川明子『土の匂いの子』コモンズ,2008

　神奈川県鎌倉市にある自然の中で行われている自主保育が紹介されている。前半には自然の中でたくましく育っていく子どもの姿、そして後半には、自主保育に協力する中で育っていく親の姿が書かれている。物があふれている環境ではなく、自然のものしかない自然環境の中で保育をすることの魅力を感じさせてくれる本である。(あかね)

53)山崎清男『家庭教育のあり方に関する調査研究』

子どもでもなく、その家族でもなく第三者である教師にインタビュー調査を行い、家庭教育の現状についてまとめたものである。
子どもに無関心な親と関心がありすぎて過保護になる親と両極端であることがわかり、そのような家庭で育った子どもは基本的生活習慣が身についていないということが読み取れる。

51)山村賢明『家庭教育』放送大学教育振興会,1989年

本書は、家庭教育を大人の問題と捉え、一人前の大人とはどういうことであり、そういう大人になるために、子どもにはどんな家庭教育が必要か、といった視点に立って書かれている。また、一人ひとりの子どもの人間としての発達と幸福を中心において家庭教育を考えている。
体系的原理的な家庭教育論で述べられた本である。
(なつき)

50)佐伯胖『「学ぶ」ということの意味』岩波書店、1995

本書では、学びを「広い意味での自分探し（アイデンティティ形成過程）」としている。ＹＯＵ世界と呼ぶ、「私」と「あなた」との二人称的関係をもつ共同体と、ＴＨＥＹ世界と呼ぶ匿名性をもつ三人称的他者の世界で、さまざまな文化的実践に関係づけられ、また別の共同体とふれ合い、交流する共同体を、学びのドーナッツ論の中で挙げている。これらについて、例を示しながら筆者の考えが書かれている。（まりえ）