20. A Hero’s Death/Fontaines D.C.
デビュー・アルバム「Dogrel」が好評で、インディー・ロック界の救世主的な期待も背負っている印象があったダブリン出身のバンド、フォンテインズD.C.の2作目。この辺りでこけてしまうケースというのもわりとありがちではあるのだが、このバンドのこのアルバムの場合、期待に応えながら超えてもきた、という感じでもある。全英アルバム・チャートでも、前作を超える最高2位を記録した。
19. Positions/Ariana Grande
逆境をはね返す的な楽曲がここのところは目立ち、パブリック・イメージとも合致して良い感じだったのだが、最新作はよりラヴ&セックスのムードが強く、それもまたアーティスト自身の現状を反映しているのかもしれないが、このご時世における必然性も感じられる。批評家の評価はそれほどでもなかったが、一般的には支持されて大ヒットを記録した。
18. Fake It Flowers/Beabadoobee
フィリピン生まれでロンドン育ちのシンガー・ソングライターで、まだ若い。Z世代と呼ばれる年代らしくベッドルーム・ポップ的な感覚は感じられるが、90年代オルタナティヴ・ロックからの影響も強く受けているため、年齢層が高めの音楽ファンにもわかりやすくウケたようなところもある。
17. Weird!/Yungblud
全英アルバム・チャート初登場1位には驚かされ、ジャンル横断的で俗っぽくもあるところが個人的にはとてもおもしろいのだが、趣味の良い音楽ファンにはあまりウケないような気もする。その辺りがまた魅力的でもあるのだが、今後を注視したいアーティストの一人である。
16. Kintsugi/大森靖子
2曲目のタイトルが「えちえちDELETE」というのだが、まず「えちえち」のような単語をタイトルに入れてしまい、それに相応しいというかそこに必然性がある楽曲をちゃんとつくってしまっているところが、また素晴らしい。タイトルは欠けたり壊れたりした陶器を金などで美しく修復する技法のことで、自覚的であるかどうかにかかわらず、すでに壊れてしまっている心や体、世界などに対してそのような役目を果たす音楽をあらわしている。音が整理され、サウンド的にはひじょうに聴きやすくなったような印象があるが、メッセージはより核心を突いているようで、メジャー移籍後の最高傑作ではないかと、いまのところ感じている。
15. Sawayama/Rina Sawayama
新潟生まれ、ロンドン育ちのシンガー・ソングライター、リナ・サワヤマは今年、最も注目されたニュー・アーティストの一人だったのではないだろうか。宇多田ヒカルなどからも強く影響を受けているらしく、オルタナティヴ・ポップにJ-POP的な要素も感じられるところがまたおもしろい。各メディアが発表する年間ベスト・アルバムのリストでも、わりと上位に選ばれているのをよく見かけたような気がする。
14. Good News/Megan Thee Stallion
2020年に大ブレイクを果たしたアーティストといえば、すぐにこのアーティストのことが思い浮かぶ。発砲事件の被害に遭ったりもしたが、それすらも曲のネタ(このアルバムの1曲目)にしてしまっている。このアルバムに収録された、ビヨンセをフィーチャーした「サヴィッジ」のリミックスと、このアルバムには収録されていないが、カーディ・Bとの「WAP」が全米シングル・チャートで1位を記録、セクシュアリティーを主体的なテーマとしたアティテュードが痛快でとても良い。
13. 今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる/Kaede
過去のシングルも収録したそれまでのソロ活動の集大成的な一面もありながら、新年代を告げるTRICERATOPS「2020」のカバーや新曲の数々もひじょうにクオリティーが高い。ナチュラルに聴こえながら、絶妙に微妙な感情を豊かに伝えるボーカルの魅力が存分に味わえる、素晴らしい1stフルアルバム。
12. いいね!/サニーデイ・サービス
ベテランバンドとは思えぬ生気に溢れ、溌剌としたロック・ミュージック、のように聴こえながら、この奥深さはベテランバンドでなければ出せないのではないか、と思わされたりもする。生と死、夢と現(うつつ)との境界のようなものを、青春時代に聴いていたロックは表現してもいたような気がする、ということをこのアルバムを聴いて思い出したりもした。リミックス・アルバム「もっといいね!」も、リリースされた。
11. Women In Music Pt. Ⅲ/Ham
ロサンゼルス出身の3姉妹から成るバンドの3作目のアルバムである。アメリカのポップスやロックの歴史から良質な部分を抽出してアップデートしたような、グッド・ミュージックがぎっしり詰まっている。かと思いきや、アルバムタイトルからして皮肉が効いているように、反セクシズム的なメッセージも当然の如く込められているところが、今日的でまたとても良い。