30. Nevermind/Nirvana (1991)
当時、ラウドでヘヴィーなアメリカのオルタナティヴ・ロックのことを「ロッキング・オン」では「殺伐系」などと呼んでいて、このアルバムのレヴューには「売れそな殺伐」というようなタイトルが付けられていたような気がする。そして、実際に売れた。しかも、誰の予想をも超える規模と勢いでである。ビートルズ・ミーツ・レッド・ツェッペリンなどと評したレヴューを見たような気もする。このアルバムのヒットをきっかけに、オルタナティヴ・ロックがメインストリームに進出していった。時代を変えたアルバムと、誇張なしにいえるアルバムのうちの一つだと思う。
29. WHY@DOLL/WHY@DOLL (2017)
ディスコ・ファンク的でご機嫌なシングル「菫アイオライト」が大好きだったので、軽い気持でこのアルバムも聴いたのだが、音楽評論家の原田和典氏による「ポップスの玉手箱」という表現が相応しい、素晴らしい内容であった。当時、オーガニックガールズユニットという肩書きを名乗っていたが、クオリティーの高い楽曲とキュートなボーカルに、人間味のようなものが感じられるところがとても良かった。個人的にはプライベートでの暗闇から救い出してくれた、とても重要なアルバム。
28. This Year's Model/Elvis Costello & The Attractions (1978)
エルヴィス・コステロは「パンチ・ザ・クロック」の頃からリアルタイムで聴きはじめたので、デビュー当時のパンク/ニュー・ウェイヴ色が濃かった頃については後追いである。そして、最も気に入っているのが1978年にリリースされたこのアルバム。いついかなる時でも聴けば元気になるし、気持ちに勢いがつく。
27. エレファントカシマシⅡ/エレファントカシマシ (1988)
デビュー・アルバムの数ヶ月後にはリリースされていた、2作目のアルバム。90年代にレーベル移籍後、ブレイクした頃に比べると、当時は孤高のイメージがより一層に強い。しかも、時代はバブル景気の真っ只中である。うたかたの夢に浮かれる世間をよそに、「おまえはただいま幸せかい」と、本質的な問いを投げかけた素晴らしいアルバム。
26. @LBUM~Selection 2014-2019~/WHY@DOLL (2019)
WHY@DOLLのT-Palette Records移籍以降の代表曲、未発表曲や新録音、別バージョンや最後の新曲などをコンパイルした、ラストアルバムである。タイトルに込められた意味は、WHY@DOLLはすべての曲が良いので、これはベスト・アルバムではなく、セレクション。そして、この時期のWHY@DOLLに深くかかわり、ファンからもリスペクトをあつめる作編曲家(そして、NEO・ニューミュージックの新星)、吉田哲人氏によるオフコースへのオマージュでもある。
25. Blue/Joni Mitchell (1971)
ジョニ・ミッチェルのことは、プリンスが好きなアーティストとして挙げていたかなにかで、名前だけはなんとなく知っていたのだが、90年代に名盤と呼ばれているアルバムを適当いろいろ買っていた時にこのアルバムも手に入れ、初めてちゃんと聴いて圧倒された。サウンドはシンプルなのだが、そのボーカルとメロディー、演奏のクオリティーがものすごく高く、こういったタイプの音楽にもこれぐらいの可能性があるのか、と驚かされたのであった。いまでも良い音楽を落ち着いて堪能したいという気分の時は、再生する頻度がわりと高いアルバムである。
24. 3 Feet High And Rising/De La Soul (1989)
80年代後半、ヒップホップはまったく新しいアートフォームのように思え、これこそが現在のロックンロールでありニュー・ウェイヴだと感じた。しかし、どこかマッチョ的なイメージもあり、そこが日本の文系男子としては距離を感じるところもあった。そこに、デ・ラ・ソウルである。音楽性やキャラクターにも親しみやすさを感じるし、スティーリー・ダンやホール&オーツなどをサンプリングしているところも良かった。これはとても画期的だったと、いまでも思っている。
23. In Utero/Nirvana (1993)
「ネヴァーマインド」の大ヒットで、世代の代弁者的な存在にまで祭り上げられた感のあるニルヴァーナ、そして、フロントパーソンのカート・コバーンであった。しかし、そもそもインディー指向であり、そこにギャップは感じていたはずである。そこで、スティーヴ・アルビニをプロデューサーに迎えた、よりラウドでヘヴィーなこのアルバムである。これもまあ売れてしまうのだが、数ヶ月後にカート・コバーン命を絶ち、その存在は伝説となる。エクストリームな苦悩と葛藤とが優れたポップ・ミュージックとして、ドキュメンタリーとして記録されたともいえる、生々しいロック・アルバムでもある。
22. Loveless/My Bloody Valentine (1991)
マイブラことマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「愛なき世代」こと「ラヴレス」は、制作に予定を大幅に超える時間と費用がかかり、レーベルを倒産させかけたことでも知られる。ノイジーなギターと美しいメロディーとボーカルの組み合わせには唯一無比のオリジナリティーがあり、その後に現れたフォロワーたちのいずれもが到達できなかった境地が記録されている。当時は皮肉を込めてそう呼ばれていたが、いまや立派に一つのサブジャンルとして定着した、シューゲイザーのシグネチャー的なアルバムでもある。
21. Screamadelica/Primal Scream (1991)
90年代前半で最も重要なイギリスのインディ・レーベルといえば、オアシスを世に送り出したクリエイション・レコーズで間違いないと思うが、1991年だけでマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン「ラヴレス」、ティーンエイジ・ファンクラブ「バンドワゴネスク」、そして、プライマル・スクリームのこのアルバムと、少なくとも3作のクラシック・アルバムをリリースしていた。80年代後半から90年代はじめにかけて、インディー・ロックとダンス・ミュージックの融合がトレンドになったが、その背景にはレイヴ・カルチャーとスマート・ドラッグがあったといわれている。そういった時代の気分をヴィヴィッドに反映した、エクレクティックなポップ・アルバムである。