50. AM/Arctic Monkeys (2013)
アークティック・モンキーズはロック・バンドでありながらドクター・ドレーなどのヒップホップを聴いて育ったという経験が血肉化し、その音楽性にもあらわれているところが特徴で、それが良くあらわれているのがこのアルバムであろう。ロックがメインストリームではなくなった時代においても、リアルタイムのポップ・ミュージックとしての強度を圧倒的に見せつけたロック・アルバムである。
49. Parade/Prince and The Revolution (1986)
映画「アンダー・ザ・チェリー・ムーン」は大コケしたが、それのサウンドトラックであったこのアルバムからは先行シングルの「キッス」が全米シングル・チャートで1位を記録した。それ以外の曲も、贅肉を限界まで削ぎ落としたかのようにシンプルだがファンクネスが感じられるサウンドは独特であり、これがメインストリームのど真ん中で売れているという事実にもすごさを感じていた。
48. Steve McQueen/Prefab Sprout (1985)
ソフィスティ・ポップというサブジャンル名が当時からあったのかどうかは定かではないが、まさにそれに相応しいアルバム。日本でしか通じないらしいネオ・アコースティックに分類されがちだが、けしてアコースティックというわけではない、いや、だからそこがネオなのだ、というようなことが言われたり言われなかったりもするが、とにかく楽曲が素晴らしく、インディー・ポップファンにも人気だが、西麻布のカフェバーの雰囲気にも似合うようなところがあった。WHY@DOLLファンは5曲目のイントロに歓喜するかもしれないし、しないかもしれない。
47. Innervisions/Stevie Wonder (1973)
スティーヴィー・ワンダーの最高傑作といわれがちなアルバム。社会的イシューに対する言及が多く、メッセージ性が強いが、それと同時に音楽的にもひじょうに充実している。「くよくよするなよ」は90年代にインコグニートによるアシッド・ジャズ的なカバーが、J-WAVEや六本木WAVE界隈を中心にヒットした。WHY@DOLLファンは4曲目のある部分を聴いて、ピンと来るかもしれないし来ないかもしれない。
46. What's Going On/Marvin Gaye (1971)
先日、改訂された「ローリング・ストーン」誌のオールタイム・ベスト・アルバム企画で1位に選ばれたアルバム。ロック・ファンからはいろいろ不満もあったようだが、今日のポップ・ミュージックに対する影響度などを考慮した場合、かなり妥当な結果なのではないかと、個人的には思う。社会問題をテーマにして、音楽的にもクオリティーがひじょうに高いアルバムとして、屈指の名盤であることは間違いない。「NME」が1985年に初めて発表したオールタイム・ベスト・アルバムのリストでも、このアルバムが1位に選ばれていた。
45. The Stone Roses/The Stone Roses (1989)
イギリスのインディー・ロック史においても、ひじょうに評価が高いアルバム。リリース当時に話題になっていたのでCDを買って聴いてみたのだが、普通のロックで別に新しくないのではないかと思って、すぐに売ってしまった。しかし、これは当時の私がサウンドの新しさによってのみしか、ポップ・ミュージックの良し悪しを判断できないというひじょうに間違った状態に陥っていたがゆえであり、後に買い直してずっと気に入っている。よく言われるインディー・ロックとダンス・ミュージックとの融合はこのアルバムだけではそれほど感じられないが、楽曲と演奏のクオリティー、ポジティヴな感覚には卓越したものがある。ダンス・ビートを取り入れたヒット・シングル「フールズ・ゴールド」はオリジナル盤には収録されていなかった。
44. Astral Weeks/Van Morrison (1968)
大学生になってから自由に使えるお金が増えたので、新譜だけではなく名盤と呼ばれるようなアルバムもいろいろ買いはじめた。アナログからCDに移り変わる過渡期でもあり、再発が盛んに行われていた印象もある。ヴァン・モリソンには通好みのアーティストという先入観があり、私のような単純なポップスファンにはよく分からないに違いないと思いながらもこのアルバムを買ったのだが、すぐに気に入ってしまった。オーガニックなサウンドと力強いボーカル、この組み合わせが絶妙であり、なにかとてもすごいものを聴いているという感覚がありながら、ライト感覚でも聴くことができるという、なんだか不思議な魅力がある。
43. MESS/AGE/いとうせいこう (1989)
いとうせいこうは「Hot-Dog Press」の「業界くん物語」やシティ・ボーイズ、竹中直人、中村ゆうじとのラジカル・ガジベリビンバ・システム、小説「ノーライフキング」などでマルチな才能を発揮しつつ、日本ではジャンル自体がまだそれほどメジャーではない頃からラップをやっている人という印象があった。このアルバムも軽い気持ちで買ったのだが、内容に度肝を抜かれた。日本語によるポップ・ミュージックにはここまでの可能性があるのかと、桑田佳祐、佐野元春以来の衝撃を受けた。言葉とサウンドによるイメージの波状攻撃に、意識が拡張していくような感覚を得た。
42. The Clash/The Clash (1977)
「白い暴動」の邦題でも知られる、ザ・クラッシュのデビュー・アルバム。パンク・ロックとしての純度が高いというか、これがパンク・ロックとでもいうべき、初期衝動的でメッセージ性が強く、エナジーに溢れた楽曲が次々と続く。
41. Low/David Bowie (1977)
デヴィッド・ボウイがベルリンに移り住み、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎えて制作した「ベルリン三部作」の最初の作品。とはいえ、レコーディングの大半はフランスで行われた。アナログ盤ではA面にあたる前半はモダンで実験的なポップス、B面にあたる後半はアンビエントなインストゥルメンタルで、当時の反応は賛否両論だったようだが、時代を先取り後のポップ・ミュージックに強い影響をあたえた作品として、現在では高く評価されている。