横山玲奈(モーニング娘。’20)も読んでいるという「ゆずきさんのなぐさメシ」と谷中などについて。 | …

i am so disapointed.

モーニング娘。’20の横山玲奈がブログでcomicoというアプリを紹介していて、それはスマートフォンなどでコミックが読めるものなのだが、中でも大好きなのが中学生の頃から読んでいたという「今週のかなでさん」という作品さしい。すでに連載を終了しているのだが、最近また読み返していたということである。

 

このcomicoというアプリを私もiPhoneでダウンロードで見てみたのだが、よく電車の中などで人が読んでいるのを見かけるコミック本の中身をそのまま電子化したようなものではなく、スマートフォンでの閲覧に最適化されていてとても見やすい。色もカラーできれいである。ページをめくるのではなく、下にスクロールしていくというのも良い。

 

「今週のかなでさん」は途中まで読んでいるのだが、学園を舞台にしたナンセンスギャグ漫画でかなり面白い。横山玲奈によれば感動するところもあるようなのだが、まだそこまではたどり着けていない気がする。そして、「今週のかなでさん」を書いているチョモランマ服部が現在、連載中なのが「ゆずきさんのなぐさメシ」であり、これも面白い。ゆずきさんは食堂ではたらく女性なのだが、毎回、描かれる料理がとても美味しそうである。そして、その舞台が谷中だったのだ。久しぶりに谷中に行って、可能ならば「ゆずきさんのなぐさメシ」に出てくるもちづき食堂のような店で食事をしてみるのも乙なもの、というアイデアがかけめぐる青春(ビューティ・ペア)であった。

 

2011年の秋に母と妹が東京観光に来ることになり、私がそのコースを作成した。妹に行きたい場所を抽出してもらい、それらをなるべく無理なく効率よく回れるように結びつけていったのである。それにしても、浅草とか皇居とか横浜中華街とかは分かるのだが、谷中というのが意外だったし、実はそれまで行ったことがなかった。それで調べてみて、実際の移動時間などをはかるために前の週に一人で下見をしてみた。80年代の「Hot-Dog PRESS」に載っていたデートマニュアル特集では、デートコースが決まったらまず実際に下見をしてみようということが書かれていて、おそらくその頃の名残であろう。

 

一体、私鉄の何線なのだろうと思っていたところ、JR山手線の日暮里駅だったので意外に思った。当日は浅草から銀座線に乗って、上野で乗り換えたのだったと思う。猫の街ともいわれているらしく、猫にちなんだ店がいろいろあるということであった。初めて行ったのだがとても気に入り、その後、妻とも行ったことがあった。それもおそらく6、7年前なので、しばらく行っていないことになる。

 

木曜日はWHY@DOLLのラストライブを収録した4時間半にもおよぶブルーレイディスクを一人で集中して観ようと思っていて、そうなると自宅は何かと無理なのでインターネットカフェに行くことにした。しかし、近所の店はプレステ2しかないのでDVDは観られるがブルーレイは観られないということで、iPhoneで調べたところ日暮里の自遊空間が検索結果として出てきた。もっとちゃんと調べればもう少し近場でもあったとは思うのだが、ここならば谷中にも行けるしちょうどいいと思い、電車に乗った。

 

JR山手線の日暮里駅で下車し、西口に出る。左折して歩いていくと寺やインド途中に寺やインド料理店などがあって、良い感じである。遠くに質屋おぢさんという看板が見える。来た時にはとても気になるのだが、次に来る時までにすっかり忘れている。そして、「ゆずきさんのなぐさメシ」でも第1回のはじめに描かれている「谷中ぎんざ」という大きな看板、そして、夕やけだんだんと呼ばれる階段である。「ゆずきさんのなぐさメシ」では会社をクビになった主人公の男性がこの階段に座り、パックの飲料を飲みながら考え込み、結果的にポジティブな結論に至って笑っていると、外国人観光客から「OH MY GOD・・・」「CRAZY・・・」とか言われて写真を撮られていた。

 

今回、私が行ったのは平日の午前中だったこともあり、コロナウィルスの影響もあってか人はそれほど多くはなく、何人かの外国人がトラックなどから何らかの積み下ろしを行っていた。夕やけだんだんを下りて、谷中銀座商店街を歩く。猫にちなんだ店が、やはりとても多い。「邪悪なハンコ屋 しにものぐるい」というとても気になる名前の店でも、やはり看板には猫が描かれていた。猫雑貨の専門店や、猫のしっぽをイメージしたドーナツを売っている店などもある。浅香唯「C-Girl」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」といった昭和のヒット曲がどこからか聞こえてくる。コロッケや惣菜、たこ焼きなどの店もあり、食べ歩きも楽しそうである。

 

1980年に田中康夫が発表した小説「なんとなく、クリスタル」で主人公の由利が千駄木に千代紙を買いにいく場面があった。ミッキーマウスの絵ハガキを買うのならば青山のオン・サンデーズでも良いのだが、江戸の千代紙には文京区や台東区にイメージがあり、千代紙を1枚買うためにわざわざ千駄木まで行くという気力を大切にしたい、というようなことが書かれていた。その千代紙を売っているいせ辰という店には、谷中銀座商店街から歩いてわりとすぐに行ける。江戸末期の1864年に創業したという老舗だが、扱っている千代紙はとても可愛くて若い女性や外国人観光客などにも人気があるようだ。

 

不忍通りという広い通りに出ると、東京メトロ千代田線の千駄木駅付近である。左折して少し歩くと根津神社がある。せっかくなのでここにも寄ることにするのだが、その少し手前で根津のたいやきを買う。元々は人形町の老舗たいやき店、柳屋の支店として1956年に開業したのだが、2000年からは根津のたいやきという屋号になっているようだ。14時には閉店してしまうし、それ以前に売り切れてしまうこともある。行列ができていることも多いのだが、この時はすぐに買うことができてよかった。皮がパリッとしていて、餡はとても甘くて濃い。1枚ずつ焼いているため、やや時間がかかるのだが、待ってでも買う価値があるクオリティーである。しかも、この時は待たずに買えた。

 

根津神社には引率された子供達や外国人観光客などがいた。1900年よりも前に日本神話の英雄であるヤマトタケルによって創建されたといわれ、パワースポットとしても人気がある。赤い鳥居がいくつも連なっていて、とてもインパクトがある千本鳥居、縁結びで知られる願掛けカヤの木などが有名である。また、近くに夏目漱石や森鴎外といった文豪が住んでいたこともあり、それにちなんだ旧跡などもある。

 

それはそうとして、今回は「ゆずきさんのなぐさメシ」に出てくるもちづき食堂のような店を見つけて食事をするという目的もあったのだが、もついろん漫画の中に登場する店なので、それが実在するわけではない。それでも、モデルとなった店ぐらいはあるのではないか。そう思って事前にリサーチはしていたのだが、どうも無さそうなのである。主人公が美味しそうなにおいにひかれ、無我夢中でその元に向かって走っているコマには「かき氷」と書かれた看板が描かれている。これはおそらくひみつ堂という店のもので、実際に谷中銀座商店街にはいくつか設置されている。しかし、近くに私が調べた限り、もちづき食堂のような店は存在しない。定食屋的な店という意味では、日暮里駅から歩いて夕やけだんだんの手前を少し入ったところにある谷中フーズアサヒヤというのがそれに近いような気もするのだが、もちづき食堂の外観の特徴である入口の暖簾が無い。第1回の2コマ目にしてゆずきさんはもちづき食堂の入口に暖簾を掛けているので、これはイメージとしてとても重要な気がする。

 

やはり漫画の中に出てくる食堂なので、必ずしもモデルになった店などは存在するとは限らないのだ。谷中銀座商店街からは10分以上歩き、田端駅からの方が近いのではないかと思える場所に動坂食堂という店がある。先ほど歩いた不忍通りに出て右折、つまり根津とは逆の方向に歩いていくのだが、とりあえず行ってみることにした。すると途中にシャッターは閉まっていたものの、望月電気商会という店があり、その下には平仮名で「もちづき」と書かれていた。

 

動坂食堂の前まで行ってみると、入口には暖簾が掛かっていた。ディテールはもちづき食堂と異なっているところも多かったが、少なくとも暖簾という点では一致していた。「ゆずきさんのなぐさメシ」で最初に出される料理はカツ丼である。動坂食堂の店頭にあるショーケースにカツ丼の食品サンプルはないが、ネットで調べた情報によるとメニューにはあるらしい。ブラインド越しにうっすらと見た感じ、お昼どきということもあり混んでいそうだったのと、根津のたいやきを食べたことで揚げものはちょっと重いかなというところもあったので、中には入らなかった。それで、谷中の薬膳カレーじねんじょという店でランチの野菜カレーを食べたのだが、これはとても美味しかった。