「WHY@DOLL LAST LIVE TOUR」のブルーレイディスクについて。 | …

i am so disapointed.

先日、「WHY@DOLL LAST LIVE~WE ARE ALWAYS HERE FOR YOU~」のブルーレイディスクが自宅に届いていた。最終日の昼、夜公演がいずれも収録されていて、計270分、つまり4時間半にも及ぶコンテンツである。これだけの時間をまとめて取り、誰からも中断されずに最後まで観るにはどうすればいいだろうと考えながらトートバッグに入れて通勤したり出かけたりしていたのだが、埒が明かないまま数日が経過した。ちなみに私が持ち歩いているのはWHY@DOLLのグッズのデニム地のやつなのだが、忠誠を貫いているとかいうような高邁な理由からではなく、というか私はこのブルーレイディスクに収録されているラストライブにすら行っていない、もはやファンとしての体裁をまったく保っていないタイプの人物なので、ただ便利だからということに過ぎない。

 

それはそうとして、休日だしそれにもかかわらず不機嫌な連絡が入るというクソ状態におちいる可能性が最も低い日だったので、いつ観るの?いまでしょ!(林修先生ではなくてNegiccoのNao☆)というわけで、近所のインターネットカフェに行ったのだが、プレステ2しかないのでDVDは観られるけれどブルーレイは観られないという衝撃の回答。ガビーン!伊藤ガビーン!、というか、ガクッ!鳥井賀句(「定本ストーンズ・ジェネレーション We love The Rolling Stones」)!、というわけでiPhoneでブルーレイが観られるインターネットカフェを検索、すると自遊空間日暮里2号店などという検索結果が出る。遠い!遠井吾郎(元阪神タイガース)!

 

しかし、実はちょうど谷中に行きたいと思っていたのでこれは都合がいい、ステキなタイミング(坂本九)ではないかと思い。京王線と山手線を乗り継いで行った。なぜ、谷中に行きたかったかというと、モーニング娘。’20の横山玲奈(すごく可愛い)が楽しく読んでいるというcomicoというアプリの「ゆずきさんのなぐさメシ」というコミックが谷中を舞台にしていて、読んでいるうちに久しぶりに行きたくなったのである。単純である。シンプル・マインズ「ドント・ユー(フォーゲット・アバウト・ミー)」である。それで、偶然連絡が取れたとある未婚女性(けろけろけろっぴ似)と日暮里駅の改札で待ち合わせた。

 

西口で降りて右に曲がって夕やけだんだんと呼ばれる階段を下り(夕やけニャンニャンではないので片岡鶴太郎や松本小雪やとんねるずは出てこない)、質屋おぢさんという看板を気にしたり、やたらと猫を推しまくっている谷中銀座商店街を通り、根津のたいやきを買ったり根津神社でまったりしたり、とあるフィールドワークを行ったり、薬膳カレーじねんじょで野菜カレー(とても美味しい)しているうちに午後になっていたので、同行していたとある未婚女性(けろけろけろっぴ似)に、「これからどうしてもやらなきゃいけないことがあるんだ」(「サウンド・ストリート」の佐野元春を真似た口調で)言って別れ、わずか徒歩7分ぐらいのところをGoogleマップで調べて迷いながらも、やっとこさ自遊空間日暮里2号店にたどり着いた。自遊空間には過去に山口県宇部市と杉並区高円寺で入会していたのだが、もちろんしばらく行っていないので会員証が財布に入っていない(高円寺の一人カラオケワンカラの会員証は入っていたのだが)。それで、改めて入会をするのが面倒だなと思っていたのだが、すべて機械でできて便利な世の中になったものだと感心した。ブルーレイのドライバは店員に言って借りた。

 

鍵付防音個室でテレビにブルーレイのドライバを繋いだりいろいろして、ディスクを再生したのだがいきなりテレビのスピーカーから「サンライズ!~君がくれた希望~」がまあまあの音量で流れ、あわてて電源を消してからヘッドフォンを正しく差し直したりして、やっとこさ視聴できる状態になった。

 

このライブには日程が日曜日という時点で行くことを完全にあきらめていて、チケットも取っていなかったので、詳しい情報も特に調べていなかった。昼がDANCE LIVEで夜がBAND LIVEなのではないかと、完全に間違えて覚えてもいたのだが、過去にリリースされた全曲をDANCE LIVEでやるということであった。これは昼公演の映像を途中まで観たところで気づいたのだが、夜公演と曲目が1曲もかぶっていない。それぞれ結構な長さのライブなのだが、これぐらい曲が多いということなのだ。ということは、「Magic Motion No.5」のような人気曲でさえも昼公演が本当に最後のパフォーマンスということになる。

 

WHY@DOLLはレーベルを移籍していたり音源化されていない曲もあるため、1つのコンテンツにすべての曲を収録することがひじょうに難しいのだが、このブルーレイディスクにはすべて収録されているということになる。札幌で活動していた頃のよく知らない楽曲もあり、バラエティーにとんでいて楽しかった。

 

観ていると本当にいろいろな曲があり、中でも自分の趣味に合った曲の傾向がだいたい分かってくる。このブルーレイディスクは一般販売はされていなくて、クラウドファンディングに参加した人だけが買えるようになっている。WHY@DOLLはこの日のライブを最後に活動を休止したのだが、メンバーやクリエイターも言っているように、その音楽はずっと残るので、できればずっと聴かれていくべきである。それだけのクオリティーではあると思うし、人気や知名度が見合っていないとは個人的に思う。もう活動を休止してしまったし、こんなことを言っている私自身がある時期からライブに行かなくなったわけだが、メンバーやクリエイターがこれからも聴いてほしいと言っていたならば、今後もこれについて語り、まだ知らないかった人が出会うことには意味があるのではないか。

 

このライブのチケットはわりと早い段階で完売していたということなので、私のように曜日が仕事とかぶることが分かった瞬間に調整する努力もせずに早々にあきらめた者ばかりではなく、なんとかして行きたかったのだがどうしても行けなかったという人達もいるのだろう。特にそういう人達にとっては、このラストライブの映像が記録されたことだけでもひじょうに価値がある。私もその程度の期待感でクラウドファンディングに参加し、結果としてこのブルーレイディスクを手に入れたのだが、実際にその作りの丁寧さと資料的価値の高さに驚いた。

 

まず、大前提として私にとってWHY@DOLLの最大の魅力とは楽曲の良さなのだが、このブルーディスク1枚で未音源化曲や、いまや入手困難となったものも含め、すべてを最新のパフォーマンスで聴くことができる。パフォーマンスに関していえば、私は最後は実際には観ていないのであまりはっきりしたことはいえないのだが、ずっとそのクオリティーを更新し続けたのではないか。つまりどの曲についても、それまでの活動の集大成、最新にして最高のパフォーマンスが収録されているということになる。

 

よくあるライブ映像のように、いくつかのカメラによって撮影されているため、切り替えなども行われている。正直いって、観はじめたばかりの段階で、パフォーマンスは良いのだが客のガヤのような声を拾いすぎではないかとも思っていた。しかし、すべてを見終わった後となっては、WHY@DOLLのライブとは、少なくとも私がまだ行っていた頃の記憶では実際にそのようなものであったし、ある人達にとってはそれがとても楽しく、それも含めて最高のWHY@DOLL体験だったのだろう。ブログでは主に好きなことについてしか書いていないので分かりにくくなっているかもしれないが、本来、私はとても心が狭く性格が悪い人間なので、こうして自分があまり良いと思わないからといって否定するのは独りよがりで良くないなと反省したのである。

 

というのも、この映像作品は限られた制約の中で、このWHY@DOLLという素晴らしいユニットと、そのライブが存在していた証、そして、それは一体どのようなものだったのかを出来るだけ正確に記録しようとした、愛のある仕事だと気がついたからだ。

 

たとえば、「恋なのかな?」という曲の後半で「恋なのさ」というフレーズのコール&レスポンスがある。ある時期から、一部のファンが何人かで肩を組みながらそれをやるということが定番化した。私もとある先輩ファンからのご厚意により、それによく参加させてもらっていたのだが、個人的にはWHY@DOLLのライブに参加していた短い期間の中でも、とても楽しかった思い出の一つである。しかし、これもなんだか鬱陶しいなと思って見ていた人達がいなかったとは限らない。そして、このブルーレイディスクのその部分では、この何人かのファンが肩を組んでコール&レスポンスをする姿がうっすらと挿入されている。もちろん私はこのライブに行っていないので映ってはいないのだが、この挿入された映像があっただけで、あの楽しさをふたたび心に刻みなおすことができる。

 

このような箇所が、それぞれのファンにとって感じることができるように、随所に盛り込まれているのではないかという気がする。基本的にはパフォーマンスを追った映像になっているのだが、後半では実際に会場にいたとしても見ることができなかったであろうメンバーの表情を捉えていたりと、当日に参加した人にとっても参加しなかった人にとっても素晴らしい作品になっているし、記録映像としてもクオリティーが高い。メンバーにとっても激しくも楽しく生きていた証として、この上ないコンテンツになっていると思う。なぜなら思い出は少しずつ薄れていき、やがて忘れ去られていくからである。

 

「セツナSHOOTING STAR」を私は、アイドルという存在の比喩としても聴いていたのだが、今回も「運命は優しくない 変えようともがいてみたって 燃え尽きる セツナSHOOTING STAR」というところを、ある感慨にふけりながら視聴していた。次の「Tactics」はWHY@DOLLのメンバーの顔と名前さえ一致していなかった頃に、当時の個人的な状況と合わせて身悶えしながら聴いていたな、と思い出した。「マホウノカガミ」は私が渋谷Gladの定期公演にほぼ毎回、参加していた頃の記憶を最も呼びさましてくれる曲だと気がついた。特にまだ客が少ない17時30分からの一部の風景である。そして、「Ringing Bells」の「『運命』なんてそんなの結果論 女の子を楽しまなきゃ!」でハッとさせられた。

 

WHY@DOLLの活動はハッピーエンドだったと思う。メンバーやスタッフ、ファンが思い描いた通り、順調にいくことばかりだったかというと、もちろんそうではなかったかもしれない。しかし、「運命」なんていうものはそんなのは結果論であり、基本的には楽しもうと思いながら、実際には苦しんだりもがいたりもして、全力でやっていたのだろう。その結果なのであり、ユニットの活動としてはこれがベストで、このブルーレイディスクを観ると、それを確信できたりもする。青木千春と浦谷はるな、このメンバー二人がファンにあたえたであろう楽しみであったり癒しの大きさ、深さに見合うだけのしあわせを手に入れることが重要であり、WHY@DOLLとしての活動はその途中経過にしか過ぎない。

 

WHY@DOLLの最後の新曲「album」はとても素晴らしく感動的なのだが、この曲の最初で最後のパフォーマンスが観られたのも良かった。そして、ブルーレイディスクのエンディングではこの曲のレコーディング風景やラストアルバムのジャケット撮影風景、また、まさに「album」のコンセプトに相応しい貴重な写真の数々も映し出される。本当に素晴らしいブルーレイディスクであった。