スニークス「ハイウェイ・ヒプノシス」について。 | …

i am so disappointed.

ワシントンDCを拠点として活動するアーティスト、エヴァ・ムールチャンによるソロ・プロジェクト、スニークスの3作目のアルバム「ハイウェイ・ヒプノシス」がリリースされた。収録曲は13曲で、合計時間は約29分、すべての曲が3分未満となっている。これでも過去2作と比べると倍ぐらいの長さなのだが、その中にフレッシュなが詰め込まれていて、とてもおもしろいアルバムになっている。

 

前作まではドラム・マシン、ベース、ヴォーカルというミニマルな編成で、ポスト・パンク的な音楽性だったのだが、今回のアルバムにおいてはブレイクビーツやシンセサイザーなどが用いられ、ひじょうに音楽性の幅が広がったような印象を受ける。アーティスト自身がマントラ的なものであるとしているヴォーカルはアブストラクトでありながら感覚的であり、様々なイメージをかき立ててくれる。

 

1曲ごとの時間が短いこともあり、アイデアのスケッチ集であったりサンプラー的な感じも受けるが、生活のリズムが加速しつつ、情報過多な現代にはフィットしているのかもしれない。ふとした合間にこのアルバムを再生していて、もう何度か聴いているのだが、ものすごく寒い日の夜に暗い中野の道を歩きながら聴いていた時、頭の中でイメージが広がっていって、なかなか刺激的であった。

 

ポップ・ミュージックの新たな可能性を考える上で、希望を感じさせてくれるアルバムであり、この先がひじょうに楽しみでもある。たとえば、より通常のフォーマットに近いかたちで作品がつくられた場合、どのような感じになるのだろうかという期待がある一方で、こういうかたちがもしかすると最もしっくりきているのかもしれない、と思ったりもする。このアルバムではジャックナイフ・リーがプロデュースを手がけた「ホンコン・トゥ・アムステルダム」あたりが最もそれに近いような気がする。