シャロン・ヴァン・エッテン「リマインド・ミー・トゥモロー」について。 | …

i am so disappointed.

シャロン・ヴァン・エッテンについてはオルタナティヴな実力派シンガー・ソングライターという印象があり、前々作「トランプ」、前作「アー・ウィー・ゼア」のモノクロのアートワークも内容とマッチしていると思っていた。ところが、つい先日にリリースされた最新アルバム「リマインド・ミー・トゥモロー」のアートワークはカラフルであり、よく見るとかなり散らかった部屋である。そして、子供もいる。

 

前作のリリース以降、シャロン・ヴァン・エッテンは出産を経験し、女優としてテレビドラマに出演し、メンタルヘルスのカウンセラーになるための勉強をした。こういった様々な変化は、音楽にも影響を及ぼしたようである。このアルバムを無理やりポップ・ミュージックのサブジャンルに当てはめるならば、シンセ・ポップとかニュー・ウェイヴになるのではないだろうか。それぐらいシンセサイザーのサウンドが印象に残り、それがオーセンティックなソングライティングと見事な化学反応を起こし、実にフレッシュなポップ・ミュージックを生み出している。

 

しかも、アナログシンセサイザーである。このアルバムに収録された楽曲は、恋愛の様々なフェイズにおける感情をヴィヴィッドに表現したものが多いが、運命の人に出会えたとでもいうような至福の時間をテーマにした楽曲のタイトルが「ジュピター4」で、これはアルバムの制作に使用されたシンセサイザーの名前だという。ジュピターシリーズといえばローランドのアナログシンセサイザーであり、YMOことイエロー・マジック・オーケストラも使っていたといわれている。

 

このアルバムには第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンによってシンセサイザーを用いたポップスがポピュラーになる前の、シンセサイザーのサウンドがまだ実験的に聴こえていた頃の記憶を呼びさましてくれるようなところがある。

 

オルタナティヴなシンガー・ソングライターによる音楽が、その本質な魅力を損なわずに、よりメジャーなサウンドを得ることによって成功した例としては、セイント・ヴィンセントが思い浮かぶ。そのプロデュースを務めているジョン・コングルトンが今回、初めてシャロン・ヴァン・エッテンの作品を手がけたのだが、これは大正解だったのではないだろうか。

 

刺激的なポップ・アルバムでありながら、酸いも甘いも嚙み分けた大人のラヴ・ソング集としても優れているこの作品において、特に印象的だったのが「セブンティーン」という曲である。大人になった現在から、17歳の頃の自分自身に対して歌った曲で、ほろ苦くも肯定的な感動がある。

 

 

 

 

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