好きなクリスマス・ソングについて考え、聴き直す季節がやってきた。今年は50曲を選び、現時点で好きな順番にランキングをつくるというのをやってみた。50曲全部を1つの記事にまとめたかったのだが、文字数オーバーで保存できなくなったので、動画の貼り付けは最小限に抑えた。それでは、50位から発表していきたい。
50. I WAS BORN ON CHRISTMAS DAY/SAINT ETINENNE
セイント・エティエンヌが1993年にリリースしたクリスマス・シングルで、全英シングル・チャート最高37位を記録した。サラ・クラックネルとゲスト参加したザ・シャーラタンズのティム・バージェスとのデュエットになっていて、タイトルは12月25日が誕生日のボブ・スタンレーのこととも取れる。
49. Peach X'mas/岡村靖幸
岡村靖幸によるクリスマス・ソングで、ライブやテレビ番組では1990年ぐらいからパフォーマンスされていたが、1995年にやっとCD化された。初期の岡村靖幸の楽曲によくあったような、好きな女性に想いを伝えられない男性に勇気をあたえるような内容となっている。シングルが何度か再発されている他、アルバム「禁じられた生きがい」「OH!ベスト」などにも収録されている。
48. PLEASE COME HOME FOR CHRISTMAS/THE EAGLES
イーグルスが1978年にリリースした、ブルース歌手、チャールズ・ブラウンの1960年のシングルのカヴァーで、全米シングル・チャートで最高18位を記録した。邦題は「二人だけのクリスマス」で、ロッカ・バラード的な曲調が特徴的である。1994年にはボン・ジョヴもカヴァーし、全英シングル・チャートで最高7位のヒットを記録している。
47. SLIDE/フリッパーズ・ギター
1990年にリリースされたシングル「LOVE TRAIN」のカップリングで、当時、求人雑誌の「an関西版」のCMでも流れていたらしい。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を打ち込みでカヴァーしてイギリスでヒットさせていたキャンディ・フリップからの影響が指摘されていたような気もする。コンピレーション・アルバム「colour me pop」「Singles」などで聴くことができる。
46. Christmas of Love/サニーデイ・サービス
2018年11月28日に配信されたばかりのサニーデイ・サービスによるクリスマス・ソングで、絶望の時代の希望の音楽。
45. 8 DAYS OF CHRISTMAS/DESTINY'S CHULD
2001年にリリースされたデスティニー・チャイルドのクリスマス・アルバムのリード・トラックで、シングル・カットもされた。コンテンポラリーなR&Bグループとしてのデスティニー・チャイルドの魅力が満載のクリスマス・ソングで、ビデオでのサンタ・コスチュームもキュートである。
44. X'MAS IN THE NEXT LIFE/高橋幸宏
高橋幸宏の1991年のアルバム「A Day In The Next Life」からのシングル・カット。別れを余儀なくされた恋人に、来世でまた会おうと歌う痛切な大人のラヴ・ソング。アルバムではこの曲の後に、湾岸戦争へのプロテストを込めたとも思われる「神を忘れて、祝へよクリスマス・タイム」が続く。
43. パウダースノウ/WHY@DOLL
札幌出身のガールズ・ユニット、WHY@DOLL(ホワイドール)が2015年にリリースしたミニ・アルバム「NAMARA!!」の収録曲で、スウィング・ジャズの影響も感じられるお洒落なカフェ・ミュージックにのせて、一人ぼっちのクリスマスが自然体かつ前向きに歌われる。
42. PEACE ON EARTH/LITTLE DRUMMER BOY/DAVID BOWIE & BING CROSBY
1977年にテレビで放送されたビング・クロスビーのクリスマス特番において、デヴィッド・ボウイとのデュエットで歌われたクリスマス・ソング。1982年にレコードがリリースされ、全英シングル・チャートで3位を記録した。
41. ANOTHER LONELY CHRISTMAS/PRINCE
プリンスの1984年のアルバム「パープル・レイン」から4枚目のシングルとしてカットされた「ダイ・フォー・ユー」のB面に収録されていたクリスマス・ソングで、クリスマスの日に亡くなった恋人を悼む内容となっている。ベスト・アルバム「ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション」などで聴くことができる。
40. クリスマスソングを何か/KIRINJI
KIRINJIの2014年のアルバム「11」に収録。コトリンゴと弓木英梨乃によツイン・ボーカルが魅力的な、都会的でキュートなクリスマス・ソング。
39. DRIVING HOME FOR CHRISTMAS/CHRIS REA
1988年にリリースされたクリス・レアのクリスマス・シングルで、当時は全英シングル・チャートで最高53位にとどまったが、人気は高く、2007年に33位、2017年に14位とリバイバルして最高位を上げている。ソフィスティケイトされたサウンドとクリス・レアのしゃがれたボーカルとのマッチングが最高である。
38. シャ・ラ・ラ/サザンオールスターズ
サザンオールスターズや桑田佳祐の楽曲にはもっと有名なクリスマス・ソングがいくつもあるが、私が最も好きなのは1980年にリリースされたこのシングルである。デビューからずっとヒット曲を連発していて忙しかったサザンオールスターズは、この年から音楽制作に集中するためにメディアへの出演などを控えるのだが、それもあってセールスは低迷していた。しかし、この期間にシングル・ヒットは無かったもののアルバムは確実に売れるバンドとなり、1982年の「チャコの海岸物語」でヒット・チャートに返り咲いてからは、国民的バンドとしての地位を確立したのであった。この曲もオリコン週間シングルランキングでは最高29位に終わっているが、人気はひじょうに高い。当時はまだ結婚していなかった桑田佳祐と原由子とのデュエットになっていて、クリスマスに相応しい親密な関係性や信頼といった、とても重要なことについて歌われているような気がする。オリジナル・アルバムには収録されていなく、バラードのみを集めたベスト・アルバム「バラッド ’77~’82」などで聴くことができる。
37. FATHER CHRISTMAS/THE KINKS
ザ・キンクスが1977年にリリースしたクリスマス・シングルで、イギリスの階級社会にも言及したような内容になっている。
36. CHRISTMAS TIME IS HERE/VINCE GUARALDI TRIO
1965年に製作されたテレビアニメーション「スヌーピーのクリスマス」は、アメリカでは知らない人がいないほどのクリスマスの定番となっているらしい。サウンドトラックはヴィンス・ガラルディによるジャズで、これもまたクリスマス気分を盛り上げてくれるものである。この曲はその中でも特に懐かしくて温かい感じがするバラードである。
35. 12月24日/ピチカート・ファイヴ
2000年にリリースされたピチカート・ファイヴにとって最後のシングルで、アルバム「さ・え・ら ジャポン」やコンピレーション・アルバム「singles」などにも収録されている。ダンス・ビートにのせて東京のクリスマス・イヴに気持ちを高まらせる女の子の心情を、野宮真貴のクールでキュートなヴォーカルがヴィヴィッドに表現している。
34. RUN RUDOLPH RUN/CHUCK BERRY
チャック・ベリーが1958年にリリースしたご機嫌なロックンロールのクリスマス・ソング。
33. I WISH IT COULD BE CHRISTMAS/WIZZARD
エレクトリック・ライト・オーケストラを脱退したロイ・ウッドを中心に結成されたウィザードによる、1973年のヒット曲で、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。グラム・ロック的なムードも感じられ、まさに1970年代のブリティッシュ・ポップ的なクリスマス・ソングだといえる。
32. CHRISTMAS TIME IN BLUE -聖なる夜に口笛吹いて-/佐野元春
佐野元春が1985年にリリースしたクリスマス・シングルで、当時は12インチ・シングルで発売された。レゲエのリズムが導入され、歌詞においては世界平和のメッセージが込められているようである。当時、日本のポップ・ミュージックにもクリスマス・ソングが増えてきていたが、ほとんどが個人的な恋愛について歌っていたのに対し、いかにも佐野元春らしいなと思った。オリコン週間シングルランキングでは最高7位を記録している。
31. CHRISTMAS RAPPIN'/KURTIS BLOW
当時、20歳にしてメジャー・レーベルと初めて契約したヒップホップ・アーティストとなったカーティス・ブロウのデビュー・シングルにして、オールドスクール・クラシックである。
30. FROSTY THE SNOWMAN/COCTEAU TWINS
コクトー・ツインズが1993年にリリースした2曲入りEP「スノー」に収録されていたクリスマス・スタンダード。バンドの魅力である幻想的なムードとクリスマス気分が化学反応を起こし、とても良い感じのクリスマス・ポップスになった。
29. ジングルガール上位時代/Tomato n' Pine
2012年に散開した日本のアイドル・グループ、Tomato n' Pineによる2011年のシングルで、名盤アルバム「PS4U」にも収録されている。
28. WHAT CHRISTMAS MEANS TO ME/STEVIE WONDER
みんな大好きなスティーヴィー・ワンダーによる1967年のクリスマス・ソング。
27. STEP INTO CHRISTMAS/ELTON JOHN
エルトン・ジョンが「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」と「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」の間というノリにノッているタイミングでリリースした1973年のクリスマス・シングルで、当時の全英シングル・チャートで最高位は24位だったが、2017年には11位になって記録を更新した。
26. MERRY CHRISTMAS (I DON'T WANT TO FIGHT TONIGHT)/RAMONES
ラモーンズが1989年にリリースしたアルバム「ブレイン・ドレイン」に収録されたクリスマス・ソング。パンク10周年後、日本ではバンド・ブームでラモーンズの人気も高かった頃の作品である。
25. SANTA CLAUS IS COMIN' TO TOWN/BRUCE SPRINGSTEEN
クリスマスのスタンダード・ナンバー「サンタが街にやってくる」をブルース・スプリングスティーンがカヴァーしたもので、1975年に行われたEストリート・バンドとのライヴから録音されたヴァージョンが1982年に「セサミ・ストリート」のコンピレーション・アルバムに収録された。その後、1984年のアルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」からシングル・カットされた「マイ・ホームタウン」のB面としてもリリースされている。ブルース・スプリングスティーンがバンド・メンバーに対して、いい子にしていると新しいサックスがもらえるというようなことを言っているのがおもしろい。
24. MERRY X'MAS EVERYBODY/SLADE
1970年代にイギリスでヒット曲を連発していたグラム・ロック・バンド、スレイドによる1973年のクリスマスNo.1ヒット。
23. SANTA CLAUS GO STRAIGHT TO THE GHETTO/JAMES BROWN
ゴッドファーザー・オブ・ソウル、ジェイムス・ブラウンがリリースした1968年のクリスマス・アルバム「ソウルフル・クリスマス」からシングル・カット。ファンキーでソウルフルなゲットーのクリスマス・ソング。
22. すてきなホリデイ/竹内まりや
2000年にケンタッキーフライドチキンのクリスマスCMソングとしてレコーディングされ、2001年のアルバム「Bon APPETIT!」、シングル「ノスタルジア」に収録されている。編曲を大御所の服部克久が手がけ、アットホームかつゴージャスな雰囲気を演出している。
21. SANTA CLAUS IS COMIN' TO TOWN/THE JACKSON 5
ブルース・スプリングスティーンのヴァージョンに続き、2曲目の「サンタが街にやってくる」である。「ママがサンタにキスをした」の方にしようかとも思ったのだが、幼い頃のマイケル・ジャクソンのボーカルの魅力が最も発揮されているのは、おそらくこちらの方であろう。
20. SANTA TELL ME/ALIANA GRANDE
アリアナ・グランデが2014年にリリースしたクリスマス・シングルで、現在の恋人と来年も一緒にいられるだろうかという不安をサンタクロースに打ち明けるという内容の歌詞が、ポップなR&Bにのせて歌われている。アリアナ・グランデはフェミニズムの観点から見ても、現在、若者のロールモデルとしてひじょうに理想的なポップ・スターであり、今後の活躍も大いに楽しみにしたい。
19. COOL YULE/LOUIS ARMSTRONG
ジャズ・アーティストのルイ・アームストロングによる1953年のシングルで、オーセンティックだがフレッシュさをけして失っていない本物のエヴァーグリーン・ポップス。歌も演奏も最高である。
18. BLUE CHRISTMAS/ELVIS PRESLEY
エルヴィス・プレスリーの1957年のアルバム「エルヴィス・クリスマス・アルバム」収録曲の中でも、特にそのヴォーカルの魅力が味わえる曲である。
17. THIS CHRISTMAS/DONNY HATHAWAY
ソウル・シンガー、ダニーハサウェイによる1970年のクリスマス・シングルで、リリース当初はヒットしなかったが、1991年コンピレーション・アルバム「ソウル・クリスマス」に収録されると注目を集め、いまではクリスマス・クラシックスの1曲として定着した感がある。
16. CHRISTMAS IN HOLLIS/RUN-D.M.C.
RUN-D.M.C.によるこのクリスマス・シングルは、1987年のコンピレーション・アルバム「クリスマス・エイドⅠ」にも収録されていた。タイトルにある「ホリーズ」とはメンバーが育った地元の地名らしく、ラップではそこでのクリスマスの現実が描写されているという。間奏でクリスマス・ソングのメドレーのような部分もある。
15. DO THEY KNOW IT'S CHRISTMAS/ BAND AID
アフリカの飢餓を救うため、ボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロによって立ち上げられたチャリティー・プロジェクトによる1984年のシングルで、ボーイ・ジョージ、サイモン・ル・ボン、ジョージ・マイケル、スティング、ポール・ウェラー、ボーノなどをはじめ、多くの人気アーティストたちが参加したことが話題となった。全英ヒット・チャート1位のヒットを記録したが、この流れはアメリカにも波及し、USAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」、そして大規模なチャリティー・ライヴ・イベント、ライヴ・エイドへとつながっていった。
14. 2000 MILES/PRETENDERS
冬や雪のイメージに彩られた美しい曲は、いまはもうここにはいない人を想うような内容なのだが、これはこの年に亡くなったバンド・メンバーのことだと言われている。1983年にリリースされ、全英シングル・チャートで最高15位を記録した。
13. SLEIGH RIDE/THE RONETTES
フィル・スペクターのアルバム「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」はそれ自体がクリスマスのマストアイテムともいえるが、ザ・ロネッツによる「そり滑り」のカヴァーが特に素晴らしい。1963年の作品だが、まるで冬の楽しみがその場の雰囲気や気持ちをも含めて真空パックされたかのような素晴らしい音楽である。
12. LITTLE SAINT NICK/THE BEACH BOYS
フィル・スペクターのクリスマス・アルバムに刺激されて、ビーチ・ボーイズがつくったクリスマス・ソングだという。ビーチ・ボーイズのオリジナルだが、現在ではスタンダード化している。当時、ライバル意識から切磋琢磨し合い、次々と素晴らしいポップスが生まれていた1960年代の状況が、クリスマス・ソングを聴くだけでも見えてくるのである。そのような情報は抜きにしたとしても、純粋に最高に楽しいポップスである。
11. ROCKING AROUND THE CHRISTMAS TREE/BRENDA LEE
ブレンダ・リーによる1958年のシングルで、当時はヒットしなかったが、その後、人気を高めてスタンダード化していった。ロックンロールとカントリー・ミュージックとの要素が絶妙にミックスされたようなこの曲の最大の魅力は、やはりブレンダ・リーのヴォーカルに尽きるのだが、レコーディングの時にはまだ13歳だったというのだから驚きである。
10. RIVER/JONI MITCHELL
1971年にリリースされた最高のアルバム「ブルー」の収録曲で、シングル・カットはされていないが、ジョニ・ミッチェルの曲の中でもひじょうに人気が高い。イントロでは「ジングル・ベル」のメロディーがピアノで演奏されている。クリスマスが近づいているが恋人と別れ、一人ぼっちなのでさびしいという内容だが、タイトルの「リヴァー」は、ここに凍った川があれば氷の上をスケートで滑って逃げていけるのに、ここには緑が溢れている、というような歌詞に登場する。カナダ出身のジョニ・ミッチェルにとって、凍った川の上でスケートを滑るというイメージは、故郷を思い出させるものなのかもしれない。歌詞のモチーフとなった失恋の相手はグラハム・ナッシュではないかといわれている。
9. CHRISTMAS WRAPPING/THE WAITRESSES
ニューヨークのニュー・ウェイヴ・バンド、ウェイトレシズが所属していたZEレーベルのクリスマス・コンピレーションのためにレコーディングした曲で、1981年にイギリスでシングル・カットされたが全英ヒット・チャートにはランクインせず、翌年に最高42位を記録した。しかし、その後、この曲の人気は高まり、スパイス・ガールズやカイリー・ミノーグといったポップアクトをはじめ、多くのアーティストによってカヴァーされたり、映画のサウンドトラックに使われたりしている。この曲の主人公は独り身の女性で、クリスマスのせわしなさにはうんざりしていたので、この年はすべての誘いを断って一人で過ごすことにしていた。一年前にスキー・ショップで出会った男性の電話番号を聞いたが一度もかけず、その後も会えずじまいだった。家で一人だけで食べるために買った七面鳥を焼いていて、クランベリーを買い忘れていたことに気がついた。それでコンビニエンスストアに行くと彼がいて、今年のクリスマスは一人で過ごすつもりだという。なぜコンビニエンスストアにいるかというと、彼もクランベリーを買い忘れていたからであった。そこで大笑いして、その後のことは詳しく描写されていないのだが、クリスマスの魔法がしあわせな結末を運んでくれた、と歌われている。この出来すぎではあるがストーリー性のある楽しい内容が、ニュー・ウェイヴ・サウンドと脱力気味のキュートなヴォーカルで歌われている。日本人にはあまりリアリティーがないが、七面鳥にはクランベリーソースが欠かせないのだという。
8. WONDERFUL CHRISTMASTIME/PAUL McCARTNEY
ポール・マッカートニーが1979年にリリースしたクリスマス・シングルで、全英シングル・チャートで最高6位を記録している。ビデオ・クリップに当時のバック・バンドであったウィングスのメンバーも映っているが、レコーディングではすべての楽器をポール・マッカートニーが演奏したという。これは翌年のソロ・アルバム「マッカートニーⅡ」にもつながる流れであろう。リリース当時は評価がそれほど芳しくはなかったが、近年、再評価されているような印象のある「マッカートニーⅡ」には、テクノポップからの影響が感じられ、この曲にもそれは反映しているように思える。翌年、ポール・マッカートニーは来日公演のために成田空港に着くものの、麻薬所持によって拘留され、公演は行われることなく帰国させられた。もし無事に入国できて入れば、イエロー・マジック・オーケストラとのセッションもあったかもしれないということである。当時、レコーディング中だったイエロー・マジック・オーケストラの「ナイス・エイジ」には、ポール・マッカートニーの留置番号であった「22番」というフレーズや、まだ発売前だったニュー・シングル「カミング・アップ」からのフレーズなどが織り込まれていた。この曲はイギリスではあまりにもポピュラーすぎて、わりとうんざりされがちなところもあるというようなコラムを読んだことがあるが、私はとにかく大好きである。
7. LAST CHRISTMAS/WHAM!
1984年にリリースされたワム!のクリスマス・ソングは、その数年後にはすでにスタンダード化していたような記憶がある。ジョージ・マイケルが作詞・作曲をしたのみならず、すべての楽器を演奏しているのだという。はじめて聴いた時に、やや軽すぎるのではないかとも感じたのだが、これは絶対に売れるだろうと思った。しかし、この年はジョージ・マイケルも参加したバンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」があまりにも強すぎて、全英シングル・チャートでは最高2位に終わった。また、アメリカではイギリスよりも少し遅れてシングルがリリースされていたため、クリスマスシーズンには「ケアレス・ウィスパー」がリリースされたばかりであった。翌年にはイギリスでは「ラスト・クリスマス」との両A面扱いであった「恋のかけひき」が全米シングル・チャート1位を記録した。「ラスト・クリスマス」が全米シングル・チャートにランクインするのはそれから31年後、ジョージ・マイケルが亡くなった後の2017年であった。
6. WHITE CHRISTMAS/BING CROSBY
クリスマスのスタンダード・ソングとして真っ先に思い浮かぶのは、この曲である。1942年にレコーディングされ、ビング・クロスビー自身もが主演した映画「スイング・ホテル」で使用された曲のうちの1つとして発売されたのが最初だったという。雪のクリスマスの情景を懐かしんで歌うようなこの曲は、リリース時においてすでにノスタルジックな曲として捉えられていて、それが第二次世界大戦中の国民に大いに受け、大ヒットにつながったのだという。
5. CHRISTMAS (BABY PLEASE COME HOME )/DARLENE LOVE
「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」からもう1曲。この曲は当初、ロニー・スペクターが歌う予定だったがうまくいかず、ダーレン・ラヴが歌うことになたのだという。シングル・カットもされたが、ヒットはしなかったという。しかし、このウォール・オブ・サウンドと呼ばれるフィル・スペクター独自のサウンドとダーレン・ラヴの強力なヴォーカルとが生み出す強度は相当なものであり、その後、スタンダード化して今日に至っている。1963年にレコーディングされた作品である。
4. クリスマス・イブ/山下達郎
山下達郎の「クリスマス・イブ」はまず、1983年6月8日にアルバム「Melodies」の収録曲としてリリースされた。6月に聴くクリスマス・ソングにはなかなかシュールなものがあったが、アルバムのラストに収録されたこの曲には、厚いコーラスの導入など新しい試みが感じられた。この年の12月にはシングル・カットもされているのだが、この時にはオリコン週間シングルランキングで最高44位に終わっている。現在のようなポピュラリティーを得るきっかけとなったのはリリースされてから5年後、JR東海のテレビCMに使われると、その映像の素晴らしさもあって人気となり、翌年にやはりJR東海による新たなシリーズCM、クリスマス・エキスプレスで再び使用されると、ついにオリコン週間シングルランキング
で1位に輝いたのであった。これは山下達郎にとっても、歴代ではじめてのことであった。
3. HAPPY XMAS (WAR IS OVER)/JOHN LENNON & YOKO ONO/PLASTIC ONO BAND with THE HARLEM COMMUNITY CHOIR
ジョン・レノンが1971年にリリースしたクリスマス・シングルで、イギリスでは翌年に発売、全英シングル・チャートで4位を記録した。また、ジョン・レノンがニューヨークの自宅近くで凶弾に倒れた1980年には全英シングル・チャートで2位になっている。ベトナム戦争へのプロテストを含むこの曲には、反戦・平和のメッセージが込められている。たとえば1980年代には当たり前の価値観であった反戦や平和が、気がつくと政治的であると表現を控えざるをえないような状況が訪れている。これはふたたび戦争を起こし、たとえ人が死んだとしても金儲けがしたいという考えを持った人々が、意図的に仕組んだことであろう。計画どおりに着々と進む国民の衆愚化によって、ファシズムは着実に完成へと向かっていく。このような危険な時代にこそ必要なメッセージ・ソングだといえるだろう。
2. ALL I WANT FOR CHRISTMAS IS YOU/MARIAH CAREY
「恋人たちのクリスマス」という邦題がついたこの曲がリリースされた1994年、私は広告代理店で仕事をはじめた頃で、趣味としてポップ・ミュージックを聴いてはいたが、すでにヒット・チャートの上位に入った曲に夢中になるような感じではなかった。マライア・キャリーはとても歌が上手いヴォーカリストとして人気があり、ヒット曲を連発していた。それは知っていたのだが、私が好きでCDを買うようなタイプの音楽とは少し違っていたので、それほど興味を持ってはいなかった。この年はオアシスがデビューして、ブラー「パークライフ」、マニック・ストリート・プリーチャーズ「ホーリー・バイブル」、スウェード「ドッグ・マン・スター」、他にも好きなアルバムがたくさん出ていて、それどころではなかった。
マライア・キャリーのこの曲はすごく売れていたし、よく耳にした。この年、12月に仕事でマレーシアとシンガポールに連れていってもらったのだが、ホテルのテレビでもプロモーション・ビデオが流れていた。その後、仕事で毎年クリスマス用のBGMを選曲する時にも、とりあえず万人受けする無難なものが求められているので、この曲は必ず入れるようにしていた。しかし、24年間聴き続けてきて、いまさらやっと分かったことなのだが、実はこの曲はポップ・ミュージック史に残るクラシックの1つと言っても、もはや良いのではないだろうか。
クリスマスに欲しいものは高価なプレゼントではなく、愛する恋人の心なのだという内容、モータウンやフィル・スペクターといった過去のポップ・ミュージック史上のクリスマス・クラシックスのポップスとしてのときめきを継承しながらも、1990年的な新しい要素が加わっている。そして、シニシズムの欠けらもないマライア・キャリーの真っ直ぐな歌。そう思って改めて聴いてみると、本当に素晴らしいポップスである。
この曲は全米シングル・チャートで最高9位、全英では2位まで上っているが、日本のオリコン週間シングルランキングにおいても、10位以内に9週間にわたってランクインしていて、最高位は2週連続の2位である。1位を阻んだのは「Tommorow never knows」「everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-」と、いずれもMr.CHILDRENのシングルだったようである。
1. FAIRYTALE OF NEW YORK/THE POGUES
ザ・ポーグスによる1987年のシングルで、イギリスでシングル・チャート2位、アイルランドでは1位を記録している。イギリスのシンガー・ソングライター、カースティ・マッコールがゲスト・ヴォーカルで参加し、シェーン・マクゴワンとのデュエットを聴かせている。当初はメンバーのケイト・オーリアダンが女性パートを歌っていたが、バンドを脱退してしまったため、プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトが妻のカースティ・マッコールに仮歌をレコーディングしてもらったところ、それを聴いたメンバーが気に入り、正式にレコーディングに参加することになったという。
音楽的にはアイリッシュ・フォークからの影響が感じられるこの曲は、アイルランド移民の男女によるかけ合いという形式で書かれている。若かりし頃、お互いに美男美女で夢と希望に溢れていた頃の回想、そして、現実に戻っての罵り合い。シェーン・マクゴワンとカースティ・マッコールとのヴォーカルのコントラストもひじょうに効果的である。まるでポケット・ミュージカルとでもいうべきドラマ性が短い曲の中で展開されていて、ひじょうに感動的である。イギリスにおけるアイルランド移民の歴史を知っているとより味わいも深まり、今日の外国人労働者をめぐる問題についても人道的な怒りを感じざるをえないのだが、クリスマスにはそのような現実の中においても束の間の安息を得る日でもあるのだろう。1988年のアルバム「堕ちた天使」などに収録されている。