1991年にリリースされた好きな10曲。 | …

i am so disapointed.

ポップ・ミュージックのリスナーとして生活していて、いままさに歴史が動いているなと実感できたタイミングがいくつかあったのだが、1991年はまさにそうで、なかなか楽しかったのである。という訳で、今回はこの年にリリースされた曲の中から、現時点において個人的に好きな10曲をカウントダウン形式で発表していきたい。

 

10. SET ADRIFT ON MEMORY  BLISS/PM DAWN

 

この年のヒット曲は主にフジテレビの「BEAT UK」と六本木ウェイヴの店内に設置されていたモニターで観た映像の印象が強く、この曲もそうであった。PMドーンはアメリカのヒップホップ・ユニットで、この曲はスパンダー・バレエの1983年のヒット曲「トゥルー」をサンプリングしている。第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの流れでアメリカでもヒットした曲だが、AOR的な要素もある。PMドーンのこの曲はリラックスしたムードの中にスピリチュアルな感覚もあり、かなり好きだった。全米シングル・チャートでは1位を記録し、全英でも最高3位のヒットとなった。

 

 

 

9. THERE'S NO OTHER WAY/BLUR

 

後にブリットポップ・ムーヴメントの中心的存在となるブラーの2枚目のシングルで、全英シングル・チャート最高8位を記録した。インディー・ダンスのブームに後からのっかってヒットした泡沫的なバンドだろうという私の思い込みは完全に間違っていたし、この後の「モダン・ライフ・ラビッシュ」「パークライフ」やそれから先の作品にはより優れたものがいくつもあるが、この曲にはならではのぽっと出感とでもいうべきものがあり、それがまたたまらなく良いのである。

 

 

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8. NOTHING CAN STOP US/SAINT ETIENNE

 

土曜日の午前中に深夜に放送された「BEAT UK」を録画したビデオを観ていると、インディー・チャートにこの曲がランクインしていて、ビデオが少しだけ流れた。どこか懐かしい感じがするのだが、新しい。すぐにシングルCDを買った。後にダスティ・スプリングフィールドの曲がサンプリングされていたと知るのだが、このシングルではじめてフィーチャーされたサラ・クラックネルのキュートなボーカルがまたたまらなく良い。

 

 

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7. PEARL/CHAPTERHOUSE

 

インフォバーンという出版社から発行されていた「remix」という雑誌がとても好きで、当時、そのランキングに載っているレコードやCDを買っていると、音楽生活が充実していくような感覚があった。日本のレコード会社とのしがらみ的なものからわりと自由で、海外のシーンにわりと精通しているような印象があった。この曲もまったく知らなかったのだが、「remix」で大絶賛されていたので買ってみたところかなり良かった。耽美的なインディー・ロックのような雰囲気がありながら、ビートはダンサブルだという点ではインディー・ダンスと共通するのだが、どこかネクスト・ステップを感じさせるようなところもあった。今年の夏、新潟でNegiccoのライブがはじまる前に会場でこの曲が流れていた。

 

 

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6. GET THE MESSAGE/ELECTRONIC

 

これも「BEAT UK」のインディ・チャートで少しだけ流れているのを聴き、気に入って買った曲である。ニュー・オーダーのボーカリスト、バーナード・サムナーと元ザ・スミスのギタリスト、ジョニー・マーによるユニットがエレクトロニックだが、この曲は全英シングル・チャートで8位のヒットを記録してもいる。セイント・エティエンヌと同様にこの曲もまたどこか懐かしい雰囲気があり、それでいてサウンドは新しいということでとても気に入ったのであった。

 

 

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5. THE CONCEPT/TEENAGE FANCLUB

 

この曲の良さが分かったのは、実は1992年になってからだったのだが、それからずっと大好きである。当時の私は表面的なサウンドの新しさで音楽の良し悪しを判断していたようなところがあったのだが、この頃にいろいろな要因によって、それにかなりの変化があった。サウンドが新しかろうとそうでもなかろうと、要は良いかそうではないかなのだという、きわめてシンプルな真実に気がつき、それから音楽を聴くことがそれまでよりもずっと楽しくなった。それを実感させてくれた記念すべき曲が、このティーンエイジ・ファンクラブの「ザ・コンセプト」である。どこかレトロな雰囲気もあるのだが、これは間違いなく良い。この曲が収録されたアルバム「バンドワゴネスク」と、翌年のエモンヘッズ「イッツ・ア・シェイム・アバウト・レイ」は、私にとってとても重要なアルバムである。

 

 

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4. UNFINISHED SYMPATHY/MASSIVE ATTACK

 

イギリスはブリストルの音楽ユニット、マッシヴ・アタックのシングルで、全英シングル・チャートで最高13位を記録した。当時、湾岸戦争が勃発したことにより、アタックという単語はあまりよくないのではないかということで、このシングルはマッシヴというアティスと名でリリースされた。それはそうとして、後にトリップホップなどと呼ばれることにもなる、ヒップホップ、ダブ、R&Bなどをミックスしたようなユニークな音楽がブリストルから生まれていて、特にこの曲はシャラ・ネルソンのソウルフルなボーカルとも相まって、ひじょうに高く評価された。この曲が収録されたアルバム「ブルー・ラインズ」も名盤である。

 

 

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3. HIGHER THAN THE SUN/PRIMAL SCREAM

 

インディー・ポップ・バンドとしてそのキャリアをスタートさせたスコットランド出身のバンド、プライマル・スクリームは次第にダンス・ミュージックやクラブ・カルチャーの影響を強く受けるようになり、このシングルにおいてはアンビエント・テクノの代表的なユニットとして当時、絶大な人気があったジ・オーブとのコラボレーションである。このシングルを買ってはじめて聴いた時、その新しさに感激し、完全に掌握できるまで何十回もリピート再生していた記憶がある。

 

 

 

2. LOSING MY RELIGION/R.E.M.

 

アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドにして、この頃には全米チャートでも上位に入るようになっていたR.E.M.のアルバム「アウト・オブ・タイム」からの先行シングルである。全米シングル・チャート最高4位、全英では19位を記録した。「あれはただの夢だった」という歌詞が印象的な、信仰を失うことについての曲だが、これは宗教そのものというよりは、日常における様々な失望をドラマティックに表現したものとしても捉えることができ、それが広い支持を受ける要因だったのではないかと思える。

 

 

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1. SMELLS LIKE TEEN SPIRIT/NIRVANA

 

ラウドでヘヴィーなアメリカのオルタナティヴ・ロックがなんとなく面白いという気分はなんとなくあって、そのような流れで私はリリースから程なくして、ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」を買った。当時、ダイナソーJr.やピクシーズといったノイジーなアメリカのオルタナティヴ・ロックのことを「殺伐系」などと呼んでいた「ロッキング・オン」は、「ネヴァーマインド」のレヴューに「売れそな殺伐」というような見出しを付けていた。しかし、まさかあそこまで売れるとは。「ネヴァーマインド」の全米アルバム・チャートでの初登場は100位以下だったが、その後、着実に順位を上げ、翌年のはじめにはマイケル・ジャクソン、ガンズ・アンド・ローゼズ、U2などの新譜を抑えて、1位になったのであった。一体、なにが起こっているのだろうか。これは、時代が変わる音だったのである。当時、このようなタイプの音楽がここまで売れることは異例であり、確かに売れやすいサウンドになってはいたが、誰しもここまで売れるとは想像していなかったことだろう。陰鬱で病んでいる感じがクールにもなったのだが、それはおそらく当時のアメリカ社会の状況とも関係があったのだろう。全米シングル・チャートで最高6位、全英で7位は当時、このタイプの音楽としては驚くべきことだったが、その後のポップ・カルチャー全般に及ぼした影響は、それを遥かに上回るものであった。

 

 

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