イントロが印象的な10曲。 | …

i am so disapointed.

先日、買って読んでとても面白かったスージー鈴木さんの著書「イントロの法則80's」に触発され、個人的にイントロが印象的な曲を選んでみた。ジャンルとか年代とか特になにも考えずにあげていったところ、すべてが1980年代から90年代までの海外のアーティストの曲になってしまった。とりあえず印象深かった順番に適当にランキング化してみたので、10位から淡々とカウントダウンしていきたい。おそらく絶対に忘れている曲があるような気がするのだが、細かいことは気にしない。

 

10. START ME UP/THE ROLLING STONES

 

ポップ・ミュージック史における評価とはまた別に、個人的にそのアーティストのディスコグラフィーの中でも思い入れが強いアルバムというのがあって、たいていそれは私がはじめて買ったそのアーティストのアルバムだったりする。ローリング・ストーンズの場合は、1981年の「刺青の男」である。海外のポップ・ミュージックを意識的に聴きはじめてまだ間もなく、とりあえず全米ヒット・チャートを参考にいろいろ聴いていたのだが、REOスピードワゴン、スティクス、ジャーニー、フォリナーといった、いわゆる渋谷陽一がいうところの「産業ロック」が全盛の時代であった。「刺青の男」は全米アルバム・チャート1位だったことと、ローリング・ストーンズのレコードを買うという行為がなんとなくカッコいいことのように思えたので買ったのだが、やはりいわゆる「産業ロック」に比べて渋いというか、子供にはなかなか分かりずらく、その良さが当初はよく分からなかった。しかし、これはおそらく私がまだ未熟だからなのだと思い、何度も聴き続けているうちに少しずつ良くなっていった。「スタート・ミー・アップ」のイントロのギターは、私のローリング・ストーンズのリスナーとしてのはじまりをもまた、祝福するようなものであった。

 

 

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9. I LOVE YOUR SMILE/SHANICE

 

個人的には六本木ウェイヴやJ-WAVEの印象がひじょうに強い、シャニースの1991年終わりから1992年はじめにかけての大ヒット曲。実に性格の良さそうなポップ・ミュージックというか、こういう曲をいつまで素直に良いと思える気持ちを失くしたくはない。

 

 

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8. THE GLAMOKOUS LIFE/SHEILA E.

 

プリンスが「パープル・レイン」で大ブレイクした1984年、関連アーティストであったシーラ・Eもプリンスによって書かれたこの曲で、全米シングル・チャート最高7位のヒットを記録した。シーラ・Eはパーカッションを演奏する姿がカッコよくて最高なのだが、イントロにおいてはサックスが最高。石川秀美のインスパイア曲を聴いてからは、このイントロに合わせて「もっと接近し~ましょ♪」と歌いたくなった。

 

 

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7. TAKE ON ME/A-HA

 

1985年の秋、水道橋の予備校の近くにあった森永LOVEにいるとこの曲が流れてきて、洋楽にはまったく興味がないようなタイプの、大宮から通っていたN田君がこのイントロを口ずさみはじめたので、ああこれは本当に流行っているのだな、と思った。当時、これがカッコいいのかカッコよくないのかよく分からなかったのだが、間違いなくあの時代の空気感をヴィヴィッドに思い出させる1曲であり、イントロである。アニメーションと合成したミュージックビデオがものすごく高く評価されていた。

 

 

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6. JUMP/VAN HALEN

 

私が高校生だった1980年代前半はニュー・ウェイヴがカッコいいとされていた時代だということになっているが、ヘヴィーメタルも私は大嫌いだったのだが、かなり人気があった。中でもヴァン・ヘイレンのギタリスト、エディー・ヴァン・ヘイレンはギター・ヒーローというか、そのような存在だったようだ。1984年のはじめに大ヒットした「ジャンプ」はイントロがシンセサイザーで、ものすごくポップな曲であった。ヘヴィーメタルがとにかく大嫌いだった私だが、悔しいけれどこの曲は別に嫌いではなかったし、後にCDシングルを買った。ネオ・アコースティックのアズテック・カメラもカバーしていた。

 

 

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5. MY EVER CHANGING MOODS/THE STYLE COUNCIL

 

日曜日の夕方にNHK-FMで放送されていた「リクエストコーナー」というまったくなんのひねりも感じられないタイトルだが、その内容はお金がなくて純粋にヒット曲がたくさん聴きたい全米ヒット・チャートファンにとっては神がかった番組があり、後半で少しだけ全英ヒット・チャートのランクイン曲もかかるのだが、それではじめて聴いてすぐに好きになった曲。この少し前に当麻町に住んでいた友人からアズテック・カメラの「ハイ・ランド、ハード・レイン」を借りてはじめて聴いて、こういうアコースティックなのもなかなか良いなと思ったのだが、当時、ネオ・アコースティックという言葉が使われていたのかどうかはよく知らない。この曲もアコースティックな感じのギターからはじまり、それからソウルっぽくなるイントロが最高に期待感を高め、本編もまさにどストライクの内容であった。

 

 

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4. GIRLS & BOYS/BLUR

 

ブラーは1993年に当時のポップ・ミュージック界のトレンドをまったく無視した、イギリスらしさにこだわり抜いたアルバム「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」で再ブレイクとまではいかないまでも、かなりの高い評価を受けていた。そして、翌年の春先のことだが、私が当時に付き合っていた女子大学生がロンドン旅行中にテレビで観たところによると、ブラーの新曲はディスコソングみたいな曲調で、デーモン・アルバーンはジャージにスニーカーというような服装で歌っていたということであった。半ば信じ難かったのだが、数週間後に聴いた「ガールズ&ボーイズ」は、まさにそのような曲であった。シンセサイザーによる軽薄なイントロがたまらなく良い。この曲のヒットがブリットポップブームを加速させた。

 

 

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3. PRIDE (IN THE NAME OF LOVE)/U2

 

ネーナの「ロックバルーンは99」がヒットしていた1984年の頃だが、高校の体育準備室で一学年下の連中が「やぱっぱしいま聴くならネーナしかねえべ」「U2聴いて憂鬱になるよりいいべ」などと言い合っていた。奴らは馬鹿者である。それはそうとして、この年の秋からMTVが日本にも上陸して、深夜に何時間か放送していたはずである。高校受験直前にもかかわらず眠い目をこすって観ていたそれでは、デイヴィッド・ボウイの「ブルー・ジーン」とこのU2の「プライド」がやたらとよく流れていたような印象がある。U2にとってはこれがはじめての全米トップ40ヒットであり、翌年の「ライヴ・エイド」でのパフォーマンスが話題になり、その翌々年の「ヨシュア・トゥリー」で大ブレイクした。この曲が収録されたアルバム「焔(ほのお)」を旭川の市街地まで仕事に行っていた母に買ってきてもらおうとメモをわたしたところ、「なにさこれ、【ゆーに】っていうのが歌手の名前なのかい?」という期待どおりの言葉が返ってきた。ギタリスト、エッジのカッコいいギタープレイの魅力がコンパクトに味わえる素晴らしいイントロ。

 

 

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2. SMELLS LIKE TEEN SPIRIT/NIRVANA

 

ダイナソーJRやピクシーズなど、アメリカのラウドなオルタナティヴ・ロックのことを、日本の音楽雑誌「ロッキング・オン」では「殺伐系」などと呼んでいた。そして、1991年の秋、インディーのサブ・ポップからメジャーのゲフィンに移籍したニルヴァーナのアルバム「ネヴァーマインド」のレビューに付けられた見出しは、「売れそな殺伐」であった。確かによく売れた。しかし、まさか同じ年にリリースされたマイケル・ジャクソンやガンズ・アンド・ローゼズやU2のニュー・アルバムと肩を並べて全米アルバム・チャートの順位に君臨するほどまでに売れるとは、このレビューを書いた「ロッキング・オン」のライターも予想していなかったのではないか。実に痛快であった。そして、ポップ・ミュージック界のトレンドは大きく変わった。私の現役としてのポップ・ミュージック歴の中で、時代が変わる音を聴いた瞬間があるとすれば、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のイントロは、間違いなくそのうちの1つである。

 

 

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1. WHEN DOVES CRY/PRINCE

 

1984年、私が旭川で過ごした最後の夏、プリンスがアメリカで大きくブレイクしていた。その前の年、初の全米トップ10ヒットとなった「リトル・レッド・コルベット」で、はじめてこのアーティストの良さがなんとなく分かった私だが、この大ブレイクには驚いた。確かにポップでもあるのだが、明らかに異端といったイメージがあるこのアーティストが、全米ヒット・チャートのトップに君臨したのである。「パープル・レイン」からの先行シングルで、初の全米シングル・チャート1位になった「ビートに抱かれて」もまた、これまでにない訳の分からないヒット曲であった。どこかサイケデリックなようでもある印象的なギターのフレーズの後に打ち込みのリズムが続き、「イェーイイェーイイェーイイェーイ」という絞りだすようなボーカル、実に密室的なのだが開かれてもいる、このまったく新しいヒット曲のことを、当初、私は本当に好きなのかそうでもないのかさえもよく分からず、ただただ驚いていた。その魅力を理解しようと、カシオのキーボードで多重録音し、クオリティーの低いコピーにすらチャレンジしたほどである。あれから34年が過ぎたのだが、いまでもこのイントロを聴く度に、あの頃の気分を思い出すのだ。

 

 

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