ロサンゼルスを拠点とするインディー・ロック・バンド、ウォーペイントのテレサ・ウェイマンがTTという名義でソロ・アルバム「ラヴローズ」をリリースした。バンドで担当しているギターをはじめ、複数の楽器を自ら演奏し、プログラミングをも手がけたというこの作品は、ウォーペイントの音楽に特徴的であるドリーミーなムードを全体的に漂わせつつも、ポップス実験工房的な楽しみもあり、いまのところかなり気に入っている。
ウォーペイントはメンバー全員が女性のバンドであり、私はデビュー・アルバムが出る少し前に知って、それからわりと気に入って聴いていた。1980年代の一部のインディー・ロックを思わせるような幻想的な雰囲気があり、それでいてクールさも兼ね備えている。また、メンバーのヒップホップに対する愛着が、作品におもしろい作用をもたらしているように思えた。
バンド・メンバーがソロ作品をリリースすると、期待するのはその自由奔放ぶりなのだが、今回のTTのアルバムの場合はヒップホップからの影響や、ユニークな編集感覚がより顕著になっているような印象がある。
曲の題材としてはきわめてプライベートな人間関係についてのものが多いような印象を受けるが、音楽作品としてひじょうに生き生きとしたアイデアに満ち溢れていることもあり、それほど陰鬱な感じはしないのだ。プリンス、トーキング・ヘッズ、ビョーク、ポーティスヘッドなどとの類似性を感じなくもないが、それぞれに近い要素こそあれ、ボーカルに思っていた以上の記名性がある。
基本的にはコクトー・ツインズなど、幻想的なイメージをかき立てる夢見心地なインディー・ロック的でありながら、トリップホップを思わせるドラムビート、Gファンクのテイストを感じさせなくもないキーボードの用い方、発声練習のような効果音など、様々な異物が混入し、それが新しいポップスの可能性をも示唆している。
なかなか一筋縄ではいかなそうな作品ではあるのだが、暑い夏の日の仕事場でのクールダウン効果は、わりと期待できそうな予感がしている。
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