クリスマスが近いので、ぜひクリスマスソングを聴きたい。これは、スチャダラパーの名曲「サマージャム'95」における「夏用のテープとかはしっかり作るのよ」と同様のメンタリティーが冬に発動しただけであり、要はお調子者のミーハーということである。
海外の音楽サイトなどを見ると、歴代のクリスマスソングベストいくつとかのリストが多数見られ、じつにうらやましい。もちろん日本のポップスにおいても、クリスマスをテーマにした楽曲は多数リリースされているのだが、洋邦分け隔てなく聴いているが、いずれにしても好きなものは好きだし興味が無いものは興味が無い私としては、やはり一旦、これらをリスト化したいという強い欲望に駆られたのであった。そうと決まれば、もちろんやるのである。
当初、この企画は少し前にやろうと決めたのだが、思いのほか困難をきわめ、しかも結果的にひじょうに無難かつ保守的な内容になったのであった。ではあるが、やはり最後に公開しようとは思う。
私がはじめて認識したクリスマスソングといえば、おそらく子供の頃に聴いた「ジングル・ベル」や「赤鼻のトナカイ」になるのであろう。
それから歌謡曲や流行歌に興味を示すようになるのだが、クリスマスソングの記憶は特に無い。「ザ・ベストテン」がはじまった頃、大勢の人気歌手が出演していたが、いずれにもクリスマスソングのイメージはまったく無い。その後、いわゆるニュー・ミュージックブームになり、ヒットチャートを席巻するのだが、ここにおいても然りである。
このニュー・ミュージックの流れの中で一躍人気者になったのがサザンオールスターズなのだが、フロントマンの桑田佳祐は後にサザンオールスターズ「クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)」、KUWATA BAND「MERRY X'MAS IN SUMMER」、桑田佳祐「白い恋人達」といった数々のクリスマスの名曲を生む。また、1980年代後半に放送されたテレビ番組「メリー・クリスマス・ショー」を企画したのも桑田佳祐であり、この番組には司会の明石家さんまの他、松任谷由実、忌野清志郎、泉谷しげる、チェッカーズ、THE ALFEEといった人気アーティストが出演していた。
この番組中で桑田佳祐と松任谷由実が共作し、エンディングで出演者全員によって歌われていたのが、「Kissin' Christmas(クリスマスじゃない)」である。この曲は長い間、CDにもレコードにもなっていなかったのだが、明石家さんまがパーソナリティーを務める関西のラジオ番組「ヤングタウン土曜日」においては、毎年クリスマスの時期にオンエアされていた。そして、2012年にリリースされた桑田佳祐のベスト・アルバム「I LOVE YOU -now & forever-」において、やっとこさ容易に入手することが可能になったのであった。
しかし、私が最も好きな桑田佳祐のクリスマスソングといえば、1980年11月21日にサザンオールスターズのシングルとしてリリースされた「シャ・ラ・ラ」である。この時期、サザンオールスターズはテレビ出演を控えたことなどから人気が低迷し、少なくともシングルにおいてはセールスにおいても苦戦していた頃であった。このシングルのオリコン最高順位は、29位となっている。
当時、旭川の中学生としてこの曲を聴いていた私は、横浜というまだ見たことのない街に対する憧れ、また、恋人同士が今年1年を振り返るような歌詞の世界や桑田佳祐と原由子のボーカルに、大人の恋愛を感じ、たまらない気分になっていたものである。
身近な20歳前後の男女にクリスマスソングの定番はと尋ねると、back numberの「クリスマスソング」という答えが返ってきた。もうすでに山下達郎の「クリスマス・イブ」や、松任谷由実の「恋人はサンタクロース」ではないらしい。健全なことだと思う。
山下達郎の「クリスマス・イブ」は、1983年6月8日にリリースされたアルバム「MELODIES」の最後に収録されていた。山下達郎は1980年にカセットテープのCMに使われた「RIDE ON TIME」が大ヒットし、当時のシティ・ポップブームの流れもあり、お茶の間でも知られる存在となった。続いて1982年にリリースされたアルバム「FOR YOU」がものすごく売れ、かつて所属していたバンド、SUGAR BABEの代表曲「DOWN TOWN」を女性シンガー・ソングライターのEPOがカバーしたものが人気バラエティー番組「オレたちひょうきん族」のエンディングに使われたりもしていた。
アルバム「MELODIES」の先行シングルはANAのキャンペーンソングでもあった「高気圧ガール」であり、当初、「クリスマス・イブ」はアルバム収録曲でしかなかった。しかも、最初にリリースされたのはクリスマスシーズンではまったくなかった。夏に海で聴くタイプの音楽として流通していたイメージのある山下達郎のアルバムの最後の曲がクリスマスソングというのがなかなかシュールであり、この夏、もちろん私たちはこのアルバムを何度も何度も聴いたわけだが、LPレコードの内側の方に収録されていたため、私のステレオでは、バッヘルベル「カノン」のコーラス部分など、高音部がちゃんと再生されないような状態になっていた。
この曲はこの年の12月14日にシングルカットされるのだが、この時にはシングルとして大ヒットしてはいなく、オリコン最高位も第44位に終わっている。しかし、それから6年後の1989年にJR東海のCMソングに起用されるとこれが話題を呼び、ついにオリコン1位の大ヒットを記録したのであった。
思えばこの2年前にリリースされ、シティ・ポップの定番となっている大滝詠一「A LONG VACATION」においても、最後に収録されていたのは「さらばシベリア鉄道」という冬の曲であった。
「クリスマス・イブ」がはじめてリリースされた翌年、イギリスのミュージシャン、ボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロが、エチオピアの飢餓に対して問題意識を持ち、バンド・エイドというチャリティー・プロジェクトを発足させた。デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、ワム!、ポリス、ザ・スタイル・カウンシル、U2といった当時の人気バンドのメンバーやミュージシャンによってレコーディングされたシングル「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」は、全英シングル・チャート第1位の大ヒットとなり、翌年、アメリカにおけるUSAフォー・アフリカ、さらにはライブ・イベントの「ライヴエイド」へと発展していった。
バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」が全英シングル・チャートの第1位だった週、第2位にランクインしていたのは、ワム!の「ラスト・クリスマス」であった。ボーカルのジョージ・マイケルはバンド・エイドにも参加していたため、この週は全英シングル・チャートの1位と2位の曲両方で彼のボーカルを聴くことができたわけである。
クリスマスが終わると、カップリングの「恋のかけひき」の方がA面扱いとなり、今度はこれが全米シングル・チャートの第1位に輝いた。
当時、クリスマスソングの定番といえば、ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」、また、同じくビートルズのメンバーであったポール・マッカートニーによる「ワンダフル・クリスマスタイム」は、甘ったるすぎて食傷気味という評価も、特に欧米においてはあるようだが、私は大好きである。そして、定番中の定番であるビング・クロスビー「ホワイト・クリスマス」は、もう遥か昔に失われてしまった古き良きアメリカの豊かで余裕がある、暖かくて安心な気分を味わわせてくれる、素晴らしい作品である。
また、大学生になってアルバイトで稼いだお金でいわゆる歴史的名盤といわれているCDやレコードをいろいろ買って聴くようになったのだが、フィル・スペクターのクリスマス・アルバムは最高であった。このCD単体でも買ったし、1990年代のはじめにリリースされた「バック・トゥ・モノ」というボックス・セットにも入っていた。このボックス・セットについていた缶バッヂを気に入っていて、一時期、お気に入りの千鳥格子のジャケットに付けて出かけていたのだが、いつの間にか失くしてしまった。
私が中学生や高校生であった1980年代前半、多くのミュー・ミュージック系アーティストがアイドルに曲を提供していて、特に松田聖子の作品などはかなりのクオリティーになっていた。イエロー・マジック・オーケストラからの流れであるテクノ歌謡などもあり、当時、最もおもしろい日本のポピュラー音楽はアイドルポップスなのではないかというような気分も、一部にはあった。
しかし、当時の多くの若者と同様に、私も大学生ぐらいになるとアイドルにはそれほど興味が無くなったし、このまま再び興味を持つことなど無いだろうと思っていた。それから月日は流れ、またアイドルのシーンが盛り上がっていたり、私と同世代の大人たちの一部までもがそれに夢中になっているということは何となく知っていたのだが、おそらく私には理解ができないものだろうとずっと思っていた。
ところが、2016年の3月に、当時、もうすでに12年以上のキャリアを積んでいた新潟のアイドルグループ、Negiccoの音楽をはじめて聴き、ものすごく衝撃を受けたのである。調べてみたところ、私が20代の頃に好きで聴いていた、いわゆる「渋谷系」と呼ばれる音楽をつくっていたアーティストたちが曲を提供してもいるという。そこから派生して、いろいろなアイドルの曲を聴いてみたのだが、まったくハマらないものもあれば、わりと好きなものもあった。中でも、Tomato 'n Pineというグループは、はじめて知ったその時にはもうすでに解散しているということだったのだが、すごく気に入ったのであった。「ジングルガール上位時代」というクリスマスソングがあって、これがまたすごく良い曲である上に、途中でいかにもアイドルポップスらしいセリフも入っていて、とにかく最高なのである。
同じくアイドルの曲をいろいろ聴いている中で好きになったWHY@DOLLについては、今年の夏からはライブやイベントにも行くようになったのだが、他のアーティストやアイドルの曲ばかりをやる「カバー祭り」というライブがあり、ファンにもやってほしい曲のリクエストを呼びかけていたので、この曲をリクエストした。結果は不採用だったのだが、あのライブでは他に好きな曲がたくさんWHY@DOLLの歌で聴けたので、もちろん大満足であった。
という訳で、最後にリストを公開して終わりたい。これは現時点における私がただ好きな順番であり、これはその日の体調や気分によってもコロコロ変わるし、楽曲の客観的な評価とはまったく関係がない、きわめて個人的な好みによるリストである。では、どうぞ。
1.White Christmas/Bing Crosby
2.Happy Christmas (War Is Over)/John Lennon & Yoko Ono
3.Wonderful Christmas Time/Paul McCartney
4,クリスマス・イブ/山下達郎
5.Christmas (Baby Come Home)/Darlene Love
6.Sleigh Ride/The Ronettes
7.Father Christmas/The Kinks
8.Last Christmas/Wham!
9.ジングルガール上位時代/Tomato 'n Pine
10.Merry Christmas Mr.Lawrence/坂本龍一
11.Merry Christmas Everybody/Slade
12.This Christmas/Donny Hathaway
13.Christmas In Hollis/Run DMC
14.All I Want For Christmas Is You/Mariah Carey
15.I Saw Mommy Kissing Santa Claus/The Jackson 5
16.すてきなホリデイ/竹内まりや
17.Step Into Christmas/Elton John
18.クリスマスソングを何か/KIRINJI
19.12月24日/ピチカート・ファイヴ
20.Someday At Christmas/Stevie Wonder
21.Little Saint Nick/The Beach Boys
22.River/Joni Mitchell
23.2000 Miles/Pretenders
24.Fairy Tale Of New York/The Pogues & Kirsty MacColl
25.Cool Yule - Louis Armstrong
26.Santa Claus Is Coming To Town/Bruce Springsteen
27.Frosty The Snowman/Cocteau Twins
28.SLIDE - スライド -/フリッパーズ・ギター
29.Do They Know It's Christmas?/Band Aid
30.Christmastime Is Here/Vince Guaraldi Trio
31.Merry Christmas (I Don't Want To Fight Tonight)/The Ramones
32.Christmas Wrapping/The Waitresses
33.Please Come Home For Christmas/Eagles
34.CHRISTMAS TIME IN BLUE(聖なる夜に口笛吹いて)/佐野元春
35.パウダースノウ/WHY@DOLL
36.シャ・ラ・ラ/サザンオールスターズ
37.Peach X'mas/岡村靖幸
38.CHAIN/BONNIE PINK
39.A Snowflake Fell (And It Felt Like A Kiss)/Glasvegas
40.Santa Claus Go Straight To The Ghetto/James Brown
41.Little Drummer Boy/Bing Crosby & David Bowie
42.Blue Christmas/Elvis Presley
43.Rockin' Around The Christmas Tree/Brenda Lee
44.クリスマス/サニーデイ・サービス
45.ジン ジン ジングルベル/森高千里
46.Put A Little Love In Your Heart/Annie Lennox & Al Green
47.X'MAS DAY IN THE NEXT LIFE/高橋幸宏
48. Another Lolely Christmas/Prince and The Revolution
49. 最後のメリークリスマス/くるり
50.わ~MERRYピンXmas!/重ピンクと、こはっピンク