WHY@DOLLのニュー・シングル「Show Me Your Smile」が2018年1月23日にリリースされ、その作詞・作曲・編曲を中塚武さんが行っていることが発表されたのは、12月5日に行われた渋谷Gladの定期公演においてであった。
そして、その初披露がに2月17日の「T-Palette Records Presents[Live]meets palette」だということであった。Negicco、アイドルネッサンスといった、私が好きなグループが出演するこのライブだったが、どうしても参加することができなかった。そのため、実際に耳にするのは少し先になるのだろうなと思っていたのだが、何とこの日のうちにMVが公開されたのであった。
もちろん早速、観てみた。
すでに公開されていたアーティスト写真からは、どこかラスベガス的な、ゴージャスな雰囲気が漂っていたが、まさにイメージ通りであり、さらに完成度の高い楽曲であった。
冒頭から「WELCOME TO Fabulous LAS VEGAS」を模したかのような「WELCOME TO WHY@DOLL Live」のサインと背景の赤いカーテンに心が躍るのだが、続いてゴージャス感溢れるショービズ的なイントロに、登場するWHY@DOLLの衣装、メイクもひじょうにメジャーな気分を感じさせてくれるものである。
これまでのWHY@DOLLの音楽のどれとも違い、それでいて違和感はまったくない。まるで、心のどこかでずっと待ち望んでいたかのようなハマり具合である。
歌詞、メロディー、アレンジ、いずれも普遍的ではあるのだが、ひじょうに新鮮であり、WHY@DOLLの声質にも良く合っているようにも思える。
多くの優れたアイドルポップスと同様に、この曲の歌詞は一般的なラブ・ソングのようでありながら、ファンとアイドルとの関係に置き換えて解釈することもできそうである。
いつも笑顔を見せたり、ありのままで良いと言葉をかけたりすることによって自信をあたえ、それが素晴らしいパフォーマンスに繋がるのだが、それを観ることによってまた、勇気や元気をもらえるという、ひじょうに幸福な関係性のことを歌っているようにも思える。
そして、私がいまのところ最もグッときているのは、以下の箇所である。
「Wish upon a star もしも私がこの世の中から消え去っても Part of my dream 君と過ごした日々だけは輝くはず」
アイドルの寿命は、一般的に短いものとされている。その幸福な関係は様々な関係により、いずれ終わりを余儀なくされている場合が少なくない。だからこそ、いまここを大切にしなければいけないと思うのである。
「もしも私がこの世から消え去っても」と言った場合、それは一般的には死を意味するのであろう。ごく一般的なラブ・ソングにおいてもわりと用いられがちな表現のようにも思えるのだが、アイドルポップスにおいては似つかわしくないような気もする。
しかし、これをファンとアイドルの関係に置き換えた場合、アイドルが卒業や引退によって一般人になってしまうことは、ファンにとってもうその存在を認識する機会が無くなるということであり、それは「この世から消え去っても」で表現されている状態と同義なのではないだろうか。
一方、アイドルがまだ活動中であるにもかかわらず、ファンの方が現場から去ってしまうこともある。このことをアイドルファン用語では、「他界」というらしい。一般的には、死ぬことを婉曲的に言う場合に用いることが多い言葉である。その通り、アイドルにとってはその人がファンでいてくれるからこその関係性であり、もしそうでなくなったとしたならば、それはもう「この世から消え去っても」と同じような状態を指すのであろう。
そして、次の「君と過ごした日々だけは輝くはず」だが、この主体は一体、誰なのか。もちろん、「この世から消え去っても」という状態になってしまったはずの「私」なのである。
これは一般的に解釈するならば、この世にはいなくなった人の魂が、どこか天国のようなところから歌っているということになるのであり、アイドルにたとえるならば、卒業や引退によって一般人になってしまった立場から歌っているということになるのだろうか。
たとえば、いまは熱心に応援しているファンが何らかの理由で、そのアイドルの現場やSNSから去っていく、いわゆる「他界」するとした場合、そこにはある種の後ろめたさや申し訳なさが生じるのであろう。だからといって、その熱心に応援していた頃の記憶を忘れるために必要以上に努力をしたり、いわゆる黒歴史化したりする必要はあるのだろうか。その時に本気であった自分は輝いていたはずであろうし、その経験は現在の自分を形成する上で、大きな影響を及ぼしているのではないだろうか。
これは現実の恋愛やその他の人間関係と同じであり、たまたま偶然の運命によって出会い、同じ時を過ごし、やがて別れていく。それは必然であるわけで、たとえそうなったとしても、その一緒に過ごした日々の記憶、思い出はずっと永遠に輝き続けるわけであり、それを誇りに思ってもいいのだと、このような解釈はあまりにも都合が良すぎるだろうか。
このようなことを、たとえばこの曲の歌詞をファンとアイドルとの関係性に置き換えた場合、「君と過ごした日々だけは輝くはず」と歌っているのは「私」、つまりアイドルなわけであり、「もしも(あなたにとって)私がこの世の中から消え去っても」、「Part of my dream」、つまりそれは私の夢の一部であり、「(私が)君と過ごした日々だけは輝くはず」という、素晴らしいことを歌ってくれているようにも聴こえる。
もちろん今回、私は敢えてこの部分がグッと来たから抽出しているわけであり、その前には「君と2人 果てなく続く道 歩いてく」という歌詞があり、もちろんこれが前提であることは間違いがない。
「人」に「夢」と書いて、「儚(はかな)」い。
WHY@DOLLは本当に素晴らしいユニットだと思うので、ぜひいまよりも多くの人たちに広まり、ファンも増えてほしいと思う。この曲がそのきっかけになることを、切に願いたい。
取り敢えず、MVを2回観ただけでの感想なので、今後、さらに聴き込むことによって、また新たな気づきがあるのではないかという気はする。
