めざめ | …

i am so disappointed.

1984年2月20日付オリコン週間シングル・ランキングで初登場第9位にランクインしたのは、石川秀美の9枚目のシングル「めざめ」である。

この頃のヒット・チャートにおいてはアイドル歌手の勢いがすさまじく、アイドルポップス好きとしては、じつに楽しかった。

女性アイドルでは1980年デビューの松田聖子、河合奈保子、柏原芳恵、1982年デビュー組では中森明菜、小泉今日子、松本伊代、堀ちえみ、石川秀美、さらには角川事務所所属で女優業と並行して歌手活動を行っていた薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子、男性アイドルではジャニーズ事務所の田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊、THE GOOD-BYEがヒット・チャートの常連となっていた。

この週のランキングにおいても、第1位の松田聖子「Rock'n Rouge」をはじめ、田原俊彦「チャールストンにはまだ早い」、中森明菜「北ウイング」、シブがき隊「サムライ・ニッポン」、石川秀美「めざめ」、堀ちえみ「白いハンカチーフ」、渡辺典子「少年ケニヤ」、あんみつ姫「クライマックス御一緒に」と、上位20曲の8曲がアイドル歌手によるものである。

あんみつ姫は小泉今日子が「月曜ドラマランド」で演じていた役名でリリースしたシングルであり、ベストテン番組でロケ先から中継で歌った時、共演していたコント赤信号の面々が盛り上げていた場面を覚えている。

また、第2位はわらべ「もしも明日が...」で、当時、視聴率王と呼ばれていた萩本欽一のバラエティー番組「欽ちゃんのどこまでやるの!?」から誕生したユニットであり、この曲はこの年の年間第1位になるほど大ヒットした。メンバーの倉沢淳美はこの年の3月21日にソロアイドルとしてもデビューし、タイトルがあらわす通り自身のプロフィールを歌詞にした斬新なデビュー曲「プロフィール」は、オリコン最高第4位のヒットとなった。

なお、翌年、1985年の卒業シーズンには菊池桃子、斉藤由貴、尾崎豊がそれぞれ「卒業」というタイトルのシングルをリリースし、いずれもヒットさせているが、倉沢淳美も「卒業」というシングルを発表していた。こちらはオリコン最高第29位に終っている。

この週のシングル・ランキングでは、第16位にチェッカーズ「涙のリクエスト」がランクインしている。後に9曲のNo.1ヒットと30曲のトップ10ヒットをヒット・チャートに送り込む、この偉大なグループが初めてトップ20入りした週でもある。

さて、石川秀美の「めざめ」だが、当時流行していたシティ・ポップやライト&メロウの要素をアイドルポップスに取り入れた曲として、岩崎良美「ごめんねDarlin'」と共に私が大好きな曲である。

2012年にシンコーミュージックから発売された「ディスク・コレクション」の「日本の女性アイドル」編において、「めざめ」が「グルーヴィー・アイドル歌謡」の1曲として取り上げられていて嬉しかった。その中で、この曲のことを「まるでアース・ウインド&ファイアーのブラス・アレンジを思わせるサマー・ファンクの傑作」と評している。なるほど、確かに夏に聴くと爽やかな気分に浸れそうである。

しかし、この曲をリアルタイムで聴いていた私の実感としては、この曲といえばどうしても冬のイメージが強い。それは発売時期が冬ということだけではなく、この曲を歌う石川秀美を「旭川冬まつり」で見ていたからという理由も大きいと思う。

旭川に有名人、しかも人気絶頂のアイドル歌手が来るようなことはそれほど頻繁ではなかったため、やはりこれには大いに盛り上った。そして、当時の私は生で見た歌手を、だいたい好きになっていた。

1980年夏に父に初めて東京に連れてきてもらった時、後楽園球場の日本ハムファイターズ対西武ライオンズの試合の前に、柏原よしえがデビュー曲の「No.1」を歌ったが、翌年のお年玉で私はジョン・レノン&ヨーコ・オノ「ダブル・ファンタジー」と同じ日に柏原よしえのデビュー・アルバム「How To Love」のカセットテープを買った。LPレコードにしなかったのは、家族に見つかりたくなかったからである。

その1980年の旭川冬まつりには、横山みゆきという歌手が来た。アリスの谷村新司と堀内孝雄が書いたデビュー曲「秋止符」が、オリコン最高第20位のヒットになっていた。もちろん生で見たことによって好きになり、「秋止符」のシングルとアルバムの他、その後に出た「紫陽花」「摂氏100度で抱きしめて」というシングルも買っていた。また、当時出演した笑福亭鶴瓶の「MBSヤングタウン」を、長距離受信で聴いたりもしていた。

私は当時のアイドルの中では松本伊代や早見優が好きであり、石川秀美については、私の好みからするとやや健康的すぎるかな、という印象を持っていた。

しかし、そのキャラクターにマッチした疾走感溢れるパフォーマンスはわりと気に入っていて、1983年元旦にリリースされた「涙のペーパームーン」などは大好きであった。

そんなイメージを覆し、よりアダルトな路線に挑戦したのが「めざめ」であった。ゴージャス感溢れる楽曲に合わせ、歌う石川秀美の表情も大人びてきたような感じがあった。それでも歌唱には、疾走感が残っていて、その絶妙な具合がとてもよかった。たとえ旭川冬まつりで見ていなかったとしても、この曲のことは好きになっただろう。



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