猫なんかよんでもこない | …

i am so disappointed.

先日、本当に久しぶりに映画館で映画を観た。どれぐらい久しぶりかというと、おそらく5年以上ぶりだったのではないかと思う。

かつては日比谷シャンテシネでジム・ジャームッシュやスパイク・リーの映画を観て、シナリオの日本語訳が掲載されたクオリティーの高いパンフレットを買って帰ったりもしていたし、「トレインスポッティング」や「アメリ」は初日に並んで観たりしていたのだった。

それがいつの間にかすっかり行かなくなってしまった。

「猫なんかよんでもこない」は杉作という漫画家によるコミックだが、漫画をほとんど読まない私が、これは全巻持っている。

数年前、旭川に帰省した時、かつて丸井今井であった建物は、フィール旭川という商業施設にかわっていた。そこにはジュンク堂が入っていて、そこでこの漫画の1巻目がものすごく推されていたのである。エスカレーターの手すりの下の部分にまで、広告が掲示されていた。

猫は大好きだし、実家に帰って時間もあったので、なんとなくその本を買った。そして、一気に読んですっかり気に入ってしまった。ボクサー志望だったがケガのために断念せざるをえなかった作者と、漫画家の兄が拾ってきた2匹の猫を中心としたストーリーで、実話に基づいているようであった。作者の素朴なやさしさがすぐに好きになったし、猫を飼っている者ならば共感できるポイントもかなりあった。ギャグのトーンがあるのだが、全体にやさしい哀感が漂っているようなところがあり、そこがまたとても好きだった。

新刊が出る度に買って読み、同じ作者による他の漫画やカレンダーまで買うようになっていた。そして、映画化のことも知った。

映画館に行く習慣はかなり以前に無くなっていたので、今回もDVDが出たら観ようかぐらいに思っていたのだが、同じ会社の人がチケットを持っていて、私にくれたのであった。

テレフォンカードのようなサイズの、ムビチケというものであった。初めて見たのだが、これで座席の予約までできるようである。

当日、出かける直前にインターネットがうまく繋がらなくなったりしてかなりバタバタしていたのだが、とりあえず予定していた時刻あたりに電車に乗った。

公開している劇場の中では、TOHOシネマズ府中が最も近いし、帰りも電車が混まなくてよさそうだった。

府中駅に着くと、妻に電気ストーブをちゃんと消したかどうか確認された。あわてていたため、消したというはっきりとした記憶が無かった。また、妻もメガネを家に忘れてきたという。

商業施設のエレベーターを上り、初めてTOHOシネマズ府中のロビーに着いた。放課後の学生のような人たちなどでにぎわっていた。自動販売機のようなものでチケットを買うようである。ムビチケのスクラッチを削ってセンサーのような部分にかざすと、ちゃんと認識され、座席を選ぶことができた。妻の分はムビチケとは別に買わなければならなかったのだが、この自動販売機のようなものでクレジットカードも使用することができて、あまりの便利さに驚いた。暗証番号の入力すら求められなかったので、逆に少し不安にさえなった。

余裕を持って出てきたため、時間がまだ1時間以上あった。私は一旦帰宅し、ストーブの電源が切れていることを確認し、妻のメガネを持って、ふたたびTOHOシネマズ府中に行った。

ポップコーンやホットドッグやドリンクなどが売られていた。大きめのポップコーンとドリンクが2つ付いたペアセットというのがお得そうだったので、それを買った。思ったよりも大きく、本当にこれを2人だけで食べられるのだろうかと不安に思った。もしかするとかなり容器が底上げされているのではないかとも思ったのだが、そんなことはなかった。

スタジアムシートといって、座席が段差になっていた。これによって、前の席に座高が高い人が座ってスクリーンがよく見えないかもしれないという不安と恐怖から解放される。これは素晴らしいことだ。かつて銀座にユアン・マクレガー主演の「ブラス!」という映画を観に行ったのだが、前の席に座高の高い人が座って、そのためにずっとスクリーンが半分ぐらいしか見えなかった。このシートでは、もうそのような心配がいらない。

予告編が番組のようになっていたり、昔あった映画泥棒のような映像はいまはもう流れていないのだろうかと思ったり、いろいろと新鮮だった。予告編を観て思ったのだが、いまの日本映画はコミック原作のものがものすごく多いようである。

本編もやはりなかなかおもしろかった。特に猫の演技が素晴らしかった。かわいいだけではなく、演技もすごかった。監督や演出などのスタッフは、おそらくこの映画を観にくる人の大半であろう猫好きがどういう映像を観たいかがよく分っているような気がした。

そして、わが家の飼い猫のことを、よりいとおしく思った。「猫なんかよんでもこない」のコミック3巻の帯に「猫の一生は短い。だから覚えておこう。なにもかも」と書かれていたが、まったくその通りだと思った。

やはりポップコーンは食べ切れなかった。私も妻も食べ物を残すことに抵抗がある古いタイプの人間であるため、容器を折って、カバンに入れて帰った。ポップコーンを食べたのであまりお腹がすいていなかったし、商業施設の中の飲食店はラストオーダー間近だったので、食事はせずに電車に乗って帰った。近所のスーパーマーケットで焼きそばやおにぎりを買って、帰ってから分けて食べた。