今年3月に閉店した八ヶ岳南麓の良店「サムズキッチン」のシェフおさむさんが、どういう経緯なのかは判然としないが野辺山にある「志木市立八ヶ岳自然の家」で再び腕をふるうことになったらしい、と同氏と交友のある犬トモAさんから聞いたのは4月のこと。
(志木市八ヶ岳自然の家HPより 予約時に食い物も注文しなくてはならないのが少々メンド臭い ランチ - 埼玉県志木市立 八ケ岳自然の家 (shiki-yatsugatake.com))
ようやく念願かなってこの日囲碁トモBさんと「サムズキッチンセカンド」を訪れた。
受付でカネを払うと出迎えてくれたフロア担当の女性Cさんが食堂まで案内してくれた。
「おさむさ~ん、ゆるふわさんが来ましたよ!」
Cさんは厨房に向かって叫んだ。
私はそこまでおさむさんと親しかったわけではないので恐縮し、厨房から顔を出したおさむさんにおずおずと挨拶した。
「お忙しいとこど~もスミマセン、それほど常連というわけでもないんですが」
「覚えてますよ。Aさんといらっしゃってパンお代わりされましたね」
(最後に訪れたのは2023年12月)
う~む。
さすが客商売とあって一度来たお客さんの顔は覚えているものなのだろうか。
私の容貌が忘れたくても忘れようがない奇天烈なものだったのだろうか。
パンをお代わりする客は滅多にいなかったせいなのだろうか。
おそらくそのどれもが当たっているのだろう。
(なんだかサムズキッチン時代よりツヤツヤしているような)
Cさんがまず運んできたのはサムズキッチン時代の懐かしい「ポテトサラダ」。
(コゴミをあしらっているあたりが野辺山という感じ)
「失礼ですが、ひょっとしてサムズキッチンでお手伝いされてましたか」
「してました」
聞けばCさんはご夫妻の古くからの友人で、「八ヶ岳自然の家」で働く傍らおさむさんの奥様が亡くなられてからは時々サムズキッチンのお手伝いをされていたとのこと。
「いよいよ店を畳むというので、私がお願いしてここに移ってもらったんです」
そうだったのか~。大きな謎が氷解した。
続いてこれまた懐かしい「甲州ワインビーフステーキ丼」がやってきた。
(ちょっとアップグレードした感じで料金は2000円なり 味噌汁・コーヒーつき)
旨い。
器も昔のままだ。おそらくおさむさんはここで料理を始めるにあたってサムズキッチンの什器食器類を少なからず持ってきたのだろう。
続いて「ヒレカツカレー」の登場である。
(こちらは1200円)
こっちはまあまあ。
ヒレカツは旨いのだが、カレーがイマイチ。おそらく大人数でやってくる子供たちのために備蓄されている安価な業務用のルーなのだろう。
作り置きができるカレーは八ヶ岳南麓のような繁閑差が大きい地域の店にとっては重宝な食い物のはずだが、サムズキッチンでは扱っていなかった。カレーはおさむさんとしてはちょっと不本意なメニューかもしれない。
(せめてヒレカツ定食にした方がいいんじゃないだろうか)
「おさむさん、なんか以前よりツヤツヤしてますね」
「そうなんです。先週も女子高生40人の合宿があってとてもうれしそうでした」
考えてみれば「サムズキッチン」時代の客といえば八ヶ岳南麓に蟠踞する山ンバ(失礼)ばっかり。久しぶりに高濃度かつ大量のフェロモンを全身に浴びて若返ったらしい。
「サムズキッチンセカンド」を始めて2週間、ようやく厨房の勝手が分かってきたそうで、予約は「3日前」から「前日でOK」にしたそうだ。
また、おさむさんは場所を借りて独自に商売しているわけではなくあくまで「自然の家」の厨房担当ということなので、志木市から団体客が来る時等は予約には応じられないとのこと。
(食卓の周囲に並ぶ大釜が団体用の施設であることを物語っている)
(どれどれと覗いてみたら中は空っぽだった(あたりまえだ!))
こんなに落ち着いた空間で旨いものを食えるとはなんともありがたい限り。
考えてみれば八ヶ岳周辺には何十ともしれない自治体、大学関連の保養施設があるから、ほかにもおタカラがあるかもしれない。
これを機に「八ヶ岳公営施設旨いもの探し」をしてみることにした。
(老舗「仙人小屋」も復活 小淵沢「八ヶ岳小僧」の大将が後を継いだそうな)