(八ヶ岳が夏山になるまでもうひと息)
春爛漫を迎えた八ヶ岳南麓。GWを前にしたこの時期の平日は桜のスポット以外は殆ど無人である。
この日丘の公園清里ゴルフコースの練習場に行くと文字通り貸し切りだった。
(だ~れもいない)
ドカ(ダフった音)、ドカッ(同左)と禍々しい音があたりに響くが、誰もいないので思う存分ダフれる(←負け惜しみ)。
そんな中、突然バラバラと轟音が響きわたった。見上げると赤岳の手前でヘリコプターが旋回していた。
(練習場の右方向 川俣川渓谷沿いか)
ヘリコプターはやがて視界から消え、しばらくすると機首を南に向けて甲府方面へと飛んで行った。八ヶ岳山域で遭難事故があったのだろうか。
長野県警のレポートによると、2024年の八ヶ岳周辺での救助要請はのべ17件、うち3人が死亡している。春めいたとはいえ、山はまだ危険なのだろう。
このヘリコプターは長野県警の「やまびこ」だろうか、それとも我が山梨県警の「はやて」だろうか。
山梨県住民としては釈然としないが、どうやら八ヶ岳の遭難に関しては所轄は長野県警茅野警察署らしい。「赤岳頂上山荘」の住所が長野県ということもあって領有権はともかく緊急通報は茅野署に入るようだ。
(赤岳山頂は山梨県・長野県の共有ってこんずら)
家に戻ってから調べてみると、我が山梨県警山岳警備安全対策隊のヘリコプター「はやて」は米国ベル412型。同型機を2019年からSUBARUがライセンス生産しているが、山梨県警のそれは米国製のようだ。
(はやて 回転翼4枚)
一方長野県警は伊アグスタ社レオナルト式(どんな式だ?)139というモデルである。
(はやぶさ 回転翼は5枚)
件のヘリコプターは自称所轄の長野県警の「はやぶさ」か、それとも我が山梨県の誇る「はやて」か。
写真を拡大してみると、どっちも違うようだ。回転翼が3枚に見えるのである。
(4枚ぽくも見えなくはないが胴体に赤線がない)
するってえと、たまたま両県の遭難ヘリは用務中で、急遽民間のヘリコプター会社に救援要請があったのかもしれない。
この場合遭難者は1時間50~60万円のヘリ代を請求されるらしい。
110番通報を受けて県警のヘリが救援するとタダなのに、民間のヘリだと数十万円というのもいささか衡平を逸している感がある。
一方で昨今の遭難にはいい加減にしろ、と言いたくなるような事例も多いらしい。曰く、
・ハイヒールで登山して足をくじいちゃったの
・疲れたので迎えにきて
・懐中電灯がないので方向がわかりましぇん
何故こんなおバカさんたちのために我々の血税を注がねばならないのか。
ヘリだけではない。
ただでさえなり手不足で苦しむ地元の消防団も遭難事故のたびに安い日当でこきつかわれているのである。
ではどうすればいいのか。答はかんたん、山岳救助を有料化すればよいのである。
・有料化によっておバカの件数自体を減らす
・万が一に備えてあらかじめ山岳遭難保険に加入する習慣の定着化を図る
これで十分のはず。
全国都道府県警で遭難ヘリの有料化に踏み切ったのは現在埼玉県警だけ。後につづく動きも今のところそれほど活発ではないようだ。
巷間噂されるところによれば、救急車をパトカー代わりにするお年寄りもちらほらいらっしゃる由。もはやそういったツマミ食いに耐えられるほど我が国は豊かではないというのに。
遭難ヘリですら有料化が進まないご時世、諸外国並みの救急搬送有料化には残念ながら日暮れて途遠いようだ。
(庭のハナモモが満開に)