2024年初鰻を食う@ Blowin' in the wind (清里) | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(「CANNONBALL ADDERLEY in SAN FRANCISCO」(1959)キャノンボール・アダレイの隣に座っているのは弟のナット・アダレイ(トランペット)) 

 

 八ヶ岳南麓単身生活中のブログ友 nobu さんのリクエストで鰻を食いに行くことになった。目指すは清里の名店 Blowin'in the wind」。

 余計なお世話だが、この屋号は発音しにくいうえにネットで検索するにもエラい手間がかかる。開店3周年を機にすっきり「風に吹かれて」に改名してはどうだろう。

 

 奥様は鰻嫌いとのことで、今回の単身行は nobu さんにとっては気兼ねなく鰻を楽しめる絶好の機会となったようだ。

 「蓼食う虫も好き好き」というが、あんなに旨いものが食えない、嫌い、というのはどうにも理解に苦しむ。

 もっとも別の友人の奥様も鰻が苦手なのでどうやら世の中には一定数の鰻嫌いが存在しているらしい。彼女たちから見れば私たちが「蓼食う虫」ということになる。

 

(玄関前で鰻屋訪問の晴れ姿をパチリ)

 

 暖簾をくぐって店内に入ると、nobu さんオオ、と感嘆した。私が友人をここに案内したくなるのはこの瞬間だ。鰻屋とは思えないシャレた空間に古いオーディオやら中古レコードが整然と並んでいる。

 

(窓辺の蓄音機は立派な現役)

 

「ありましたよ」

 鰻が焼き上がる合間に nobu さんが中古レコードの中からジャズの名盤を物色し、私が目指している(注:演奏でなく見かけを)キャノンボール・アダレイのLPを見つけてくれた(上の写真)。

 ああ、ありがたやブログ友。

 

 オーナーの三上さんがかけてくれたキャノンボール・アダレイを聴きながら待つことしばし、サントリー白州蒸溜所で使っていたオーク樽でこさえた重厚な器に収められた鰻がおごそかに登場した。

 

(神々しくて直視できません)

 

「本日の鰻は宮崎産『味鰻』です」

 三上さんがニッコリ。

 

 後刻調べてみると「味鰻」は宮崎県新富町中村養鰻場が開発したブランド鰻で、同社HPの「味鰻MAP」によると山梨県内では唯一ここだけで食えるようだ。

 

(新富町はアカウミガメの産卵地として有名らしいっす 同養鰻場HPより)

 

 宮崎産鰻の生産量は鹿児島県、愛知県に次ぐ第3位だから、「味鰻」は別にしてもかなりの確度で皆さん宮崎鰻を食っているはずである。

 ちなみに三上さんは宮崎産推し。

 味というよりも、生産者の方が時折マンゴーを送ってくれるのがうれしいらしい。

 

 至高の鰻の評価は nobu さんのブログに譲るとして、いったい我々は年間どのくらいの量の鰻を食っているのだろう。

 水産庁の統計によると、2022年における我が国の鰻総消費量は5万7795トン。全体のおよそ3分の1が国内産(下グラフの青棒)で残りは輸入モノである。

 

(15年ほど前にシラスウナギの収量が激減して価格が高騰、多くの鰻屋が閉店に追い込まれたのは記憶に新しい)

 

 鰻の1尾当たりの重量を250gと仮定すると年間消費量は2億3118万尾に相当する。

 高齢者、未成年者、鰻嫌いの人を除いたおよそ6000万人の国民がせっせと鰻を食っているとすると、1人当たり年間4尾の鰻を食う計算だ。

 

 振り返ってみると私が2023年に食った鰻はここ「風に吹かれて」で3回、西荻窪の鰻屋で1回の計4尾。

 鰻好きを自認していたが、どうやら私はきわめて平均的な日本人のようだ。

 

 そうは言っても量より質。キャノンボール・アダレイのアルトサックスに浸りながらブランド鰻を堪能するという贅沢な時間を過ごした人は古今東西私と nobu さんをおいて他にはいないはず。

 

 ブログ友と三上さんに感謝、感謝である。

 

(よく見るとレイチャールズのサイン入り)