ゴルフ師匠の死を悼む | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(在りし日の岩原先生(岩原スクールHPより)丘の公園清里ゴルフコース練習場での1シーンと思われる)

 

 私のゴルフ師匠岩原勇先生が急逝された。

 奥様からいただいたSMSによると、2月28日に東京でのレッスン中に倒れそのまま不帰の客となったそうだ。死因は急性大動脈解離とのこと。

 

 急性大動脈解離とは三層からなる大動脈の内膜が破れて外膜と中膜の間に血流が流れ込むというもので、何の予兆もなく突然激しい胸・背中の痛みに襲われるのだという。

 

 

 

 大動脈解離の原因は動脈硬化、高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、糖尿病と言われているから決して他人事ではない。臨床例によると冬に多く、夜より午前中に発症することが多いという。 

 

 大動脈が突然損傷してしまうわけだから、大動脈解離の死亡率は極めて高い。

 20年ほど前に発症したゴルフ友のAさんはその際「生存率3%」と言われたそうだ。今では治療方法も進歩してそこまでではないが、それでも発作後15分以内に20%の方が亡くなるという恐ろしい病である。

 政府統計によると2021年に大動脈瘤・大動脈解離で亡くなられた方は1万9351人。ガンや肺炎よりはだいぶ少ないが交通事故死(2636人)よりははるかに多い。

 

 私が初めて岩原先生にお目にかかったのは2022年の夏のこと。

 八ヶ岳南麓ではお手軽にゴルフが楽しめるので10なん年前に止めたゴルフを再開することにしたのだが、その際先生に教えていただくことにした。

 

 先生のレッスンは生徒を無理やり型にはめようとはせず、個性は個性として(正確にいえば癖は癖として)尊重しながら少しずつ改善していく、というものだった。

 今さらシングルを目指すわけではないから根本的な修正はストレスになる。安定して100が切れれば十分という私にはうってつけのレッスンだった。

 

 いつも笑顔を絶やさない先生はお話好きでもあった。

 レッスン日に練習場の傍らで自主練習をしていると、レッスンを終えた先生がススス、と寄ってきてよもやま話に花を咲かせたのは楽しい時間であった。

 

 お酒も大好きな先生は焼鳥屋「心粋」の常連でもあった。

 何度かお誘いしたのだが私たちの反省会はたいてい水曜日で、この日は先生は東京でのレッスンのためとうとう飲めずじまいとなったことが悔やまれてならない。

 

 先日「心粋」で、「岩原先生がお亡くなりになった」と告げたところ、大将はしばし呆然としていた。暖かくなったら夫婦2組で旨いものを食べに行こう、と約束していたのだそうだ。

 今回先生のご逝去をブログに載せることにしたのは、ことによると先生が亡くなられたことをご存知ない方がたくさんいらっしゃるのでは、と思ったことによる。

 

 4年前に野菜の師匠(老師)を失くし、2年前にはバラ師匠が鬼籍に入られた。

 今また敬愛する岩原先生に先立たれ、世の中で師と仰ぐ人はとうとうアルトサックスの三浦先生だけになってしまった。

 

 死は我々の行く手に待ち構えているのでなく、後ろからそっと近づいてくるのだという。

 岩原先生の突然の、そして早すぎる死。

 哀悼というには悲しみが大きすぎる。

 

 

(岩原先生ありがとうございました)