麻婆日和寄席日和 | 八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(新宿末広亭 1897年(明治30年)創業 客席数313)

 

 眼の治療のついでに行こうと決めていた「随園別館」だが、肝心の診察がなくなって宙ぶらりんになってしまった。

 わざわざメシを食うためだけに新宿まで出かける気にはならないし、さてどうしたものかと悩んでいるうちにいいことを思いついた。

 ついでに寄席に行けばよろしい。随園別館から末広亭はすぐそこである。

 

 そんなわけで、まずは40年ぶりの随園別館へ。

 1130頃店に着くとほぼ満席。私が入店して10分もしないうちに待ちが出るという人気ぶりである。

 昼のメニューは、

・飲茶セット(メインを小籠包か水餃子にするかを選ぶ)

・「今日の定食」(鶏唐揚げ、麻婆豆腐、半分つ)

・バリューランチセット(チャーハン+サンラーメン)

・激辛セット(A=麻婆豆腐+辛八宝菜 B=X醤チャーハン+辛八宝菜)

から選ぶ。迷った挙句「激辛セットのA」を注文した。

 

(先日撮った写真だがメニューは今日もおんなじ)

 

(激辛セット拡大図)

 

 待つこと3分、まずは八宝菜とご飯がきた。

 

(八宝菜というよりホイコーロのような佇まい それほど辛くない)

 

 パっと見八宝菜だけでご飯が済んじゃいそうな感じである。

 八宝菜をガバっと食ってご飯をちょぼちょぼ、そうやってご飯を食いつないだが肝心の麻婆豆腐がなかなかやってこない。

 ことによると私の分は忘れられてるのかも、急に不安になって厨房に向かって「麻婆こないよ~」と怒鳴ると、「はいでました!」とただちに麻婆豆腐が運ばれてきた。

 催促するとすぐ出てくる、この「飲食店あるある」を私は「ドナルクルの法則」と命名した。

麻雀界における「キルクルの法則」のアナロジーである。

 

(いい面構えだが「激辛」というほどではない)

 

 さっそくご飯のボウルに麻婆豆腐をぶちまけて食らう。

 旨い。

「四川省では小学生も食べてます」がキャッチフレーズの水道橋「鐘楼」の激辛麻婆豆腐には負けるものの、八ヶ岳南麓最高峰の「安妟」の麻婆豆腐とはいい勝負だろう(残念ながら「鐘楼」は最近閉店したらしい)。

 

 旨いが麻婆豆腐の圧倒的なボリュームの前にご飯が足りない。

 

(3分の1の麻婆豆腐で残りのご飯とちょうどいいバランス)

 

 ご飯がなくなった。

 だいたい麻婆豆腐が出てくるのが遅すぎる。麻婆豆腐だけをズルズル食うのは味気ないし、残すのはもっと業腹だ。

 大忙しのマネージャ風の男性にご飯のお代わりを頼んだが、店内は芋の子を洗うような騒ぎだから失念される危険がある。そこで「ここに入れてきて」と麻婆豆腐の鍋を渡した。

 

 マネージャ氏はさっきから荒れてる客にビビったのだろう。脱兎のごとく厨房に行き、とんぼ帰りにご飯入りの鍋を持ってきた。

 

(ヤケクソで放り込んだという風情)

 

 う~む。ご飯の量が半端ではない。

 今度は具が足りない。鍋のあちこちに付着した麻婆豆腐をなすりつけるようにしてご飯を食っていると、以前にもどこかでこんなことをしたような感覚に襲われた。deja vu(既視感)というヤツだ。

 

(杏仁豆腐が旨い 「今日の定食」とバリューランチセットにはつかないので要注意)

 

 客の剣幕に押されたせいか、ご飯のお代わりは無料だった。

 急に豊かな気持ちになって末広亭へ。随園別館からは徒歩5分程度である。

 

 およそ20年ぶりに訪れた末広亭の木戸銭は3000円(65歳以上は2700円)。

 これで4時間半にわたって、前座からトリまで都合16番の落語、イロモノを楽しめるのだから安いものだ。昼夜入れ替えなしだから、時間が許すのであればそのまま夜の部を楽しむこともできる。

 

 誰の芸がどう、とシロウトの私がとやかく言うのは野暮というものだろう。

 そうはいっても三笑亭夢太朗師匠の「らくだ」はさすがの出来栄えであった。

 

(三笑亭夢太朗 1948年生まれの74歳67年三笑亭夢楽師匠に入門81年真打)

 

 さんざん笑って寄席を後にした。

 酒と笑いは百薬の長という。健康のためにもまた足を運ぶことにした。

 

(撮影厳禁なので昼の部がハネてから会場の様子をパチリ)