(午後6時 甲斐駒のシルエットが美しい)
安否確認の夜、さっそくバー「Night Market」に出かけた。決して酒が飲みたいとか、辛い物が食いたいとかといった不純な動機でなく、あくまで老婆心からの安否確認である。あ~めんどくさい。
お彼岸まであと1か月となって、午後6時でも外はだいぶ明るい。
夕暮れの道をトボトボ歩いて行くとやがて「Night Market」の明かりが見えてきた。
遠目にはどうやらちゃんと商売しているらしい。目的はこれで一応達成だが、ここで引き返すのもナンなのでそのまま店へ。あ~いやだ、いやだ。
(たそがれ時のなんとも素敵な風景)
(夜の帳が焼け焦げを優しく包んでいる)
窓から中を覗くとマスターがなにやら仕込みをしていた。
(窓際の赤い枠のようなものはマスター手作りの間仕切り)
「大泉三大イケメン」のマスターもすこぶるお元気な様子で一安心だ。
そうなると安堵+食い意地の相乗効果がいかんなく発揮され、手あたり次第に注文した。
まずは「焼いたカブのサラダ」が登場。
(カブは焼いても煮ても旨い)
カブを食いながらボンヤリ外を眺めると宵闇に「ラーメン一休」の明かりがほの見える。
「一休はやってんのかな」
「やってますよ。娘がラーメン好きなのでよく行きます」
「マスターもラーメン食うの」
「自分はカツカレー専門です」
なんでも一休の一押しは唐揚げで、質、量とも半端でなく食べ盛りの子供やガテン系のお客さんから圧倒的な支持を受けているそうだ。カツカレーは二番人気、その量には閉口するものの捨てがたい旨さがあるのだという。
こんな近場にカレーの名店(候補)があったとはまさに「灯台下暗し」、これはさっそく足を運んでみなくてはなるまい。
(この看板を見れば潰れたと思うのもおかしくはない 2019年8月撮影)
続いては定番「トルコ風春巻き シガラ」。
「シガラ」とはトルコ語でタバコのこと。確かに葉巻きタバコのような外見だ。
(クミンほかのスパイスをまぶして食うのだが私はタバスコで食うのが好き)
押せ押せでやってきた「キューバ風牛肉の煮込み ロパ・ビエハ」。お供のトルティーヤで包んで食うスタイルである。
キューバの伝統料理である「ロパ・ビエハ」はスペイン語で「古着」のことだが、見た目は古着というよりもボロきれ、あるいは雑巾という方が適切だろう。
(お品書きの「パクチーは全て・・・」という注釈は私が通うようになって追加されたもの パクチー嫌いのお客さんは私に感謝してください)
やがて真打ち「ハラペーニョ爆弾」がやってきた。Night Market菜園の自家製ハラペーニョ、今日はヤケにデカい。
そのうえ一口食ったら大当たり~。口の中がたちまち火事になったが、2個めもまた大当たり(泣)。家内が要らないというので通常3個のところをマスターが2個にしてくれたのが不幸中の幸いであった。
(「旨いものオブ・ザ・イヤー2019」第3位 ハラペーニョの中にチーズが入っている)
初めて頼んだ「エビのテキーラ炒め」。ハラペーニョの鎮火にうってつけ。
(ライムをちゃちゃっと搾って テキーラの味や香りは特に感じない)
う~む、苦しい。
悪ノリして最後にチキンライスまで頼んだものだから腹がはち切れそうだ。
酒の酔いも手伝って朦朧としながら店を後にした私をマスターが店の外で長いこと見送ってくれた。
これでは安否確認が必要なのはどっちだか分かったものではない。
なにはともあれ、八ヶ岳南麓の良店は皆さんお元気な様子。よかった、よかった。