(阿部いちご園からの八ヶ岳)
八ヶ岳南麓大泉の外れに囲碁トモのAさんのお宅がある。どの位外れかというと、Aさん宅から上には権現小屋とジビエの名店「仙人小屋」位しかないというから恐ろしい。
そんな秘境に暮らすAさんの安否を確認すべく、昨夏、秋に続いて慰問団が結成された。もしお元気なようならついでに囲碁もやっちゃおうかという算段だが、それはあくまでつけ足しである。
人外魔境に隠棲する方に差し入れる慰問品は何がよいか。
まず頭に浮かぶのは書物だ。書物といっても老人性うつになっても困るから、「嫌われ松子の一生」とかあまり深刻なものはいけない。「シャイニング」のようなヒキコモリものもよくないだろう。
Aさんは無類の相撲好き、そこで北の富士(先々代九重親方現NHK解説者)、千代の富士(故人)、
琴欧州(現鳴門親方)、旭天鵬(現友綱親方)の自伝を持っていくことにした。
もうひとつ欠かせないのが食い物である。
真冬の隠遁生活ではとかく新鮮野菜が不足しがちのはず。そこで「阿部いちご園」のイチゴを差し入れることにした。ビタミンCをたっぷり摂って免疫力を高めればコロナ感染リスクも軽減されるだろう。
(激安イチゴ1パック324円 10時の開店直後に売り切れることもしばしば)
慰問品を助手席に載せて、愛車フォレスターは北北西に進路をとった。
時を駆けるよ time goes round
最果ての地へ space goes round
パノラマ市場を過ぎ、小海線を越えると次第に人家がまばらになっていく。
やがて八ヶ岳南麓を代表するセレブの店、昼夜ともお一人1万8000円(税サ別、税サ別ですから)という「八ヶ岳えさき」の前へ。路傍の看板はあたかも文明の終着点を示すドルメンのようだ。
(冬枯れでなんとなく寂しい光景)
(昼夜とも1組(6人まで)限定 1月も営業しているが今日は昼の客はいない模様)
友よ forever young
みんな頑張って~
さらに走っていくといよいよ人外魔境だ。
密生する落葉樹の幹に原住民が放った吹き矢がささっていたり、細い尾根道の下には転落した自動車の残骸がチラホラ(←あくまで心象風景です)。ホウ、ホウという不気味な鳴き声は鳥か、それとも原住民が侵入者の存在を仲間に知らせる警戒の合図なのだろうか。
やがて森が開け、Aさん宅が忽然と現れた。
(シュバイツアー博士の住居をモチーフにしたのだろうか)
幸いAさんもお元気な様子。
そうと分かっては慰問もどこへやら、一同さっそく烏鷺に親しんだのは言うまでもない。