バルミューダ衝動買い顛末 | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(バルミューダ社HPより)

 

 1月21日、バルミューダを衝動買いした。

 といってもオーブントースターではなく、株の方である。高級トースターをひっさげて高成長を遂げた

バルミューダは、昨年12月16日に東証マザーズに新規上場した。

 

 私がバルミューダの上場を知ったのは1月14日のこと。この日株価は公募価格(1930円)のほぼ3倍にあたる5,890円で引けた。

 

 緊急事態宣言下でヒキコモリ生活が続くと家で「プチぜいたく」を楽しみたくなるのが人情というもの。

そんな需要に支えられてバルミューダの業績も伸びるはず、とは思ったものの3倍はいかにも高い。

 ところが翌15日には6,890円となった株価はあれよあれよという間に20日には9,130円まで上昇したのである。

(2020年のうちに買っておけばよかった)

 

 ツベコベ言わずに買っときゃ高級トースター10台分位の利益が出たのに~。

 そう思ったらもういけない。21日に9,700円の高値をつけ、さらにトースター3台分損こいた、と思った途端こらえていたものが一気に噴き出した。手持ちの株を売り、バルミューダを衝動買いだ。

 

 犯罪者の類型に「激情犯」と呼ばれるものがある。ついカッとなって前後の見境なく犯行に及ぶというやつだ。

 このタイプは元々損得とかを計算しているわけではないので、警察の取り調べを受けても動機を説明できない。

 「なんでこんなバカなことしでかしたんだ」

 「・・・」

 「じゃあ調書は『ムシャクシャしてた』ってことでいいか?」

 「はい、それでお願いします」

となる。

 衝動買いも激情犯と大同小異、冷静な判断に基づく行動でないことは言うまでもない。犯行後たちまち後悔が押し寄せてくるのも激情犯と同じだ。

 

 一体バルミューダの業績はどうなっているのだろうか(株を買う前に調べりゃいいのに)。

 上場前に開示された有価証券報告書を見ると、なんと足元の売上は減少しているではないか。

 

(過去5年ほど急成長したが業績は踊り場に)

 

 う~む。では主力のオーブントースター市場はどうなっているのか(先に調べろって)。

 価格コムによると、トースター売上上位20位にランキングしているバルミューダ製品はわずか1機種(第3位「ザ・トースター」)のみ。これでは市場シェアはせいぜい5%程度であろう。私自身昨年11月にオーブントースターを買い替えたばかりだが、選んだのは我が家のベストブランド「アイリスオーヤマ」製品である。同社が上場した暁には私は確信犯として同社株を買う。

 

 2021年1月1日現在我が国の世帯数は5907万1519。この世帯が5年に1回トースターを買い替えるとすれば年間の総販売数は1200万台である。

 とするとバルミューダの売上規模は、

 2万円(平均販売価格)×1200万×5%=120億円

となるから、すでに同社は成長限界を迎えつつあることになる。

 敵も(敵ではないか)この辺はよくわきまえていて、同社の場合さらなる高価格路線は取りようもないから、経営陣は、

「多角化による一本足打法からの脱却→新たな成長ステージ」を企図しているようだが、果たしてうまくいくだろうか。

 

 そんな私の不安をあざ笑うかのように21日の終値は10000円の大台を超えた。おそらくこの節目がピークで、この先はいつ暴落しても不思議ではない。

 22日の寄り付きで私はバルミューダ株を売却した。ほんのわずかの利益だが、ようやく不安から解放されてやれやれである。

 

 「どうして買ったわけ?」

 「・・・。きっとムシャクシャしてたんです」

 そんな自問自答が虚しい。

 

(全てを見守っていた愛犬の視線が心にささる)