滅びゆく村 | 八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(1978作詞作曲尾崎亜美 高橋さんのソロデビュー曲)

 

 高橋真梨子さんの歌に「あなたの空を翔びたい」という曲がある。

 

 コスゲ甘えていたつもり

 だからあなたに背を向けたの

 まさか追いかけてこないなんて 思わずにいたから~

 

というやつだが、この冒頭の「コスゲ」というのが意味が分からない。

 もう50年以上前のことだが、親戚から、「山梨県に小菅(こすげ)村というのがあって、そこの村長は遠い遠い親戚だ」と聞かされたことがあった。

 

 「まだ見ぬコスゲ村という所に親戚の村長がいる」

 その事実はプレスタ―ジョンの伝説さながらに子供心に深く、深くしみ込んだ。おそらく「チロリン村と

クルミの木」なんかの影響もあったのだろう。

 長じて運転免許を取得したゆるふわ青年は伝説の地小菅村をわざわざ訪れたという。そこに待ち構えていたものは村営マス釣り場位で大層がっかりしたらしい。

 

(人口715人 今にして思えばいい所だ)

 

 そんなわけでなんとなく「コスゲ=小菅」と頭の中では整理されていたのだが、先日意外な事実が発覚した。高橋さんはコスゲでなく、 kiss again と言っているのだ(恥)。

 

 照れ隠しに調べてみると、山梨県には現在小菅村以下6つの村がある。

 2020年12月1日現在全国の市町村数は1978(北方領土及び東京都23区(旧東京市)を除く)。このうち村はわずか189しかない。

 地方自治がスタートした1945年には全国10520市町村の過半を占める8578の村があったのだが、昭和の大合併(1960年前後)、平成の大合併(2005年前後)を経て村は激減した。

 今後村が新設されることも市や町が村に改称することもないから、いずれ村という行政区分は消滅してしまうのだろう。

 

 山梨県に隣接する都道府県を見てみると、村の数が多いのは長野県(35)。タケミナカタの昔から小豪族が割拠したお国柄だから合併話も容易に進展しないのだろう。

 逆に静岡県は風光明媚にして人柄もおだやか、「テストマーケティングは静岡県で」というのが斯界の常識だから合併話もサクサク進んだとみえ、今や村は消滅してしまった。

 

 

 東京都には意外に多くて8つの村がある。とはいえそのうち7つは島だから純粋な村(島が決して不純なわけではないですが)は檜原村の一つだけである。

 

(「東京都町村会」HPより「次回の会合は青ヶ島で」「いや、我が御蔵島で」なんて盛り上がりそう)

 

 埼玉県と神奈川県は存外少なくてどちらも一つだけ。

 あくまで想像だが、どちらも県の中央部に位置していて、「どこにくっつこうか」なんてウロウロしている

うちに取り残されてしまったような印象である。

 

 

(埼玉県唯一の村「東秩父村」人口2757人 名前からいえば秩父市と合併するのが自然だが)

 

(「花桃の里」観光資源が豊かな所らしい) 

 

(神奈川県唯一の村「清川村」人口2942人 地政学的に合併相手に悩むところ)

 

(宮ケ瀬湖 こちらも観光資源に恵まれている)

 

 なんとか生き延びてきた村たちも行政効率を考えるとやがて消滅するしかない運命だ。

 なんだかさびしい気もするが、村は「ハイジの村」とか、「萌木の村」とか、観光施設に名を残すのみのレガシーとなる日はそう遠くないように思える。