我が家から徒歩圏にある「魚ZENZOW」。
海鮮系居酒屋の名店としてあまりにも有名だが、私はこれまで数回しか足を運んだことがない。それというのも店がどうのこうのではなく、毎週日曜日には「ひまわり市場」のお刺身バイキング3パック1000円を必ず味わうので外食してまで刺身系統のものを食わなくてもいいや、というだけの理由だ。
そんな近くて遠いZENZOWだが、先日愛犬の散歩で店先を歩いていると「海鮮カレー」の看板が目に飛び込んできた。
(たしかに「海鮮カレー」とある)
う~む。八ヶ岳南麓の海鮮カレーといえば、「ヴィラ・アフガン」のシーフードカレーが頭に浮かぶが、こんな至近に海鮮カレーがあったとは。さっそく単身試食に出かけることにした。
訪問の日は秋晴れ、無風で絶好のカレー日和となった。
入口で手指の消毒と体温測定が行われ、コロナ対策には万全を期していることが窺われる。
(ここにも「海鮮カレー」の看板が)
お一人様とあって両サイドをちょっと無粋な板で仕切られたカウンター席に案内された。
店内全体の雰囲気は和風の造りに洋風の装飾という感じだが、ここも和洋折衷のバーといった雰囲気である。
(目の前にはビニールが下がっている)
海鮮カレー(1500円)を頼んで店内に静かに流れるジャズに耳を傾ける。
懐かしい曲だがなんだっけ。
「なんだっけ、・・・まあいいか」、というのは確実にボケを進行させるそうだから、必死に記憶の糸を紡ぎ合わせてようやく思い出した。マイルスデイビスである。
ところが曲名とかどのアルバムにあったかはどうしても思い出せない。
プーパッ bububububu (←ベースの音)
プーパッ bububbububu
で始まるヤツだ。・・・まあいいか。
そうこうするうちに海鮮カレーがやってきた。
(つけ合わせは 揚げ茄子、オクラ、カボチャ、ムール貝 具はミニシュリンプ×1程度で殆どなし)
色が黒い。海鮮カレーだけあってイカスミを混ぜているのかとも思ったが、風味はそこまで海鮮海鮮していない。コクのあるゲル状のルーはむしろ「黒カレー」といってよいだろう。
(黒カレーの代表といえば金沢カレー、金沢カレーの代表といえばゴーゴーカレー
色合いも粘りもよく似ている)
黒カレーは、北大路魯山人と並び称された食通にして芸術家の川喜田半泥子が昭和初期に贔屓の「東洋軒」に考案させたもので、イカスミなどは使わず、ひたすら手間をかけることで黒いカレーに仕立てたものだそうだ。
(半泥子の代表作のひとつ伊賀水差(石水博物館蔵)
半泥子は第百五銀行の頭取なんかも務めただけあってどこか気品がある)
黒カレーのコク、粘りは好みが分かれるところだろう。私自身は「徒歩圏のカレー」としてこれからも
足を運ぼうと思っている。
ちなみに「山梨県の旨い黒カレー」でググってみると、第1位は「ヴィラ・アフガン」、第2位は「山梨県庁食堂」。どうやら黒カレーは県内では人口に膾炙していないようである。
(ヴィラ・アフガンのシーフードカレー「黒カレー」と呼ぶほどには黒黒とはしていないし味も違う)