高田馬場 CAVE BAR でシミジミと旨いものを食う | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 

 会社時代の同僚Nさんから、「4月から役員になります」とのうれしい知らせがあった。

 コロナ騒ぎもものかは、さっそく昇進祝いということで高田馬場へ。

 

 高田馬場の良店といえばなんといっても「まずい魚 青柳」が鉄板だが(青柳の記事は → ここ )、

たまには知らない店に行ってみようということでJR高田馬場駅の西サイド(小滝橋方面)の奥まった路地にある古民家風の店に落ち着いた。

 

 我々を案内してくれた女将風の姐さんはエッジの立った化粧を施した妙齢の女性で、

「注文はすべてこのタブレットでお願いします」と言いおいてどこかへ去って行った。

 どうやら「古屋に棲みついた怪(アヤカシ)が織りなす一夜の夢幻」というような辺りがこの店のコンセプトらしい。オーナーがニコールキッドマンのファンなのかもしれない。

 

(2001年米・仏・西合作 キッドマンが暮らす屋敷には夜な夜な怪現象が・・・)

 

 ところがコンセプトはいいのだが、Wi-Fiの調子が悪いのかこのタブレットが全く使い物にならない。

 アヤカシも呼べど叫べど姿を現さず、注文するのに大層往生する始末。 

 

(雰囲気はあるんだよな~)

 

 食い物(たこ焼き500円、とか)も酒も大したことがなく、しかも苦労して注文したしめ鯖は1時間を経過しても出てこないという体たらく。ブチ切れた我々は(正確にいうと私は)早々に店を飛び出した。

 

 高田馬場には良店がもうひとつある。東の青柳に並ぶ西の「福茶庵」である。我々はアヤカシの棲家からほど近い福茶庵へ向かった。

 ところがどういう塩梅なのだろう、この夜の福茶庵は80歳をかなり過ぎたと思しきおじいさん達でカウンターも座敷も満席である。地元の小学校の同窓会かなんかだろうか。余計なお世話だがクラスターが心配だ。

 

 う~む。さてどうしたものかと考えていると芳香が漂ってきた。同じ地下1階の福茶庵の向かいにある「CAVE BAR」からである。

 

(格子戸を開けて中を見る)

 

 ここはその名の通り監獄をイメージしたバーである。おそらくマスターが「パピヨン」か「ショーシャンクの空に」のファンなのであろう。

 

(パピヨン 1973年米国 無実の罪で13年間投獄された男の実話 

 スティーブマックイーンとダスティンホフマンの共演 2017年にリメイク版が公開された) 

 

 かつてはうらぶれたバーだったが(失礼)、10年ぶり位に覗いてみてると店内は様変わり。カップルや女性客がカウンターにずらっと陣取ってめいめい食い物を楽しんでいる。

 

(手狭なキッチンでサクサク調理しているシェフ マスターは別にいらっしゃる)

 

 まずは口直しに「鯛のカルパッチョ」。これはバーのツマミといった水準ではない。本格的な味だ。

 

(ワインはシラー どこのだか忘れた)

 

 次に「カモのコンフィ」。これはまあ普通だが、アヤカシの店よりは遥かに旨い。

 

 

 たこ焼だの(泣)油淋鶏だのを食ってきた我々はこれで腹いっぱいに。

 ところが常連と思しきお隣のカップルが、それはそれは旨そうに牛肉の赤ワイン煮とローストビーフを召し上がっていらっしゃるからたまらない。めでたい席だからね、ということで鳩首会談の結果急遽赤ワイン煮を追加することにした。

 

(結構なボリュームがある)

 

 もう腹がはち切れそうというところに今度はただならぬ芳香が押し寄せてきた。遠目でキッチンを凝視するとどうやらブイヤベースのようだ。

 「魚介は別腹」という(言わないって)。ギョギョっとばかりこれも追加した。

 蛇足であるが、さかなクンは木谷道場33人目の内弟子宮沢吾朗9段のご子息である。入門当時宮沢少年を迎えた木谷實は、「今度の弟子は鯛だぞ。それも尾っぽがピンピンはねた飛び切りの鯛だ」と言ったというから血は争えない。

 

(パンに浸すのが本当に旨い)

 

 CAVE BARの料理のおかげで1軒目の不出来を補って余りある豊かな一夜となった。

 次の昇進の知らせはいつだろう。その時はハナからここでやろう、そう決意して店を後にした。