ネタバレ 天気の子 音楽に眼球を絞られる | 玉と蝋石の雑種

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映画ゲーム海外ドラマ周りの話を備忘録的に書いています。



※アランムーアによるアメコミの超名作「ウォッチメン」のオチに言及してますのでまだ読んでない人は気をつけて

※絶望感に友達がおらず一緒に観に行ってくれる人が彼女しかいない都合上、また彼女の話をしていますのでそんなものはfuck off!な方すみません







公開 : 2019年
監督・原作・脚本:新海誠

製作:市川南、川口典孝
企画・プロデュース:川村元気
声の出演 : 醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
音楽・主題歌 : RADWIMPS
主題歌 : 三浦透子

あらすじ
離島から家出し、東京にやって来た高校生の帆高。生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく手に入れたのは、怪しげなオカルト雑誌のライターの仕事だった。そんな彼の今後を示唆するかのように、連日雨が振り続ける。ある日、帆高は都会の片隅で陽菜という少女に出会う。ある事情から小学生の弟と2人きりで暮らす彼女には、「祈る」ことで空を晴れにできる不思議な能力があり……。(映画.comより抜粋








8/2はうちの彼女とお付き合いして5年目の記念日ということで、8/3の土曜に付き合った日と同じく厚木鮎まつりへ行こうじゃないかということになりやして午前中はTOHOシネマズ 海老名へ!


前回のホットギミックがぶっちゃけ大外れだった(その時の僕の感想はこちら)ことで彼女が若干映画嫌いになってしまってる以上今回は絶対失敗できないというプレッシャーを感じながら天気の子をチョイス....!


天気の子を予約するか迷ってる時の僕の気持ちを代弁する大船額人を貼っておきますね(嘘喰いより)





結論すげーよかったです。
ぼんやりざっくり最後まであらすじを説明すると、家出少年の帆高くん(16)は島を飛び出し異常気象で雨の降り止まない新宿へ。生活が困窮してきたので、フェリーで助けてもらった須賀さんのところに転がり込み、「ムー」のライターの仕事を住み込み、食事込み、月収3000円でスタート!そこそこ楽しくやっていると100パーセントの晴れ女の調査中に祈っただけで晴れるガチ晴れ女こと陽菜ちゃん(18)が風俗に入れられそうになってるところを助けてスカウトを新宿で拾ったピストルで威嚇し撃退。陽菜と意気投合する。


陽菜とその弟でモテの小学生凪とともに晴れ一回5000円の晴れ女ビジネスに着手するも、順調な時はそんなに長くは続かず...






まず帆高はピストル発砲の件と家出の件で指名手配状態、陽菜と凪は保護者のない状況での二人暮らしで児童相談所に引き取られようとしてる状態だったので3人は逃走することに。夏なのに雪が降る中逃げ惑い池袋のラブホでピンクなマッサージ機とかが入ってる冷蔵庫のたこ焼きでパーティーしたりカラオケ大会したり穏やかに過ごす。

しかし人間は今まで陽菜のような晴れ女は今まで人柱として空に捧げることで異常気象を回避してきた、なんて事情があったために陽菜は空に連れてかれてしまう。

人柱を捧げたことで世の中にはすっかり元どおりの夏が帰ってきたが帆高は警察に捕まり凪も児童相談所へ、帆高はパトカーの中で陽菜が実は15歳だったことを聞く。やっぱり陽菜に会いたい帆高は警察署から逃げ出し、線路をマラソンして陽菜が晴れ女能力を身につけた神社に向かう。途中警察に捕まりそうになるも須賀さんが助けたり凪にお姉ちゃんを返せ!なんて言われたりしながら陽菜に会いたい一心で神社の鳥居をくぐる。とうとう陽菜に会えた帆高はもう天気なんて狂ったままでいいと宣言して連れ帰る。それから3年間東京は雨が降り続け、だいぶ沈んできてしまっているが帆高は須賀さんに別にお前のせいじゃないと慰めてもらったりしてると祈る陽菜を発見、やっぱり俺は間違ってなかったと帆高が確信して終わりだった感じな気がします。







バカかと思われてしまいそうですが、本当に天気の子は天気が良かった。リアルな描写、フィクションな描写問わず天候描写がめちゃくちゃ美しかったです。ここに関してはパンフレットで気象監修をした雲研究者の荒木健太郎さんのコメントが最高に面白くて、リアルな天候の監修はもちろん、陽菜が祈って晴れになる時の地上から上空に風が吹き上がる表現を作る際、北半球の低気圧の回転は反時計回りだから時計回りの高気圧の風を吹かせることで晴れのイメージを作れるんじゃないか、とアドバイスしたそうです。この手の話は自然科学好きだけど文系野郎の僕には大好物で貪り読んじゃいました。





あと「君の名は」と変わったところで言えば天気の子は本当にどうかと思うくらいの量タイアップで現実の商品が出ています。どん兵衛だのチキンラーメンだのマックだのムーだの...これについては賛否両論あるらしいですが僕は全然アリ派でなんでかというと使われ方が貧乏臭すぎて今の若い子達が何もなしで歌舞伎町に放り込まれたらこんなもんしか食えないんだろうな...みたいな感じで商品名を共有してるからこそ今の俺が知ってる東京って思えたわけで、このことが後ほど言及する帆高の選択にリアルな重みが乗る効果も出してるんだと思います。まぁ観た人みんな衝撃を受けたであろうバニラの求人トラックが登場した時は僕もおやおや...と思いましたが2019年の東京の要素としては外せないものなのは間違いないですよね、50年後にこの映画を見返したときは絶対ここで懐かしくなると思います。

よく見ると文言から漂う金臭ハンパない...
お金超大好き!はかなりのパワーワードですね




そしてもっと賛否別れるのは最期の帆高の天気なんか狂ったままでいいから陽菜と一緒にいたいと思い、それを実行して陽菜を人柱から無理やり引き戻すシーンですよね。実際この後東京は3年間雨が降り止まずだいぶ海に沈んじゃってました、この映画の後を考えるとこの後もずっと雨は降り止まず、ウォーターワールド的な世界になってしまうことも考えられます。しかもこれが起こる東京はどん兵衛やらバニラやらがいる僕らの知ってる東京で、それでも帆高を許せるかどうかは観客の方が試されてる気がします。


僕はまぁ許しちゃえますかね...
まぁそもそも16歳のバリバリ思春期童貞ボーイに今までの慣習だから好きな女の子諦めろとは言えないし、リリーフランキー氏の「つまらん博愛よりも、大切な人だけが幸せであればいいと思う。」という言葉が思春期にめっちゃ刺さって以来、基本はその思想で社会を渡ってきた身からすればそれでいいじゃん!と思える結末でした。
ウォーターワールドの世の中になっても人間エラ生えたりしてなんとかなるし。



あんま関係ないですけど多数のために少数を切り捨てる正義の話で連想するのはウォッチメンのオジマンディアス対ロールシャッハですね。米ソの核戦争を回避するため第三者の異星人からの攻撃を装った大量殺戮を起こして世界平和を実現したオジマンディアスとそれが世界のためなのは完全に理解しつつも世界より殺人は悪という自分の価値観の方が重いため、死を選ぶ形でしか止まれなかったロールシャッハ、どちらも正義だけどやっぱり我々パンピー側を代表してくれるロールシャッハの背中を押してあげたいと思うわけですが、正義感よりもっと原始的な感情の恋心で世界を放り出す帆高くんにも同じ気持ちを感じたりしてましたね...

安らかに...ロールシャッハ...



その他は「君の名は」の瀧くん三葉ちゃんがすっかり大人になって登場するところはファンじゃなくとも嬉しかったし(君の名はのラストではキャリアウーマン的な感じだった三葉がなんでショップ店員やってるのかと思ったりもした)、須賀さん役の小栗旬がボンクラカッコいいおじさま役がすげーよかったです。あとアニメのキャラクターが鉄階段を駆け上がるだけで泣いてしまうクレヨンしんちゃんファンの弱点を突いてくるラストのところも辛かったです。





天気の子天気の子
3,180円
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サントラはこちら、三浦透子さんが歌う「グランドエスケープ」が名曲です。眼球を絞られてるかと思うくらい泣けた。





新海監督が自ら書いたノベライズも出ております。時間作れれば読みたい。




関連書籍多い...!天気の絵が見たいのでまずは本屋さんで天気の絵割合をチェックしてから購入判断したいと思います






ウォッチメン最高。