妻と黒猫と腰痛と不眠症と戦うデスパレートな男の日記 -15ページ目

変わらない。

この国は変わらない。上に立つ人間が駄目だから、既得権とか利権とか、青天井の欲望を捨てる事が出来ない限りは。

修理代3

内堀通りを新橋方面に車を走らせながら駐車場を探すが見当たらない。
仕方なく周回コースをとることにした。
郵船ビルの角を仲通り方面に曲がるとPの文字を発見した。早速入庫すると係員が近づいて来る。「ここは一般車用ではございませんのであそこかあそこなら大丈夫かと思います。」と慇懃におしえてくれた。
あそこかあそこかぁ~と思いながら通りに戻った。しばらく走ると先程の係員がおしえてくれたあそこが見つかった。しかし全て満車のランプが点いている。もうひとつのあそこを探すが見当たらない。
仕方ないので4周目のラップをきる事にしてみた。東京駅を正面に見る周回コースに入った時に2つ目のあそこを見つけたので入庫しようとするとまたしても係員が近づいて来る。
「本日は会合がございますので一般の方にはずいぶんお待ち頂くことになりますがどうなさいますか?」とこれまた丁寧にあしらわれる羽目になってしまった。
さらにラップを重ねる事と相成り5周目で先程満車だった駐車場が「空」と表示されているのを発見したので急ぎ入庫した。
長い下り坂をゆっくりと下ってゆく。発券機に車を寄せて機械の白いボタンを押してみたが駐車券が出てこない。するとまたしても薄暗い奥の方から係員が近づいて来る。頭髪を角に刈り込んだその係員が私に聞いた。「岸本ビルに用事ですか?ここは岸本ビルの駐車場ですから一般の車は駐車できません。」私の目的はとにかく車をとめることなのであるから「岸本ビルには用事はありませんが車をとめたいんです。」と言った。すると係員は一瞬困った様子を見せたが「わかりました。右奥の1番にとめてください。」と言った。私は係員の指示どおりに車を進めると1番ブースに車をとめた。
かくしてようやく我が家の愛車は丸の内の地下深くにおさまった。ぽつんととまっている車を後ろ手に見ながら私は地上への道を探し歩き始めた。後にこの係員にはたいそうな感謝をする事になる。

修理代2

私はさっき見たまるで忍びみたいな監視員が物陰から狙っているんじゃないか?と厳重に慎重に警戒しながら、そっと 車を降りた。
まるで劇画のデューク東郷ばりに。
すっと店内に入ると足早にカウンターに歩みより、先程の店員に再度尋ねた。すると相変わらず感じのよい店員は、同じく感じのよい口調で「もう少しだけお待ちくださいませ。」と笑顔をふりまいた。私は先程のソファーに向かい愛車の無事を確認しようと歩き出した。すると忍びみたいな監視員が私の車を眺めている。私も忍びのごとき素早さで店内を走り抜けると「動かします。」と問いかけた。忍びは「お願いします」と言うとビルの影に消えていった。危ういところだったが間一髪切り抜けた。
あの忍びから逃れる術はないと私は即座に判断しやむなく愛車を駐車場に入れるためにイグニションキーを回し、エンジンをかけた。
ラジオから流れるDJの声が「急げ 急げ」と言っているように私には聞こえる。
一方通行を左右に海外ブランドの路面店をみながらゆっくりと車を走らせた。つきあたりは内堀通りで皇居の石垣が見える。通りを左折すると先程の忍びがまた一台、車を捕獲したところに出くわした。その時気付いたのだが忍びは一組だけではない。数組の忍びが点在している。
要はお城の警備なのだ。
こんな場所に愛車を停めたら秒殺は火を見るより明らかだ。
迂闊だった。
自分の愚かさにようやく気づき情けなさえ感じた。
静かに水をたたえた内堀に写る石垣をぼんやりと眺めながら駐車場を探してバンドルを切った。