研究室DIARY~元・立正大学地理,地形・地質学研究室 -8ページ目

研究室DIARY~元・立正大学地理,地形・地質学研究室

立正大学地球環境科学部地理学科,地形・地質学研究室在職時に始めたブログです.ここの記述は個人の考えであり,現所属機関の公式見解ではありません.

14時00分ごろ、昭和火口から有色噴煙が 上がりました。最近の定常的な噴煙はしばしば有色のことがありますが、こういう時のような、薄い茶褐色で、噴火・爆発に認定される噴火よりずっと淡いものでした。火山灰は放出したと思いますが、ごく微量だと思います。



というわけで、15時過ぎに北東山麓で火山灰トラップを確認したところ、最大で砂サイズの粒子がわずかに堆積していました。

風によるリワークの可能性もありますが、今後、構成粒子を確認したいと思います。

今後大きな噴火に移行するとすれば、その前兆が岩石学的に現れているか、注目していきます。


なお19~21日(16時まで)の観測の中で、噴火・爆発は発生しませんでした。

私の桜島に関する研究は大きく2種類。


1)降灰分布

噴火直後の高精度降灰調査によって、ブルカノ式噴火による降灰の複雑な降灰分布を明らかにしています。どのような噴火が発生したらどのような地域に影響が出るかを予想するうえで基礎的データになるものです。


2)火山灰構成粒子

2011年以降の火山灰について、その構成粒子のモニタリングを行っています。噴火頻度が高い時に、マグマ由来と思われる新鮮なガラス質粒子が増加する傾向が認められています。また他の火山での研究では、継続的なマグマ噴火ほどガラス質発砲粒子が増える傾向が認められています。いまのところ桜島では、構成粒子に大きな変化は見られませんが、2013年秋以降、新鮮なガラス質粒子がやや減少傾向にあります。


いずれも、産総研の火山メンバーとの共同研究です。


物理・化学的な観測が行われている一方で、私たちの研究は、岩石学・地質学的なアプローチです。


詳しくは、直接お尋ねください。

昨日は北東麓および南麓で観測をしていました。本日は南麓です。昨日はビデオを北東麓に設置していましたが、大きな噴火が発生したら回収できなくなる恐れがあるため、今日は南麓の大隅半島側から撮影しています。


20日、本日とも状況は変わっていません。山体上部は雲に覆われていますが、ときおり火口が見えると、白色噴煙が定常的に上がっている状況です。有色噴煙は認められません。


北東約5 km地点に設置した火山灰トラップについて、一昨日夕方から昨日朝にかけては、ごくごく微量の細粒粒子が認められましたが、顕微鏡で見ないと「定常降灰」の堆積物かはわかりません。昨日夕方から本日朝9時については、降灰は認められませんでした。


今年2月頃は、有色噴煙が卓越し定常的な降灰もありましたが、現在はそのような現象は見られません。かなり活動が変わっています。


昨夜日没後から20時頃まで、南麓から火映は確認できませんでした。


黒神周辺は警察官がパトカーその他で巡回しています。林道も巡回しています。早咲大橋の南詰では国交省のカメラ付きの車とスタッフが常駐しています。

南麓を通る国道は、普段に比べて交通量が明らかに少ないです。地元紙の報道によると、桜島フェリーの利用者が(昨年末と比べて)半分程度に激減しているそうです。


20日12時頃。北東麓より。火口全体から淡い白色噴煙。これまでの活動で見られた白色噴煙よりも薄い印象。


20日18:37頃。南麓より。


20日19:30頃。南麓より。

本日の夜は、

・21時頃の目視

・23時頃の海潟カメラ(大隅河川)・牛根カメラ(気象庁)

のいずれも、山体上部に雲がかかっているため火映は確認できません。

桜島調査のついでに、たまたまH-2Bロケット(「こうのとり」を運ぶ)の打ち上げ日だったのでホテル前から撮影しました。





噴火警戒レベルが4になって一部地域に避難勧告が出ている桜島で、表面現象の目視観測を行っています。


昭和火口からは、常時白色の噴気が上がっている状態で、今日の未明にごく小規模な噴火があったようですが日中は特段の変化は見られませんでした。


本年7月以前の活発な(噴火頻度が高い)時は、噴火・爆発があると有色噴煙が放出し、(単発のブルカノ式噴火らしく)しだいに白色噴煙に変化していました(時には有色噴煙がほぼ定常的に出ている時もある)。


今日の状態は、噴火・爆発が発生していない時の定常的な白色噴煙に似ていますが、ちょっと様子が違いました。つまり、火口から上がる白色噴煙の濃度が薄く、また上空にあまり上がらず大半が火口の高さのまま(もしくはやや地表を這うように)真横にたなびいていました。空気より重い火山ガスの挙動に似ていました(あくまで目視での観察のみのコメントです)。


これまでは白色噴煙であっても、その直下(風下)では定常的な降灰がたいていあったものですが、今回も一晩、ほぼ風下にあたる地域にトラップを置いています。白色噴煙でも噴火頻度が高い時と現在とで火山灰の含有量に違いがあるか、検討したいところです。


ちなみに桜島口の東にメディアと思われるクルーがいました。私の泊っている垂水のホテルにも某局系列の取材班が泊まっている模様。大隅半島の某ポイントはアマチュアカメラマン的な人がたむろ。


東京ではあまり報じられていませんでしたが、観光や噴火取材にうってつけのシーニックポイントである湯の平展望所、有村展望所や、黒神埋没鳥居はいずれも閉鎖されています。警察官や消防が巡回しています。私は秘密のポイントから観察していますが(もちろん合法な場所です)、桜島に慣れていない取材クルーは苦労するだろうなあ。また、主要なサイトが閉鎖されていては、観光ガイドブックが頼りの多くの観光客は、離れていくでしょう。風評被害は深刻ですが、観光客への情報発信が不足している気がします。


また外国人客が閉鎖されている施設に入っていることが地元で問題になっています。「おもてなし」などということをするなら、彼らが満足するようなが必要でしょう。




ここ数ヶ月,活動(噴火頻度等)が低下していた桜島で,急激な地殻変動および地震の活発化で,警戒レベルが3から4に上がる「噴火警報」が発表されました.


島内で南岳山頂・昭和火口に近いのは,南部の有村・古里地域です.


以下,警報文です.


火山名 桜島 噴火警報(居住地域)
平成27年8月15日10時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**

<桜島に噴火警報(噴火警戒レベル4、避難準備)を発表>
 昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の有村町および古里町では、
大きな噴石および火砕流に警戒(避難準備)をしてください。
<噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引上げ>

**(本 文)**
1.火山活動の状況及び予報警報事項
 桜島では、8月15日07時頃から島内を震源とする地震が多発していま
す。また、桜島島内に設置している傾斜計および伸縮計では山体膨張を示す
急激な地殻変動が観測されており、その変化は一段と大きくなっています。
 
 桜島では、規模の大きな噴火が発生する可能性が非常に高くなっています
。昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の鹿児島市有村町および古里
町では、重大な影響を及ぼす噴火が切迫していると考えられますので、厳重
な警戒をしてください。

2.対象市町村等
 以下の市町村では、避難準備などの厳重な警戒をしてください。
鹿児島県:鹿児島市

3.防災上の警戒事項等
 昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の有村町および古里町では、
噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に厳重な警戒(避難等
の対応)をしてください。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)に注意して
ください。
 降雨時には土石流に注意してください。

<噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引上げ>

**(参考:噴火警戒レベルの説明)**
【レベル5(避難)】:危険な居住地域からの避難等が必要。
【レベル4(避難準備)】:警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時
要援護者の避難等が必要。      
【レベル3(入山規制)】:登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制
等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
【レベル2(火口周辺規制)】:火口周辺への立入規制等。
【レベル1(平常)】:状況に応じて火口内への立入規制等。
(注:避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる)

 なお、(平常)のキーワードについては、平成27年5月18日から(活
火山であることに留意)に変更しました。システム改修により情報文に反映
されるまでの間は、読み替えで対応いただきますようお願いいたします。

先日,石垣島のフィールドワークのサブに行って来ました.

八重山はとても懐かしいです.学部生の頃に,カヌーでジャングルを進んでピナイザーラの滝に行くことを目的に西表島に行きました.那覇よりもさらに青く美しい海に感動したものです.当時は那覇から石垣まで夜行のフェリーがありました.


20年ぶりの八重山は,まったく変わっていないところと大きく変わったところの両極端でした.なにより石垣直行便の充実ぶりが大きい.満席のB787が大勢の旅行客を一気に運びます.おかげでバゲージクレームや出発時の手荷物預けが大混雑.八重山の経済状況は大きく変わったのか興味深いところです.


今回,石垣島・西表島(半日)・竹富島とまわり,海岸地形や段丘地形,サンゴ礁地形はもちろん,島の農業,土砂流出問題,水質(塩分濃度変化など),マングローブの植生,竹富や石垣の町並み,特徴的なコンクリート造建築,公設市場など,あらゆるジャンルの勉強がありました.このように多様な視点からある地域を見つめる面白さは,地理学ならではと改めて思いました.


それにしても連日,最低30℃の最高34℃のなかでしたが,学生の皆さんは体調も(そんなに)崩すことなく,積極的に観察や宿での復習をしていたことも,とても印象的でした.


大変楽しく,有意義な勉強をすることができました.

当初、気象庁は「噴火」としませんでしたが、降灰・噴石の確認、火山性地震の増加、火山性微動の観測などから総合的に判断して「噴火」と認定しました。


「噴火」の定義は、実は難しいもので、ケース・バイ・ケースで判断されることが多いです。

九州の阿蘇山では、そのとき起こった現象が「土砂噴出」か「噴火」かといった議論もありました。


なお定常的に噴煙が上がっている鹿児島県の桜島では、定常噴煙と噴火とを区別するために、定義が決まっています。噴煙が1000m以上上がると噴火、あるいは空震が一定以上の強度で発生するなどいくつかの条件が観測されると、噴煙高度にかかわらず「爆発」と記録されます。


今後の箱根ですが、予測は難しいと思います。

これまで強い有感地震があっても噴火にいたったケースは、観測をするようになってからはありません。前回の噴火は12~13世紀です。つまり噴火の前後にどのような表面現象があるかは誰も知りません。

ただしマグマ自体が大規模に貫入しているデータはありませんので、大規模なマグマ噴火がただちに発生する可能性は低いでしょう。噴気が多く噴出する状態がしばらく続き、時々、小規模な噴火を起こすような活動が、可能性としてはそれなりにあるでしょう。

気象庁の発表で今回の噴火は「マグマ水蒸気爆発」とのことでした.


ブルカノ式噴火とはどちらも,短時間のマグマを伴う噴火ということで見た目の区別が難しいのですが,そのように判断された根拠は,「火山灰の解析によりマグマの破片が少量含まれていた」からということです.


これを少し解説しないといけません.

ポイントは,マグマの破片が「少し含まれていた」というよりは「少ししか含まれていなかった」ということです.


目視の状況により火山学者の多く(?)は,マグマそのものが吹き飛ぶ噴火と想像しました.

この場合,火山灰粒子の大部分は,新鮮な(鋭利な)形態を保持するガラス質粒子になります.


しかし公開された写真を見ると,新鮮なガラス質粒子が含まれているものの,大部分が不透明な岩片,つまりもともとの地表や山体の岩石を吹き飛ばしたものでした.中でも熱水変質した粒子が多く見られます.


これらのことから,マグマと水分が接触し,マグマの破片を少し含みながら山体が破裂した「マグマ水蒸気爆発」と判断されたようです.


火山灰解析は産総研の協力によって気象庁が発表したものです.

迅速に解析できた意義は大きいです.つまり,マグマそのものがまだ地下に取り残されている可能性が高く,栓が開いたことでこれらが上昇しやすくなったいることが推定され,今後も大きな噴火の可能性があることを示唆しています.


住民の皆さんの負担は相当なものですが,活動が長期的になる可能性もあります.今後の観測データに注目する必要があります.


なお最初の爆発の後に白色噴煙がしばらく出続けていましたが,これを指して「連続的噴火」というのは多大な誤解を招きます.今回の噴火は「単発の爆発」と呼んだ方がいいでしょう.