このブログでは、漫画「薬屋のひとりごと」6巻に対する感想を書いています。
こちらは後編その3になります。
前回のブログを未読の方は、「薬屋のひとりごと 6巻 後編その2」をお読みください。
ネタバレ注意です。
ご褒美の牛黄を目指して調査を開始したマオマオ。
壬氏たちが出かけたので、まずは調べものから。
ここ数年、宮廷内で起きた事故や事件が箇条書きされている機密文書を読んでいきます。
まず、先日食中毒を起こした官は、礼部の者であったことが書かれていました。
祭事を司る役職だったそう。
食中毒を起こした官も、その前の亡くなった管理者も、祭事に関わる官吏でした。
つまり、小火騒ぎが”祭具を確実に盗み出すためのもの”なら、偶然に見せかけられたこれらの事件が重なり合います。
ここまで手をかけて盗んだ祭具が使われとすれば、それなりの規模のものだろう。
そう考えるマオマオに、祭事に興味があると思ったのか、書庫の管理人が祭事場の絵を見せてくれました。
それは、外廷の西にある祭事場で、なかなか変わったつくりをしているそう。
天井に大きな柱を横にしてぶら下げ、その柱の下には、祝いの言葉を書いたひれ(布のようなもの)がいくつも付けられている、という造り。
そのひれが、窯で焚かれた香の煙で舞い、願いとなって天に昇ると言われているのだとか。
確かに不思議な造りです。
書庫の管理人が妙に祭事に詳しいと思ったら、以前は礼部にいたけれど、金具の強度について上司に忠告したら、書庫に飛ばされてしまった、という事なのだそう。
その、『強度について忠告した金具』と言うのは、天井にぶら下げる柱を支えるための物で、詳しく聞いてみると、確かにその金具の強度が足りずに柱が落ちてきてしまえば、その真下にいる人物(祭事を執り行う人)が柱につぶされて死んでしまうであろう事は容易に想像ができます。
しかも、中級以上の祭事を行う場合、祭事を執り行うのはやんごとない身分の方です。何かあったら一大事。
もし倉庫から盗まれた祭具が、柱を支えるための金具だったなら…?
いや、そんな重要な祭具なら、きちんと作り直すはず。
……作り直された新しい祭具が、弱い金属だったら…?
少し前に推理した、亡くなった彫金細工師が三兄弟に残した遺言の答えがよぎります。
あれは確か、低い温度でも溶ける、新しい金属の作り方ではなかったでしょうか。
(「薬屋のひとりごと 5巻 後編その3」参照。)
祭事では香を焚くために火がつけられています。
その火の近くに祭具があったら…その祭具が、低い温度でも溶ける、あの新しい金属で作られていたら…
「すみません!この場所で次に祭事が行われるのはいつですか?!」
「いつって言われても……ちょうど今日だな」
聞いた瞬間に駆け出すマオマオ。
最悪の事態が頭をよぎります。
急いで駆け付け、外廷の西にある祭事場に到着しました。
中ではすでに祭事が始まってしまっています。
(早くしないと間に合わないのに)
しかし、マオマオは門番である武官に阻まれて中に入ることができません。
中では高貴な身分の方々が祭事を行っているため、たかが下女一人が入れないのは当然といえば当然なのですが、一刻を争う事態です。
もちろん、マオマオは様々な要因から最悪の状況を推理しただけで、確実に何かが起こるという保証はありません。
(でも)
(取り返しのつかないことはいつも 気付いてからでは遅いのだ)
マオマオの頭の中に、離れに隔離されていた元妓女の姿が浮かびます。
なんとか中に入れてもらおうと、武官に緊急事態だと伝え説明しますが、全く取り合ってもらえません。
埒が明かないと思ったマオマオは、武官を怒らせるような、わざと腹の立つ物言いをします。
案の定というか、想定以上に激昂した武官は、持っていたこん棒のようなもので思いっきりマオマオを殴ったのです!!
ちょ!さすがに最低!
力いっぱい殴ったよこの人!しかもどデカイこん棒で!!
殴られた勢いのまま地面に滑り倒れるマオマオ。
視界は白み、耳は熱く、鼻血は出て、顔の半分が大きく腫れています。
その小さな騒ぎに、祭事場の周りにいた人々が少しざわつきます。しかし、この程度の騒ぎでは祭事が中断されることもなく、時間ばかりが過ぎていきます。
なおも食い下がるマオマオでしたが、武官は依然として通してくれません。
もー!早く通せよーーー!!!
ふらふらになりながらも、なんとか武官の説得を試みるマオマオ。
(気を失うわけにはいかない)
(通してもらわないと困る)
(もし何かが起きたりすれば…)
(牛黄がもらえない!!!!)
…って、えぇぇぇぇ~~~~~?!?!?!?!?!
ここまで体張って頑張る理由が、牛黄?!?!
そうか…マオマオ…アンタって奴ぁ…ある意味すげぇよ…
処刑も覚悟で何度も武官に願い出ますが、
「お前のような小娘の言を信じろというのか」
と、取り付く島もない武官。
そこへ…
「では 私の言ならどうだい?」
そう言いながら現れたのは、羅漢です。
ボロボロのマオマオを見てご立腹な様子。
そうだよね、ずっと会いたかった愛娘が目の前で殴られてボロボロになってたらそりゃ怒りますわよね。
一応お伝えすると、羅漢は軍部の高官。
…うん、門番の武官ドンマイ☆
小娘を思いっきり殴るとかやりすぎ感は否めないけど、あなたは職務を全うしていただけだったのにね…
運悪く、あなたが殴ったのは軍部の高官の愛娘でーす。
羅漢の計らいで、中に入れることになったマオマオは猛ダッシュ。
なんとか間に合ってほしい…!
中に入ると祭事の真っ最中。
香が焚かれている火のそばに、溶け始め、今にも外れそうな金具が目に入ります。
1も2もなく駆け出し、柱の真下で祭事を執り行っている人物にとびかかるマオマオ。と同時に、ついに溶けて壊れる金具。外れるワイヤー。落下する巨大な柱…!
…間一髪、柱の下敷きになることなく、助け出すことに成功しました!
しかし、落下した金属柱で脚がえぐれてしまったマオマオ。うへぇ…痛そうです。
朦朧とする意識の中、
(縫わなきゃ)
と、ごそごそ。脚えぐれてんのに冷静だなオイ。
「おい」
「なんでこんな状況になっている?」
呼ばれて顔を上げると、そこには、マオマオから飛び掛かられ、柱の下敷きになるのを免れたやんごとない身分の方・壬氏がいました。
「壬氏さま」
(何故ここにいるのだろう)
「牛黄を いただけますか?」
顔は腫れ、鼻血は出て、脚からは大量の出血。
そんな状態のマオマオからの質問。
「それどころじゃないだろう」
ぃゃもうその通りです!それどころじゃないです!壬氏に完全同意です!
どこまでもブレないなマオマオは!!
ボロボロな状態のマオマオを見て、痛ましそうな表情の壬氏。
ふいに意識が遠のくマオマオ。
「おいっ しっかりしろ!」
叫ぶ壬氏。
(壬氏 うるさいなぁ)
遠のく意識の中そんなことを思うマオマオーーーーー…
と、これにて6巻は終了です!
今回も長かったぁ~!
巻を重ねるごとにどんどん内容が濃くなっていくので、感想のブログが長くなっちゃうのは致し方ないよね。
6巻は、これまでの事件の集大成?的な巻だったし、いつもは頭脳派のマオマオが猛ダッシュしたり、殴られながらも踏ん張ったり、と、肉体的にも大変よく頑張ってた巻だった。
すべては牛黄のためだったところがマオマオらしい。(笑)
後半はハラハラしたり、痛ましかったりしたけど、6巻の前半では、マオマオと壬氏が街に出て和気あいあいしてたりもするし(ブログではさらっとしか触れてないけど)、気になった方はぜひ、漫画「薬屋のひとりごと」買ってみてね!
次回は、「薬屋のひとりごと 7巻 前編」へ!