『カミ』での「キヨさん」は一日4時間ほど働くのだが、出勤時間は皆が仕事を始める時間の1~2時間後に来るようにスケジュールされている。
まあ基本が「洗い物」と「普段手が届かない細かい部分の掃除」だから朝直ぐ来る必要は無いからなのだが、彼女が良く働くのは判っているからか、もう来る30分前くらいに私が洗い物などしていると
「もうすぐ『キヨさん』が来るんだから、洗わんでエエよ」
…と言われるようになった。
去年の夏のバイト達が余りに悲惨だったもんね、とも思う。
ところで。
その日、私はたまたま朝出勤してきた「キヨさん」と玄関ドア前でバッティングした。
その時の彼女の反応は「いつも通り」で、その後の彼女の動きも「いつも通り」だった。
ところが、である。
彼女が来てから2時間程経った時、私は彼女の言動に『異変』を感じた。
何と言うか、「露骨」という程ではなかったのだが、
「妙に不機嫌でよそよそしい」
…顔つきと態度になっていたのだ。
その日は『サラ』も来ていたので、最初は仕事のことで何か注意でもされたのかな?……などと考えていたのだが、注意して見ていると他の人に対する態度は全く変わりなく、どうも
『私にだけ』
……そういう態度を向ける、と判って来た。
え? 私、何か彼女にとって不愉快な事をやったかな?……と考え始めたのだが、全く身に覚えが無い。
そも、私と彼女は基本別の部屋で働いているから、絡む時間も殆どない。
それでも私は最後、
「ああ、これは本当に
『私に向かって』
何か怒っているんだな」
…と確信した。
と言うのも、普段の彼女は仕事を終える時は「必ず」私と『ジュリー』が働く部屋にも来て
「じゃあ、上がります、さようなら~」
…と言ってから帰って行くのだが、「その日」ダケは来なかったのだ。
それだけではない。
部屋には来なかったのだが、隣の部屋からわざわざ、
「『ジュリー』、さよ~なら~っ!」
…と「ダケ」叫んでそのまま帰って行ったのだ。
(因みに周囲は最後まで全く気付いてなかった)
これはもう、「何かあった」確定だろう。
その日私は「キヨさん」が帰った2時間程後に仕事が終わった。
休憩室で着替えながら私は彼女にテキストを送った。
「今日、私、貴女に何かしましたか?」
…と。
すると1時間程後、全く思い掛けない内容の返事が来た。
「リオさんは、『無礼』だと思います」
……(;゚Д゚)……はあっ!??
いやホント、全く「身に覚えが無い」とはこの事だった。
正直、「ナニ言い出すのよ!」と即キレ返すことも出来たと思うが、そこら辺は「年の功」……という訳でもないが、まあ私が気付かないだけで何かしたのかな?……と思い
「ごめんね、
私自身は全く何かしたか思い付かないんだけど、
何があったか教えてくれる?」
…と返す先ず
「そうだと思いました」
…という、「ちょっと上から視線」な短い回答の後、「キヨさん」が送って来た内容はこうだった。
「他のみんなは
やって欲しいことはチャンと言ってくれるのに、
リオさんは
『無言の圧』を
掛けて来るんですから!」
……(;゚Д゚|||)!???
……はあああああっ!????
』