物の成り立ち、って気になりますよね。
そういうことが気にならない方もいると思いますし、もしかしたらほとんどの方はそんな事を気にしないかもしれません。
だけど僕は、世の中のあらゆるものを見るとき、こんな風に作っているんだろうか？自分だったらこう作るかな？とかそういう事を常に考えています。
きっと、弊社TOKYO DIAMONDの指輪を好きでいてくれる方も、ものづくりの裏側にも興味がある方は多いんじゃないか、と勝手に想像して、今日はハフニウムの指輪の制作の裏側をお見せしたいと思います。
コストが高い貴重なハフニウムですから、歩留まり良く、最高の状態でお届けできるようにたくさんの工夫が凝らされています。
まずは、材料の切り出しから。
ハフニウムの板材から同心円状に、レーザー加工で切り出します。このレーザー加工はかなり出力の高いレーザー加工機を使うので、今はレーザーカットを専門にする加工屋さんにお願いしています。外側が男性リングに、内側が女性リングになります。
ちなみに一番内側の円筒形は、ご希望の方にはお譲りしたりもしています。一番内側の円筒はベビーリングを作るのにもちょうどいい分量なので、父母子でリングをお作りすることも可能です。
鍛造加工に入る前に、最外周のハフニウムのスケール（酸化物）を削り落とします。このスケールはレーザーカット（加工時は瞬間的に6000℃近くまで温度が上がるので、ハフニウムの表面が酸化してできます）によって発生したもので、非常に硬い物質です。この硬いスケールが鍛造工具を消耗させてしまうので、削り落とすわけです。
スケールを削り落とすと、綺麗なハフニウムの金属肌が現れます。
次に、プレスを使った鍛造加工です。最大で2トンぐらいの力を加えて、ダイスを通すことでハフニウム地金を絞ります。この絞り鍛造加工こそ、僕が筑波大学時代からずっと探求しているテーマです。絞ることで地金の内部応力が高まり、硬度が上がりながらバネ性が出て、形状も変わってゆく、金属のもっとも面白い特性だと思います。
ちなみに、この絞り鍛造を行なってから完成まで、この後は一切加熱を入れないので、焼きなまりによる軟化が起こりません。シャッキリと張りのある強い地金のまま仕上がります。これが冷間鍛造です。
また金属の種類によって、どこまでストレス（＝応力）を掛けてもいいのか、どこまでやったら壊れるのか、が違うので、まさに金属の声を聴く仕事です。
鍛造後、もともと内側だった部材（女性リング用）が、入らないぐらい、絞られました。上が鍛造前の切り出されたままの内側のリングで、下が鍛造後の外側のリングです。
並べて横から見比べると、絞り鍛造の加工後（左）は、わずかに厚みが増えています。絞られて、厚みの方向に肉が増えたわけです。
ここからは旋盤を使って、精密に寸法を削り出してゆきます。今回は15.25号というサイズなので、内径は17.74mm弱（研磨シロを考慮してわずかに小さめにします）に削り出します。
女性リングも同様に、絞り鍛造＞機械切削を経て、ペアのリングブランクになりました。この時点から指に通りますし、急な納期の方には、このブランクの状態で一度仮納品をさせていただいて挙式にお使いいただくような提案をさせていただくこともあります。（ご注文から最短1.5ヶ月後には、このブランク状態になります。）
ここからは手作業で、ヤスリを使ってメビウスの輪の形を削り出してゆきます。
メビウスの輪の削り方は、ずっと前に書いたことがあるので、ここでは省略します。
今回は、メビウスの輪をベースにして、外周に着け心地の良い丸みを削り出しました。
次は、文字刻印加工、そして研磨加工に続きます。
続く。
金属アレルギーにならない結婚指輪
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