わたしのところには、金属アレルギーだから指輪をつけることを諦めている、という方が多く相談に来られます。
中でも、多くいただくご相談は、
「結婚指輪として買ったプラチナの指輪で金属アレルギーが出てしまうのですが、、」
というお話です。また、
「金属アレルギーの体質ですが、プラチナの指輪は大丈夫でしょうか?
プラチナ950は、どうなのでしょうか?」
「結婚当時は、金属アレルギーパッチテストで確認をしてプラチナが大丈夫だったので、
プラチナの結婚指輪を購入したのですが、出産を機に体質が変わったのか、
金属アレルギーが出るようになってしまいました」
というご相談もいただきます。
ですので、今日は、ウェディングジュエリーとして、世の中の90%以上を占めるプラチナについて、金属アレルギーの原因と対策のお話をしたいと思います。
また、弊社TOKYO DIAMONDでは、そんなプラチナで金属アレルギーが出てしまう方のために開発した(もともとは金属アレルギーで悩む妻のために開発したものです)、金属アレルギーにならない純ハフニウムの指輪をご用意していますので、お役立てください。
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プラチナは白金?ホワイトゴールドとは何か?
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よく混同される方がいらっしゃるので、まず、この説明から始めたいと思います。
というより、そもそもひと昔前のジュエリー屋さんが、混同するようにネーミングをしたという悪しき原因がありますので、説明しておかなければなりません。
まず、プラチナというのは、日本語の表記では白金(はっきん)のことです。これは例えば銀をシルバーというのと同じことです。
一方で、ホワイトゴールドというのは、日本語に直すと白い金となるので白金とよく混同されがちですが、まったくの別物です。ホワイトゴールドというのは、金(ゴールド)に混ぜ物をして白い色に変えたものです。混ぜ物には昔はニッケルが、最近はニッケルが規制されたことを受けてパラジウムが使われます。
これは、プラチナが工業用途(特に自動車の排気ガスフィルター)に使われ、一気に価格上昇した1990年代に、高価になったプラチナに変わって安価な代替品としてよく用いられるようになったのがホワイトゴールドだという背景があります。
ニッケルやパラジウムは、どちらも金に混ぜると金の黄金色を消す脱色効果があります。重量比で金75%に対して、ニッケルまたはパラジウムを25%以上を混ぜると、真っ白な合金になります。
ニッケルはいまでこそ金属アレルギーの原因になる物質として規制を受けて使われることはありませんが、パラジウムはまだまだ添加物として使われています。14金ホワイトゴールドなどをよく見かけますが、これは24分率で14/24=58.3%が金、残りがパラジウムです。
このホワイトゴールドは地金の原価で言ったらプラチナの約1/4で済むので、ジュエリー屋さんに薦められた方も多いのではないでしょうか?(最近ではパラジウムのほうがプラチナよりも高くなり、ホワイトゴールドはほとんど見かけなくなってしまいました。2019年11月追記)
しかし、この後で説明しますが、このホワイトゴールドに混ぜられたパラジウムが金属アレルギーの原因になることが多いのです。
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金属アレルギーの原因となるパラジウム
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では、プラチナであれば安心なのか?
というと、そうでもなく、一般的なプラチナにも、パラジウムが混ぜてあることが多いです。
世の中に出回っているプラチナジュエリーの95%以上は、プラチナ90%-パラジウム10%の合金、プラチナ900と言われるものです。
宝飾品の裏側にPt900という刻印がされているのを見たことがある方もいるのではないかと思いますが、これがプラチナ90%-パラジウム10%合金です。
プラチナは純粋な状態では柔らかすぎるために、何かを混ぜないと宝飾品として成り立ちません。そこで手頃でかつ、少しの添加量で硬さが出るパラジウムを混ぜてあるわけです。
ですので、宝飾品として出回っているプラチナ900も、ホワイトゴールドも、どちらもパラジウムが含まれている、ということになります。
このパラジウムは、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査を行なうと、約半数の人が陽性反応が出る、と言われているほど、金属アレルギーになりやすい金属です。
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パラジウムの危険性
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パラジウムは歯科用金属として、よく使われていますが、歯科用金属のパラジウムに対する金属アレルギー反応が多く報告されています。
いわゆる銀歯と言われるものが、金と銀と銅とパラジウムの合金で出来ています。
宝飾業界では、まださほど厳しくはないのですが、歯科業界の特に医療先進国のドイツなどでは、パラジウムの使用について、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しない」という勧告を出しているほど、パラジウムは安全性に疑問がもたれており、現在ではほとんど使用されていないようです。
日本では、まだまだ使われているパラジウムですが、おそらく近い将来、まず歯科業界では使われなくなるでしょうし、宝飾業界でも遅かれ自粛の動きが出てくると予想しています。(現在のところは、保険治療ではパラジウムが使われ、自費治療ではパラジウムを避ける、というように、こんなところにも格差が現れています。)
実際、ひと昔前は、ニッケルが同じような経緯で宝飾品には使われなくなりました。
しかも近年、宝飾業界では、パラジウムに力を入れて販売しようという動きが出ています。国際パラジウム協会というアメリカの団体が日本にも本格的に進出してきました。
ですので、プラチナジュエリーを選ぶ際は、混ぜ物が何なのか?パラジウムが混ぜられていないのかどうかを、確認することをおすすめします。
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パラジウムを使わない場合、どうしたらいいのか?
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プラチナは、何かを混ぜないと、柔らかすぎて宝飾品には使えないという話をしました。
純プラチナは、針金と同じぐらい柔らかいです。針金は軟鉄や純アルミで出来ていますから、硬度は純プラチナ同じぐらいです。当然、身に着けているうちに曲がったり歪んだりしてしまいます。留めた石も落ちてしまいます。
ですので、パラジウム以外のものを混ぜてプラチナを硬くする場合に、何を混ぜて硬くしたらいいのか、という話をしたいと思います。
プラチナに混ぜて硬くする作用のある金属を挙げると、
ルテニウム
イリジウム
パラジウム
銅
コバルト
ニッケル
あとは変わったものでは、アンチモンなども硬くする効果があります。
銅、コバルト、ニッケルは金属アレルギーの原因になるので、除外したほうがいいでしょう。(銅、コバルト、ニッケルを混ぜたプラチナは市場では見つける方が難しいです。)
すると、ルテニウムとイリジウムが残ります。
ですので、金属アレルギーの原因になりづらいプラチナは、
・プラチナ950-ルテニウム50合金
・プラチナ900-イリジウム100合金
の2つの合金が挙げられる事になります。
ルテニウムは、少量の添加でも大きく硬度を上げる効果があるので、5%だけを添加したプラチナ950-ルテニウム50という組成で用います。しかも鍛造加工を施すことによって硬度の上昇が大きいです。
一方でイリジウムは、硬度を上げる効果がルテニウムほど大きくなく、10%を添加して、プラチナ900-イリジウム100という組成で用います。
欧米のブランドで地金に気を使っているところはPt950を使うところも増えてきました。鍛造を謳っているブランドのPt950は、ルテニウム5%を添加した合金のようです。
一方で、プラチナ950-ルテニウム50は、偏析しやすく、鋳造の湯流れも悪く、鋳造加工による大量生産には向かないというデメリットもあります。
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プラチナにさえ金属アレルギーが出てしまう方も
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ここまでは主として、プラチナに混ぜたパラジウムという金属が、金属アレルギーの原因になるという話をさせていただきましたが、プラチナ自体に金属アレルギーが出てしまう方もいるということを、書き加えておきたいと思います。
元素周期表を見ても、プラチナは、10族に上からニッケル、パラジウム、プラチナ、と並んでいるので、これらはお互いに性質が似ています。
下に行くほどイオン化傾向が低いのでニッケルよりもパラジウムのほうが金属アレルギーの原因になりにくく、パラジウムよりもプラチナのほうが金属アレルギーの原因になりにくいのですが、それでも完全に大丈夫ということではありません。
また、ルテニウムもパラジウムほどではないですが、金属アレルギーの反応が出てしまう方はいるようです。
ですので、プラチナ製品はいずれも、たとえパラジウムを排除したとしても、金属アレルギー反応が出てしまう過敏な人もいるということです。
まとめとして、金属アレルギーの原因になり易い順に並べると、
ニッケル系ホワイトゴールド
パラジウム系ホワイトゴールド
プラチナ900(残りはパラジウム10%)
プラチナ950(残りはルテ二ウム5%)
プラチナ900(残りはイリジウム10%)
純プラチナ
というような順になります。(これはあくまで傾向の話です。個人差はあります)
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プラチナに金属アレルギーが出てしまう方におすすめの金属
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プラチナや金(ゴールド)よりも、さらに金属アレルギーの心配がない金属があります。
それが、タンタルとハフニウムという金属です。
純プラチナや純金にさえ、金属アレルギー反応が出てしまう過敏な方には、「タンタル」や「ハフニウム」という金属があることを覚えていただければと思います。
人口骨や手術用縫合糸、人工心臓の金属パーツなど、医療用途では比較的よく知られた、人体との適合性が高い金属です。
特にハフニウムは、プラチナに近い銀色の金属で、しかも純度100%(厳密には99.98%)の状態でも硬く丈夫で、キズや歪みにも強いので、当方でも高い人気があります。
デメリットは価格の高さと、ツメ留めの婚約指輪にはあまり向かないのですが、ずっと着ける結婚指輪(ペアリング)の素材としては、これ以上のものが見つからないという素材です。
ハフニウムという名前は聞きなれないと思いますが、非常に素晴らしい金属なので、興味のある方は調べてみてください。
タンタルやハフニウムでお作りした指輪の数々はこちらに掲載しています。
→ https://tokyo-diamond.jp/
こちらも、併せてお読みください。
金属アレルギーにならない指輪の選び方
http://ameblo.jp/ringology/entry-11055807475.html
制作者・廣瀬一京の自己紹介、制作にかける想い
https://profile.ameba.jp/ringology/
ハフニウムの指輪の制作例一覧
http://tokyo-diamond.jp/category/hafnium/
金属アレルギーにならない結婚指輪
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