ラテンアメリカの民衆芸術とキューバ映画 | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

今朝の日経朝刊文化面に「ラテンアメリカの民衆芸術」展のことが大きく取り上げられており、とても興味深い内容でした。

   


特に「メキシコの壁画運動」に言及した部分は、セルバンテス文化センターで「フリーダ・カーロとディエゴ・リベラの回顧写真展」を開催中(4月15日まで)なので、タイムリー。

        
 

でも何より、キューバ映画ブロガーとしては、先日読んだ資料の以下の部分を紹介するチャンス!

以下、メモ代わりの訳文ですが、革命直後(60年代前半)のキューバの文化シーンと〈メキシコ壁画運動〉の関係―。


メキシコ革命が画家たちに壁面を提供した記憶はまだ生きていて、出版活動の強力な後押しになった。公共の場を征服することが要求されていた。1月の革命勝利で可能性が開かれた。こうした状況下で芸術と社会の絆の性質(naturaleza)は中心的な問題になった。広範な民衆向けの芸術として、映画はドキュメンタリーとフィクションにおいて歩み始めた。

 

※ キューバで公共の場を征服したのは、壁画ではなく、ポスター。

キューバの映画ポスターはそのオリジナリティとセンスの良さで国内外で人気を博しました。


冒頭の新聞記事には、〈20世紀に入ると、民衆芸術は国家の近代化政策によって、国民文化として振興されるようになる〉ものの、〈半面、市民による批判精神の表現でもあり続けた〉とあり、そこがまたキューバ映画に通じる!


〈国によって育成された民衆芸術が、(中略)批判精神を表現する手段としても洗練されていったようにみえる〉という指摘もキューバ映画にピッタリ当てはまります。
というわけで、「ラテンアメリカの民衆芸術」という括りの中に「キューバ映画」が見事に収まり、しかも「批判精神」が評価されている点が嬉しい。

 

ちなみに、「フリーダとディエゴの回顧写真展」では、壁画運動のアーティストたちと共産主義イデオロギーの関係に言及するキャプションが興味深かったです。

が、キューバの場合は、ソ連派共産主義者との葛藤がポイント。

トロツキー暗殺や、小説「犬を愛した男」のことを考えながら展示を見ました。

映画『天国の晩餐』と「犬を愛した男」の接点 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)