El matadero (仮題:畜殺場)/ドキュメンタリー/2021年/54分 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

El matadero (仮題:畜殺場)/ドキュメンタリー/2021年/54分

 

   


監督・脚本・撮影:フェルナンド・フラゲーラ・フォサード 
協力:ドゥスニエル・ペレーダ・ペレス
編集:ロナルド・トーレス
声:キャサリン・ビスケット(共同脚本)

 

トレーラーはVimeoでご覧になれます。 


内容
ピナール・デル・リオの共同住宅(革命のプロジェクトによる建物)に暮らす監督とその隣人たちは、生き延びるために豚を飼い商っている。監督の幼な馴染みのドゥスニエルは、養豚で金を稼ぎ、キューバを出ることを夢見ている。国を出たい― その気持ちは監督も同じだ。
自身の生い立ちや、隣人たちのエピソードを通して、知られざる庶民生活(=革命)の現状をあからさまに映し出す。


監督紹介


フェルナンド・フラゲーラ・フォサードは、2018年にキューバの芸術大学・視聴覚コミュニケーション学部で映画監督コースを専攻。これまで3本のドキュメンタリー作品と2本のフィクションを製作したほか、『Sueños al pairo』 (2020)の共同監督を務めた。

本作の製作資金は「ワールド・シネマ・アムステルダム」のキューバ人製作者を対象にした助成金「ゴー・キューバ!」等を得たものの、極めて低予算。

しかも、パンデミックの最中に撮った。

ニュース!
★今年のマラガ映画祭のドキュメンタリー部門で、最優秀作品賞を受賞。
監督の言葉:
「マラガ映画祭に出品されただけでも驚いたのに、16作品もの中から選ばれたことに更に驚いている」
「本作は、キューバ映画でさえ稀にしか扱われない現実、キューバの人々についての映画だ。内容は、私と私の個人的体験だが、政治的な映画でもある。なぜならキューバは全体主義国家で、すべてが政治化しており、私と私の現実はその政治化の産物だからだ」
「受賞は大きな喜びだ。なぜなら、キューバの現実、何百万ものキューバ人の現実が、より可視化される助けになるからだ。本作は2021年に撮影されたが、2023年の今、残念ながら状況は悪化している。」


※フラゲーラ監督はしばらく前からスペインに住んでいる。


作品と監督コメントはタイムコード2:00~
 

Marysolより一言
昨年 ネットで鑑賞しました。エンディングのシーン=確かチリに移住した友人のドゥスニエルと監督のチャット(WhatsApp)がユーモラスで笑えました。

(かつてのような悲壮感がないのが印象的だった)

 

それにしても、キューバ映画=インディペンデント作品の時代になりましたね。

 

心に残った写真

1991年冬、ソ連から帰国した人たち(だったかな?)

 

追記

始めは友人ドゥスニエルを主人公にするつもりが、キューバを出て行ってしまったので、自分自身が対象になり、自分のキューバ観を語ることになった。

キューバでは生活が成り立たない。ミクロブリガーダ(住民の共同作業)によって建設されたアパートの中の暮らしを理解させるには、倦怠感を伝えることが大事だった。

キューバに別れを告げるために撮った。