Sueños al pairo (2020年)ドキュメンタリー | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

先月末、恒例のMuestra Joven(若手監督作品上映会)の告知と共に、〈『Sueños al pairo』というドキュメンタリー作品が検閲にあった〉というニュースをFBで目にして以来、同作品、特に主人公のマイク・ポルセルに関する投稿が引きを切りません。

そして今朝は、なんと『Sueños al pairo』の全編を見られる投稿がシェアされていて、思いがけず観ることができたので、忘れないうちに紹介します。
      

Sueños al pairo (仮:停止した夢)/2020年/ドキュメンタリー/33分

監督・脚本・編集:ホセ・ルイス・アパリシオ=フェレラ、フェルナンド・フラゲラ=フォサド

撮影監督:アリエル・ナバロ

撮影(米国):ハビエル・ラブラドル

アニメーション:ホスエ・ガルシア

グラフィック・デザイン:カルロス・アルバレス=ゲラ

スーパーバイザー:ミゲル・コユーラ

相談役:フェルナンド・ペレス

 

出演:マイク・ポルセル、フランク・フェルナンデス、ファキン・ボルヘス=トリアナ、ホセ・マリア・ビティエル(「シンテシス」元メンバー)、アンヘル・バスケス=ミジャレス(音楽研究家)、フランク・デルガード(シンガーソングライター)、アマウリ・ペレス(シンガーソングライター)、ペドロ・ルイス・フェレール(DADA元メンバー)、ダニエル・ガルシア(俳優)

 

     トレーラー
    

 

内容
優れたシンガーソングライターで、ヌエバ・トローバ・ムーブメントの一員だったほか、キューバ初のプログレッシブ・ロックグループ「シンテシス」の創設者(カルロス・アルフォンソと共に)、さらに劇団「テアトロ・エストゥディオ」の音楽監督も務めたマイク・ポルセル。

だが彼の音楽や態度は、しばしば革命的でないと見なされた。

        

1980年の「マリエル事件」の際、彼は家族と共に合法的に出国しようとするが認められず、その結果 "Acto de repudio(非難活動=ヘイト行為)”の対象となり、ヌエバ・トローバの仲間たちからは文書で「裏切者」呼ばわりされた。

そして9年もの間、冷遇と孤独に耐えなければならなかった (妻と息子は6年後に出国を果たす)。


今はマイアミで暮らす彼に、監督たちは4年前ネットを通しキューバからコンタクトを取り、取材を開始。

彼の証言と、キューバ時代の音楽仲間の証言、それにICAICのアーカイブ映像を織り込んで、革命の負の歴史―Acto de repudio(ヘイト活動)-を見直す。

また、ポルセルの現在の心境も語られる。

 

Marysolから
FBの投稿で見た、ポルセルへのインタビューによると、本作は当初1時間くらいの長さで、彼の音楽と、当時の世相(体制に後押しされたヘイト行為)という2つのテーマで構成されていたのだが、(監督たちが専門家のアドバイスを受けて短縮し)結果的に後者に焦点が絞られたそうだ。

尚、ICAICは(3年前)本作に対しアーカイブ映像の使用を許可していたが、Muestra Joven実行委員会との話し合いも空しく、去る2月28日、「アーカイブ映像に対し合法的な権利を有するICAICは、本ドキュメンタリーへの映像の使用について見解を異にし、正当な名義人として、使用を認めない」ことを決定。

この検閲に対する抗議と、アパリシオ=フェレラ、フラゲラ=フォサド両監督への連帯を表明し、カルロス・レチューガら3人の監督がMuestra Jovenへの出品を取りやめた。

また、4月に開催予定だったMuestra Jovenは、延期されることになった。

 

※ 追記

鑑賞メモ(本編内容)をコメント欄に1~8に分けて書きました。

 

追記(2022年2月)

マイク・ポルセルはヌエバ・トローバ・ムーブメントの一員と言われることについて、「私は一度も一員だと思ったことはない。なぜならあれはキューバ政府に指導された政治的考案だったからだ」。

“Nunca me sentí parte de ese movimiento de trovadores, porque aquello fue un invento político dirigido por el gobierno cubano”,