報告:日本のアニメ映画、デジタルリマスター版上映会 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

先日ここでお知らせしたように、日本アニメ映画リマスター版上映会がCine 23 y 12(シネマテカ)で行われ、大成功だったようです。

 

 

その報告をリン・クルス(コユーラ監督のパートナー)がウェブ誌「ハバナ・タイムス」に掲載してくれたので、同記事を基にまとめてみました。動画もあるのでぜひ見てください。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

事の発端は、アベル・モリーナ=マシアスの突然の来訪だった。彼がミゲル・コユーラを訪ねた理由は、子供のときに見た、忘れがたい日本のアニメにあった。自分たちの子供時代とアニメを取り戻すためのプロジェクト。その話をしに来たのだった。 

一方のコユーラは、日本のアニメ『ボルテスⅤ』に懐かしさと恩義を感じる余り、遂にデジタルリマスターを実現し、ICAICに保管されていた吹き替えの音声(当時の有名俳優たちが担当)を重ね、上映会も行っていた。 

モリーナの情熱とコユーラのスキル、さらにICAICとシネマテカ(フィルムライブラリー)の協力を得て、今回の上映会が実現した。

 

写真左端=リン・クルス(女優、コラムニスト)、隣=マヌエル・エレーラ監督(吹き替え等を監督)、手前女性=エレニータ(キャスティング担当)、後列中央=アベル・モリーナ、手前中央=エスリンダ・ヌニェス(ボルテスの母の声を担当したキューバを代表する女優)、後列男性=マリオ・ナイトー(シネマテカ、映画研究家)、右端=ミゲル・コユーラ監督

 

上映中、多くの観客が一緒に歌を口ずさんだり、せりふを唱和したりした。

そして会場は、感動、笑い、懐かしさ、驚き(特にボルテスV)に満たされた。 

下のビデオは、映画館から出て来た人たちへのインタビュー。

発言内容

1人目の方:本当に魅惑的だった。これは僕と同じ年代の人にしか分からない。子供の頃を思い出した。よく白黒テレビでこうした映画を見ていたから、とても個人的な感動が湧いてきて、涙が出そうになった。

 

2人目の方:「僕は『ボルテスV』を見に来た。この映画を見て育った世代だから。修復版を上映すると知って来たんだ。今まで数えきれないほど見ているけど、また来てしまった。久しぶりに見られて嬉しいよ。明日も『バルディオス』を見に来るし、『テクノポリス』も『サイボーグ』も見に来るよ。これらの映画を見て育ったからね。

 

3人目の方:何よりも、自分の子供時代のなかで最高の時を思い出したくて来ました。それから、うちの娘を連れて来たわ。すでに見たお友達と同じ経験をさせてあげるために。すごく感激したわ。本当に。娘や娘の友達、そして私の友人たちとこの感動を分かち合えて。家で兄弟と見ていたし、一緒にフィルムのコマも集めていたわ。本当に良い思い出になったわ。とても感動しています。 

 

4人目の方:キューバの子供たちなら誰もが知っている映画よ。映画館にかかる度に、繰り返し見に行ったわ。子供時代の思い出。だから来たの。

 

5人目の方(映画館の方):「感激しています。満席だったわ。今日は娘たちと一緒に見ました。彼女たちと一緒になって感動してしまいました」 

※彼女が話しているとき、横を通った男性(長髪のヒゲ面)はミゲル・コユーラ。

 

6人目の方:僕らの時代のアニメを取り戻す(救い出す)。それはとても良いアイディアだ。子供たちが見られるようにね。どれも良い作品だ。僕は大好きだったよ。いつも休暇が待ち遠しかったな。

 

7人目の方:「ボルテスVで覚えているのは、子供たちがフィルムのコマを集めていたことだ。友達との遊びで勝つと交換したりね。あと、手帳にボルテスやマジンガーをよく描いたよ。この映画は子供にとって文化的なことだった。『ボルテスⅤ』のあとも『マジンガー』や別のアニメが登場し、それらは個人的な歴史の一部になっている。だから、またスクリーンで見られることはとても大事だ。子供に戻れることが大事なんだ」

 

8人目の方:当時、子供だった人たちが、子供を連れて見に来ている。その姿を目にするのは、とても感動的だし喜ばしい。『ボルテスV』を20回以上見た子供もいた。

 

モリーナ:日本のアニメの上映は、ものすごいことだ。子供のときに映画館で見た映画をまた見られるなんて。ミゲル・コユーラの仕事に感謝しなければいけないし、アートへの愛という彼の利他的な態度を強調したい。

 

ミゲル・コユーラ:修復作業としては、まずICAICの倉庫に保管されていた音声テープをデジタル化した。それから、友人たちを通して作品のブルーレイを手に入れ、音声とシンクロさせた。『ボルテスV』と『テクノポリス』は日本版とキューバ版がほぼ同じだったから、比較的かんたんだった。けれども『バルディオス』と『サイボーグ』は、キューバ版ではカットされたシーンが何か所もあった。大体は、暴力や性的な理由からだった。

 

Marysolより

ミゲルから『ボルテスV』を観たときの衝撃やキューバで伝説化していることは聞いていましたが、今回のインタビューを見てようやく実感できました。