ニコ(ポスター作家)、名誉博士号を授与される | MARYSOL のキューバ映画修行

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去る14日、“ニコ”の通称で知られるキューバの著名なポスター作家、アントニオ・ペレス・ゴンサレス氏(80歳)が、半世紀以上に及ぶ傑出した創作活動によるグラフィック・アートの芸術性への貢献と、同分野における教育への優れた貢献を讃えられ、教鞭を執る(メキシコの)ベラクルス大学から“名誉博士号”を授与されました。

 

               

略歴

1940年3月27日、ハバナで生まれる

1957年~デザインの仕事に携わる

1968年、ICAIC(映画芸術産業庁)ポスター制作部に入る 

 「60年代半ば、ポスターを描きたいという思いに目覚めた。〈知性を思考に導く絵〉ということ以外に何の情報も持ち合わせていなかったのだが」(ニコ談)

主要な同僚に、エドゥアルト・ムニョス・バッチ(1960年)、ラファエル・モランテ(1963年)、アントニオ・フェルナンデス・レボイロ(1964年)、レネ・アスクイ(1964年)、アルフレド・ゴンサレス・ロストガルド(1965年)、ラウル・オリバ(1965年)がいる。

 

70年代半ば、ICAICの計らいにより、他の同僚たちと共にハバナ大学美術史学部で学び、学士号を取得(1978年)。

以後、創作活動のほか、教育にも携わる。

 

1981年~ メキシコ(ハラパ)に移住

 

ICAIC時代の作品

  

ニコ:

「デザインとは、手と思考のアートです。そこには、メタファーの遊びが不可欠です。」

「ポスターの素晴らしさに驚嘆した私は、あらゆる予測や知識をはねのけて、取り組むことにしました。達成できたか分かりませんが、これまでに900点近くのポスターをデザインし、そのテーマは多方面に渡っています」

「今日から私は博士ですが、我が人生の相棒カティアが呼んでくれるように“ポスター博士”と呼んで下さると嬉しいです。なぜなら私にとって、ポスターはこれまでも、そしてこれからも全てであり、生き抜くのが困難な時期にも私を救ってくれたからです。」

 

サラ・ラドロン・デ・ゲバラ学長の言葉:

「ニコは、偉大な世界的アーティストの眼で我々を見ています。その眼差しは、偉大な芸術家のみが提供できるものです。そして彼の芸術は、国民性を超えて《他者たち》が《私たち》であり得ることを教えてくれます。彼は、イメージのクリエーターになると決めて以来50年以上に渡り、二つの地理的、歴史的、文化的地平で、輝かしいキャリアを積んできました。最初の地平は、祖国キューバ。世界にその名を刻み、とりわけラテンアメリカのある世代の若者が自分たちの現実を変革するモデルを見た、革命キューバです。革命という言葉には二つの意味があります。現実を変革すること。芸術・文化において新たな現実を創造すること。そのひとつがポスターでした。ニコの仕事におけるビジョンを遡ると、今世紀のキューバで最も重要な、ポスターとデザイン運動に至ります。彼は、コミュニケーションと思想の統合例ですが、そこには〈あまり喋らずに多くを伝える〉という彼なりの必要性があったのです。」