『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』 | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
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『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

アグニェシュカ・ホランド監督/2019年/ポーランド・ウクライナ・イギリス/ 118分

 

 

ストーリー(公式サイトより)

1933年、ヒトラーに取材した経験をもつ若き英国人記者ガレス・ジョーンズには、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。

その謎を解くために単身モスクワを訪れたジョーンズは、外国人記者を監視する当局の眼をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。

やがて凍てつくウクライナの地を踏むジョーンズが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった……。

 

ジョーンズはいかなる苦難の末に、スターリンの“偽りの繁栄”の実態を暴いたのか。そしてソ連の執拗な妨害工作に阻まれるなか、果たしてその一大スクープを世に知らしめることができるのだろうか。巨悪な力に屈せず、正しい道を選ばんとした名もなき人間の実録ドラマが、現代を生きる我々に問い質すものとは―?

 

見どころ

主人公ガレス・ジョーンズは、実在の人物!

 

ストーリーの紹介が二部構成になっているように、見どころは大きく分けて二つある。

ひとつは、悪夢そのものの「ウクライナ飢饉(ホロモドール)」とそれを引き起こした国家(スターリン体制)の実態(非情さ・監視体制・誘惑と脅迫による隠ぺい工作)

もうひとつは、強大な国家権力(ソ連だけでなく自国=英国も含む)と対峙するジャーナリスト(ジョーンズ記者)や作家(ジョージ・オーウェル)の存在意義。

 

本作の監督アグニェシュカ・ホランドが訴えたいのは、もちろん後者の方であり、キューバ映画(きっかけは『低開発の記憶』)ブロガーの私がこの映画を多くの人に見てもらいたいと思う理由もそこにある。

(エベルト・パディージャの“LA MALA MEMORIA”を読んだばかりだったし)

 

真実を知った者の使命と、(己を含め)人命を危険にさらす可能性。

究極の選択に苦悩しつつも、道を切り開いていくジョーンズやエイダの姿に勇気をもらえる。

 

だからこそ、《いかにフェイクニュースやプロパガンダに惑わされず、真実を追求できるか》、情報の発信者はもちろん、受信者にも観て欲しい。

ジョージ・オーウェルの「動物農場」が日本の近未来とならないためにも。

          

 

香港のジャーナリズム、表現の自由が抑圧されていく危険を含め、世界で強権的指導者が台頭する昨今と1930年代が重なる・・・・・・。