短編アニメ『ニキータ・チャマ・ブーム』(2007年)ファン・パドロン | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

キューバアニメの父、ファン・パドロンの訃報を書くにあたり、彼や彼の功績に関する記事をウェブ上でたくさん見かけました。
その後まだひとつしか読めてないのですが、そこで『ニキータ・チャマ・ブーム』(7分)が見られたので、拙ブログでも全編を紹介します!
ついては、2007年7月31日の投稿を紹介文としてここに再録します。
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「フィルミヌート」や「ハバナの吸血鬼」、そして国民的ヒーロー「エルピディオ・バルデス」シリーズでキューバのアニメ界を代表するファン・パドロン監督の新作(短編アニメ映画)が完成し、「リサンカ」 と共に7月7日、シネ・チャプリンでお披露目の上映会が行われました。
タイトルは「ニキータ・チャマ・ブーム」。
内容は、1962年のミサイル危機下に展開した“歴史的秘話”。
今回初めて明るみになる史実だとか…

まず、タイトルから見ていきましょう。
「ニキータ」とは、旧ソ連の故フルシチョフ首相の名で、ミサイル危機下のソ連側の主役。
「チャマ」は、キューバで<子供>を意味し、「ブーム」は、英語で<にわかに盛んになること>。
この3語(3ヶ国語)の組み合わせが意味する驚きの真実(?)とは―

時は1962年10月。世界を二極化する米ソの冷戦構造は、カリブの島国キューバを舞台に世界を核戦争勃発寸前の危機にさらしていた。
当時キューバでは皆、世界の終りを身近に感じつつ、米軍の侵攻に備え、夜も寝ずに見張りに立ち、寝るときも武器を肌身離さずにいた。勇敢な彼らは「おそらく自分達は死ぬのだろう。だが、その前にヤンキーどもに思い知らせてやる!」と、死の恐怖などどこへやら、戦闘意欲に燃えていた。
その一方で、人々は生の喜びを味わい尽くそうと、ラムと音楽と愛の交歓にふけった。

幸いミサイル危機は、悪夢のまま過ぎ、それから9ヵ月後―。
キューバでは空前の出生率が記録されたのだった!
これぞ、ファン・パドロン監督いわく“ニキータ・チャマ・ブーム”!!!


というわけで、このアニメ、1963年生まれの人たちに捧げられています。


        
 

Marysolより
2007年に記事を書いたとき「見たい!」と思いましたが、もうすっかり忘れていました。

生きてて良かった(笑)。

見られて嬉しいし、〈キューバらしさが満載〉と言われるパドロンの特長がよく表れている気がします。
それにしても「ミサイル危機」という背景は同じなのに、『低開発の記憶』(1968年)の主人公セルヒオとは対極的な人たち。

40年という時間の経過もあるでしょうが、どちらがキューバ人らしいかと言えば、パドロンの描くキャラクターの方なんでしょうね。

勉強になります。

 

★ ファン・パドロンはよく言っていたそうです。

「吸血鬼が居ようと居まいと、平和だろうと戦争だろうと、キューバを救うのは、音楽とセックスと笑いだ」