2人のローマ教皇(原題:The Two Popes) 2019年/英米伊亜合作/ 2時間5分
Netflix作品:https://www.netflix.com/jp/title/80174451
監督:フェルナンド・メイレレス(ブラジル出身)
出演:アンソニー・ホプキンス、ジョナサン・プライス、フアン・ミヌヒン(若き日のベルゴリオ)
内容
2012年、バチカンは(聖職者による性的児童虐待事件やマネーロンダリングなどの)スキャンダルに見舞われていた。
教会の方向性に違和感を抱くベルゴリオ枢機卿(ジョナサン・プライス)は、辞表を手渡しに教皇の元に赴く。
一方、教皇の方でも、改革派のベルゴリオを召喚しようとしていた。
ドイツ系で超保守派のベネディクト16世(アンソニー・ホプキンス)とラテン系でリベラルなベルゴリオ(現フランシスコ教皇)。
性格も意見も対照的な2人が、対話を通して親しい友となっていき……
Marysolより (映画館で鑑賞)
まず、映画を通して、コンクラーベなどバチカンの内部が垣間見られ、得した気分。
また、思った以上に、アルゼンチンのシーンが多かったのも、嬉しいサプライズで大いに得した気分!
音楽も良かったです!!
印象的だったのは、ローマ教皇がとても人間的に描かれていたこと。
組織を守る立場と、聖職者として「神の声」を聴き伝える本来の役目。その間に生じる葛藤。
生まれ育った祖国における負の過去(ヒトラーユーゲント加入と軍事独裁政権下における行動)と指導者としての現在。
教皇でなくても、誰にでも当てはまる問題なので、身につまされます。
そして、何を見てもキューバと結びついてしまう私は、「神の声」が「民の声」に置き換わり、キューバ映画へと思いが飛びました。
ともあれ、世界の分断化が懸念されるなか、ユーモアと対話を通して、壁を越えていく様は示唆に富んでいます。
追記
FBで拙稿をシェアしたところ、アルゼンチン在住の友人から以下のコメントをもらいました。
アルゼンチン在住の者としては、独裁政権時代の誘拐、拷問、殺害のシーンが辛かったですね。
あんなことがつい最近、82年まで、今自分の立っている場所で続いていたかと思うと、改めて鳥肌が立ちます。
✖✖の叔母も誘拐され、無事助け出されましたが、映画を見ていて身に迫るものがありました。
そういう時代を乗り越えて、世界平和を祈る今のアルゼンチン人教皇がいるのだなあと感慨深いものがありました。
私の返信
ご親戚が誘拐されていたとは!無事に救出されて本当に良かったですね。
こうした歴史を前にすると、生き(残)るって罪深いことだなと思うと同時に、生き(残ってい)る意味も考えさせられます。
ネタバレになるから言えないけど、フランシスコも許されたという思いがあるからこそ、許しを与えられる存在になれたのではないかしら? 主演俳優がイギリス人なのでもっと違う映画を想像していましたが、予想外にラテンアメリカが描かれている映画でした!