『苺とチョコレート』1993年 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
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『苺とチョコレート』 (原題:FRESA Y CHOCOLATE) 1993年

 キューバ=メキシコ=スペイン合作/110分/カラー

 

            
 

監督:トマス・グティエレス=アレア、ファン・カルロス・タビオ(共同監督)
脚本:セネル・パス
原作:セネル・パス著「狼と森と新しい人間」
撮影監督:マリオ・ガルシア・ホヤ
音楽:ホセ・マリア・ビティエル
録音:ヘルミナル・エルナンデス
製作総指揮:ミゲル・メンドサ

キャスト:ホルヘ・ペルゴリア(ディエゴ)、ウラディミル・クルス(ダビド)、ミルタ・イバラ(ナンシー)、フランシスコ・ガットルノ(ミゲル)、ジョエル・アンヘリノ(ヘルマン)、マリリン・ソラヤ(ビビアン)

 

1993年新ラテンアメリカ国際映画祭作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、観客賞、国際批評家連盟賞、国際カトリック映画賞、アルシ・ノヴァ映画賞
1994年ベルリン国際映画祭審査員特別賞・銀熊賞
アカデミー賞外国語映画賞ノミネート(1995年)
ほか受賞歴多数

 

ストーリー
恋人ビビアンに裏切られ失意の大学生ダビッドがアイスクリーム・パーラーでチョコレートアイスを食べていると、向かいの席にヒマワリの花束をもった男が座り、苺のアイスクリームを美味しそうに食べ始める。きっとオカマに違いない。共産党青年同盟の一員であるダビドは〈同性愛者は革命家ではない〉と見なしていた。そんなダビドに、オカマ(名前はディエゴ)は写真家を名乗り、「君の写真があるからあげよう」と言って、自宅に連れて行く。

 

そこには宗教的な彫刻を始め絵画や写真、珍しい書物が溢れており、作家志望のダビドは目を見張った。彫刻は友人ヘルマンの作品で、某大使館員の協力を得て個展を開くのだ、とディエゴは嬉しそうに話す。そしてコーヒーを渡そうとして、ダビドのシャツにこぼしてしまう。慌ててシャツを脱がせて洗い、ベランダに干すディエゴ。写真が欲しくて渋々付いて来たダビドは、ディエゴが同性愛者の作家の話を始めるや、怒って出て行く。

 

学生寮に戻ったダビドは同室のミゲルにディエゴのことを話す。ミゲルは、ホモで外国の大使館と関係のあるディエゴを怪しいとにらみ、彼をスパイするようダビドにけしかける。
偵察のためディエゴを再訪したダビドは誘導尋問をしかける。だが教養豊かなディエゴの前では己の無知が露呈するだけだった。一方、ダビドの訪問を喜ぶディエゴは、先日の振る舞いを詫び、友達になりたいと言う。ダビドは友達なら良いが、それ以上はダメだと釘を指し、二人はウイスキーで乾杯する。ディエゴは、信仰をもっていること、体制と問題を起こしたことを打ち明けた。

 

そんなディエゴにはナンシーという監視役が付いていた。そのナンシーが、ある日、何度目かの自殺未遂を起こす。ディエゴはダビドと救急車に同乗し、ナンシーの命は助かった。

その頃、ディエゴはトラブルに見舞われていた。彼が企画した個展が中止になりかけ、焦ったヘルマンが妥協し(買収され)、二人は喧嘩別れ。ディエゴは画廊や関係者に宛て、抗議文を書き、それが原因で職場を追われた。

ディエゴに残された道。それは亡命しかなかった。彼はナンシーにだけすべてを打ち明け、ダビドのことを頼む。ディエゴの家で開かれた“レサマ式午餐会”。3人は友情と愛を祝して乾杯した。

 

一方、ディエゴに傾倒し変わっていくダビドを、ミゲルは裏切者のように感じていた。
彼はディエゴの家に押しかけ、ダビドを放校処分にする書面にサインするよう迫る。怒ったディエゴはミゲルに食って掛かる。そこへ花を持ったダビドが現れ、止めに入るが、ミゲルは証拠を掴んだと捨て台詞を吐き、立ち去る。
 
ある雨の日。外交官の車から降りるディエゴを目撃したダビドが問い詰めると、遂にディエゴは告げた。キューバを去ることを。そして二人はー

 

 

*マリオ・ピエドラ教授(ハバナ大学映画史)の解説はこちら