赤ちゃんの脳のしくみについて

人間の脳のしくみについて

人間の脳はそれぞれの場所で、それぞれ違う働きをします。

中でも高次な作業をこなすのが、前頭前野です。

この10数年の間に、脳科学の研究は格段に進歩しました。

特に21世紀に入ってからは、MRI (磁気共鳴イメージング)などの発達により、次々に新しい研究論文が発表されています。また最近は、脳科学をテーマにした本がたくさん刊行されているので、「前頭葉」や「前頭前野」という用語をご存じの方もいると思います。それらの最新情報を取り入れながら、まず、私たちの大脳がどうなっていて、どんな働きをしているか知っておきましょう。

脳の表面(大脳皮質)は、その働きによって、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉と呼ばれる4つの領域に分けられます。すべて領域がバランスよく機能して、脳は働いていますが、中でも前頭葉の前半分にある前頭前野が、思考、行動に大きな役割をになっています。
脳で最も高等な働きをするのが「前頭前野」という部分

ブロードマンの細胞構築地図 (左の大脳半球皮質)

脳の表面には大脳皮質と呼ばれる部位があり、ここは体中の神経回路とつながり、熱さや痛みを感じ、見聞きしたことを認識し、手や足を動かす指示をするといった、生きていくうえでの重要な働きを担っています。この大脳皮質は場所によってまったく違った働きをしています。上記の図は、ブロードマンが約100年前に作った、脳の地図です。働き方に 1番から52番まで番号がふってあり、それぞれに名前がついています。MRIで確認された最近の研究とも一致する部分が多いので、“脳の働き”を解説するときには、この地図を使うことが多くなりました。この地図を参考に、脳の各分野の働きを説明していきましょう。脳は4つの領域に分かれています。脳のちょうど真ん中、両耳を結ぶ線の下あたりに、中心溝と呼ばれる大きな溝があります。この中心溝より前が前頭葉、後ろが頭頂葉で、そのさらに後ろが後頭葉です。この後頭葉から横に延びている部分が側頭葉です。脳の表面は、このように前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つの領域に分かれています。
考え、行動する役割を前頭前野が担当しています
前頭葉の前半分を前頭前野といい、人がものを考え、判断し、行動を指示する処理をここが担っています。ほかの動物にくらべて人の前頭前野は大きく発達していることからもわかるように、前頭前野は考えて行動するという人間の高次な(高い次元) 働きをする、大脳皮質の中でも、最も重要な場所です。中でも、前頭極(10野) は、とくに高級な働き方をするときに活発に働く部位で、人間と大型の類人猿にしかなく、人間はここがよく発達しています。ここでいう高級な働き方とは、複雑な行動を起こすときなど、脳の高次な働き方(たとえば、運動より行動のほうが質が高い)のことをいいますが、脳を高級な働きができるように鍛えるには、前頭前野を鍛えることになります。
引用元：赤ちゃんの脳をはぐくむ本